値下げなど次々に新施策
「Surface RT」がイメチェン模索 仕事で使えるタブレットへ
アプリ不足や管理の難しさなどから、企業導入が進まない「Surface RT」。こうした中、米MicrosoftはSurface RTの企業導入を促進すべく動き出した。勝算はあるのか?
米Microsoftのタブレット「Surface Pro」を企業のIT部門で使うことは納得できるが、低価格版である「Surface RT」も、業務利用を検討すべきデバイスと位置付けられようとしている。
2013年6月初めに米国で開催した「TechEd North America 2013」カンファレンスでMicrosoftは、「次期OS『Windows 8.1』でエンタープライズ向けの機能を強化している」というメッセージを強調。同月末に米国サンフランシスコで開いた開発者向けカンファレンス「Microsoft Build Developer Conference」では、SurfaceにWindows 8.1を適用することを奨励した。
Surfaceを業務用デバイスとして普及させる試みをMicrosoftが成功させるには、まずはチャネルパートナーやアプリケーション開発者を巻き込むための強力な方策が必要だ。米AppleのiPadやAndroid端末など、業務で利用できるレベルのデバイスの販売では既に競合他社が先行している。Windows 8のソフトウェアエコシステムの規模も、iOSとAndroidの二大勢力には及ばない。
こうした中、Microsoftは2013年7月初旬、2種類のチャネルを対象とした販売プログラム「Microsoft Devices Program」と有償アプリの開発プログラム「AppsForSurface」を同時に立ち上げた。Microsoftが、同社製品をサポートするチャネルとアプリを増やし、Surfaceを企業のIT部門へ売り込もうとしているのは明らかだ。
「利用できるアプリが少ないことが、Surfaceの大きな欠点だった。正直なところ、このデバイスに購買意欲をそそられる人は本当にいるのかと思っていた」。こう話すのは、米コンサルティング会社Directions on Microsoftのアナリスト、マイケル・チェリー氏だ。
Surfaceの企業への売り込みに同意しているチャネルパートナーは、現時点では多いとはいえない。2種類に分けられた販売パートナーのうち、米SYNNEX、米Tech Data、米Ingram Microは最前線のディストリビュータ(販売代理店)に認定されている。これらの販売代理店は、Microsoft製品を米CDW、米En Pointe Technologies、米CompuCom Systemsなどのリセラー(小売店)に販売する権利が与えられている。
Microsoft Devices Programが、Surfaceの売り上げ増大につながるかどうかは何ともいえない。特に、Windowsタブレットの新製品が発売されるのかどうか、また2013年内に新たな端末を発表するといわれているOEM(相手先ブランドによる生産)メーカーの詳細も、現時点では明らかにされていないからだ。そうはいっても、Microsoft Devices Programは悪い販売プログラムではない。
「Microsoftが新たなチャネルに足を踏み入れたときはいつも、結局はうまくいっている印象がある」と話すのは、米調査会社IDCの調査部門責任者、トム・メネリ氏だ。「Surfaceを現在扱っているチャネル、とりわけ小売店は、企業の購買担当者がハードウェアを購入するときに通常利用するチャネルではない」(メネリ氏)
IDCによると、2013年第1四半期のSurface ProおよびSurface RTの出荷台数は合計で100万を超える。その内訳は、74%がSurface Proで、Surface RTは25%だったという。
Surface RTは大規模組織で活用できるデバイスなのか
この新しい2つのプログラムは、Surface Proをエンタープライズ向けに普及させたいだけでなく、「Surface RTは業務用としても使える」という認知を広めたいMicrosoftの明確な意図を反映している。
Surface RTに業務用タブレットとしての訴求力があるかという点は、今のところ疑問視されている。何しろSurface RTは、Windows 8.1を適用しない限りはメールクライアントの「Microsoft Outlook」すら使えないのだから。
「企業のIT部門なら、Windows用に作成したインストールイメージをWindowsタブレットにも適用したいと思うだろう。Surface RTではそれができないということが、Surface RTを業務利用する際の問題だ」とメネリ氏は指摘する。Surface Proならば、Windows搭載のクライアントPCと同じインストールイメージが適用できる。
「現在のSurface RTは、どの層にもなかなか受け入れられない」と同氏は語る。「Surface RTの実際の価値が分かりづらいからだ」(同氏)
企業ユーザーがSurface RTとSurface Proを正しく使い分けている限り、販売チャネルが端末の売れ行きに関して不安を抱えることはないようだ。
「Surface RTはサブ端末として使われており、(Surface Proとは)用途が違う。サブ端末として使われる点は、他機種のタブレットも同じだ。モバイルデバイス管理(MDM)製品を導入する場合を除き、IT部門はモバイル端末の管理には関与しない」。En Pointe Technologiesロサンゼルス店の責任者はこう話す。
この責任者は、「インストールイメージの作成は、企業内の多数のクライアントPCを管理する業務の一環だ」とも指摘する。社内独自の構成でSurface RT用のインストールイメージを作成できるスキルがなければ、その企業ではSurface RTを業務用デバイスとして利用するべきではない。だからといって、Surface RTは企業のエンドユーザーにとって使えない端末だというわけではない。
Surface RTは「ワークフローに特化したデバイスとして使える、といえば分かりやすいのではないだろうか」と、SynnexでMicrosoftグローバルビジネス部門およびクラウドサービス担当の副社長を務めるロブ・モイヤー氏は話す。
販売チャネルに2つのグループが含まれるようになったことで、企業に対するSurfaceのサポートはより充実したものになる。Surface RTは、教育分野や医療サービスなどの垂直市場に絞り込めば、業務特化型の端末として利用できる。また、現場の従業員がメインPCのサブ端末として利用することも考えられる。Surface Proは、ノートPCに代わる端末としても展開できる。
Microsoftは、教育機関(幼稚園から高校まで)に対して、Surface RTを期間限定価格で販売することを発表した(米国では2013年8月31日まで期間限定価格199ドル)。Surface RTの発売当初の価格は499ドルだった。
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