セキュアブラウザ製品紹介:コネクトワン
Jailbreakも検知、無料で使える業務用ブラウザ「MDM Browser」
セキュアブラウザだけでは安全性の確保が難しいが、MDM製品ほどの機能は必要ない。こうした声に応え、セキュアブラウザとMDMの“いいとこ取り”を目指したのが「MDM Browser」だ。
情報漏えい対策のために必要十分な機能を盛り込んだセキュアブラウザが、コネクトワンの「MDM Browser(旧称:ConnectONE Browser)」だ。安全性を高めるべく、管理者権限の取得行為の検知といったモバイルデバイス管理(MDM)機能を搭載。一方で情報収集機能を備えないなど、私物端末の業務利用(BYOD)のセキュリティ対策として活用しやすくした。MDM Browserの機能や特徴について、同社代表取締役社長である吉田 晋氏に聞いた。
連載:セキュアブラウザ製品紹介
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製品の概要:ポリシー違反の端末では起動しないブラウザ
MDM Browserは、「社内システムのフロントエンドとして必要なセキュリティ機能を盛り込んだ」セキュアブラウザだ(画面1)。ダウンロードしたファイルやデータを端末に残さないようにしたり、MDM Browserから他のアプリケーションへのデータコピーを防ぐ機能を持つ。iOS端末やAndroid端末といったスマートデバイスに加え、WindowsマシンやMacでも利用できる。
シングルサインオン(SSO)機能を備えた認証サーバ製品「ConnectONE」との組み合わせが標準的なシステム構成となる(図1)。エンドユーザーがMDM Browserから社内のWebシステムを利用する際は、まずConnectONEへ接続し、ユーザー認証をパスして社内システムへアクセスする。ConnectONEで一度ユーザー認証をパスすると、ConnectONEの認証対象であるWebシステムであれば再認証なしでアクセスできる。
MDM Browserは、他の機能やプロセスを停止するのではなく、危険な環境では自らを起動させないことで情報漏えいを防ぐアプローチを取る。例えば、スクリーンキャプチャーツールを起動させていたりサポート対象外のOSを導入していたりするなど、事前に設定したポリシーに違反する端末の場合、MDM Browserを起動させない。
MDM Browser経由でしか社内システムへアクセスできないようにしておけば、ポリシー違反の端末からの社内システム利用を防ぐことが可能だ。システムで対処する場合、ユーザーエージェントの偽装防止といったConnectONEの機能が役立つ。
その他、Android版はマルウェア対策機能を標準で備える。セキュアブレインが開発したマルウェア対策のSDKである「Cloud Antivirus SDK」を利用。セキュアブレインがオンライン環境に用意する独自エンジンを使ったマルウェアスキャンが可能だ。
他社製品に対する特徴1:情報漏えい対策に必要なだけのMDM機能を搭載
MDM Browserが持つ最大の特徴は、管理者権限を取得するJailbreakやroot化を検出したり、スクリーンショットを制御したりするといった、MDM製品への搭載が進むOSレベルの管理機能を備えることだ。一般的なセキュアブラウザ製品は、こうしたOSレベルの管理機能を備えない。
管理方法はOSによって異なる。例としてスクリーンショットの制御を挙げよう。iOS版の場合、MDM Browserの起動時にいったん標準Webブラウザの「Safari」を起動させ、端末内にある構成プロファイルを確認。スクリーンショットを禁止する構成プロファイルの有無を確認し、存在しない場合はMDM Browserの起動を禁止する(図2)。Android版の場合、MDM Browserが動作中にスクリーンショットを保存するプロセスを監視し、スクリーンショットの保存フォルダ内のデータを削除する。
一方、端末内のアプリケーション一覧の取得や端末の位置情報取得といった、MDM製品の多くが備える情報収集機能は持たせていない。この背景には、情報漏えい対策に必要十分な機能に絞り込むという設計思想がある。「情報収集機能は情報漏えい対策とは無関係な機能であり、MDM Browserには不要と考えた」
リモートロックやリモートワイプといった、MDM製品の定番機能ともいえるリモート制御機能も備えない。これは、端末内にデータを残さないMDM Browserのセキュアブラウザとしての機能でカバーできると判断したためだ。
機能の取捨選択の効果として、「BYODのセキュリティ対策としてMDM Browserを訴求できる」と吉田氏は見ている。特に私物端末の情報収集機能は、従業員のプライバシーを侵害する可能性があり、BYODの検討企業がMDMを敬遠する大きな理由となっている。こうした機能を備えないMDM Browserは、セキュリティとプライバシー保護を両立できるというわけだ。
他社製品に対する特徴2:セキュアブラウザを無償で提供
MDM Browserのもう1つの特徴は、無料で利用できることだ。iOS版はApp Store、Android版はGoogle Play、Windows版とMac版はVectorなどからダウンロードできる。ただし、無料版はConnectONEを含まず、Android版のマルウェア対策機能など一部の機能が利用できない。
無料で利用する場合、自社が保有するWebサーバにMDM Browser用のセキュリティポリシーを記載したXMLファイルを置き、MDM BrowserにXMLファイルのパスなどを設定する(図3)。XMLファイルは、コネクトワンのコーポレートサイトにある「MDMポリシー発行ツール」を使って無料で出力できる。
コネクトワンがMDM Browserを無料で提供するのはなぜか。吉田氏は、「セキュアブラウザの裾野を広げ、幅広いユーザーからのフィードバックを受けたかった」と語る。評価用に導入するにも、無料であればハードルが低くなる。また、MDM Browserは公式サポートを用意しないが、有償のConnectONEを導入すれば公式サポートが受けられるので、「公式サポートが必要なユーザー企業であれば、ConnectONEの導入が見込める」との考えもある。
事例:金融業が中心、1万ユーザー以上の利用実績も
現在、旧ConnectONE Browserを含めて50社7万ユーザーが利用するMDM Browser。金融機関の導入も多く、日本興亜損害保険が1万5000ユーザー、あいおいニッセイ同和損害保険が7200ユーザーで利用。野村證券も2000ユーザー規模で利用している。製造業でも、日本たばこ産業で5000ユーザー、塩野義製薬で500ユーザーの利用実績がある。
あいおいニッセイ同和損害保険は、BYODのセキュリティ対策としてMDM Browserを導入。私物携帯電話7000台、私物スマートフォン1400台が業務利用されている。
製品価格:基本無料、認証サーバをクラウドとオンプレミスで提供
MDM Browser自体の価格は上述の通り無料だ。ConnectONEを利用する場合には、「クラウドタイプ」と「オンプレミスタイプ」の2種類のライセンス体系がある。クラウドタイプの場合、インターネットイニシアティブのIaaSである「IIJ GIO」を利用。オンプレミスタイプの場合、ユーザー企業にサーバを設置する。
クラウドタイプの初期費用は無料。月額利用料金(税別)は、同時アクセスユーザー数5~30人の場合、ConnectONEが1ユーザー当たり1000円、IIJ GIOのベースサーバ(グレード:V20)が8000円、ファイアウォール(スペック:ベーシック10M)が1万8000円、VPN(OpenVPNベース)が6000円。1ユーザー、1カ月から契約可能だ。
オンプレミスタイプの価格(税別)はユーザー数と接続システム数で変化する。100ユーザーで利用する場合、最小構成価格は100万~200万円程度。保守サポート料金は初年度から発生し、価格の20~25%。
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