Microsoftが「Azure RemoteApp」を近くリリース
「Windows」がなくてもWindowsアプリが動く? モバイル向け新技術の狙いは
米Microsoftが近日公開するといわれているクラウドサービス「Azure RemoteApp」は、「Windows」を搭載していないモバイルデバイスにアプリを配信する。
米Microsoftが近日公開するクラウドサービス「Azure RemoteApp」を使用すると、IT部門は「Windows」を搭載していないモバイルデバイスにWindowsアプリを配信できるようになる。これはMicrosoftの原点を逸脱した動きだが、それ以外の野望を後押しする狙いがある。
Microsoftは「Microsoft Azure」(以下、Azure)からWindowsをDaaS(Desktop as a Service)として配信する予定はない。また、「サービスプロバイダーライセンス契約」(SPLA)を変更して、パブリッククラウドからWindowsクライアントを配信することをサポートするつもりもない。そう語るのは、Microsoftのリモートデスクトップチームでプログラム管理の主席ディレクターを務めるクラース・ランアウト氏だ。
MicrosoftはAzureでWindowsアプリを実行するサービスとして、Azure RemoteAppを開発している。現在提供されているのはプレビュー版だ。このサービスによって、スケーラビリティ、シンプルな管理、素早いアップデートが可能になる。エンドユーザーは、インターネットに接続しているノートPC、タブレット、スマートフォンにインストールされたクライアントを使用してアプリにアクセスする。
DaaSを回避したMicrosoft
Microsoftは、AzureでDaaSを提供しないと決断したことは、SPLAに生じる変更と無関係だと主張している。この動きはユーザーからのフィードバックに基づいたものだとしている。「エンドユーザーは完全なデスクトップではなく、クラウドからアプリを使用することを望んでいる」とランアウト氏はいう。
デバイスでアプリに直接アクセスする方法と比較して、モバイルデバイスでリモートデスクトップクライアントを起動し、スタートメニューを操作して必要なアプリを見つけるという操作は時間がかかるという意見がユーザーからMicrosoftに寄せられている。
「Windowsの設計理念を強要するのではなく、デバイスの設計理念を尊重したかった。Microsoftが用意するのは基本的にリモートで提供している全てのアプリを起動できる1つの場所だ」(ランアウト氏)
だが、この時間がかかるナビゲーション操作は、Windowsユーザーが10年以上にわたって行ってきた操作に他ならない。
「Microsoftは今までのやり方が間違っていたとでもいいたいのだろうか」というのは米IT分析会社のVirtualization Practiceの業界アナリスト、サイモン・ブラムフィット氏だ。ブラムフィット氏は、最近Azure RemoteAppについてブログ記事を公開している。
ブラムフィット氏は、DaaSを提供した場合に生じるライセンスに関する大きな変更が、DaaSを提供しないという決断に影響している可能性があることを指摘しつつも、Microsoftの説明をしぶしぶ受け入れている。ライセンスの規則を変更した場合の損失額と比べれば、DaaSから得られる利益は少ない。
「だが、ユーザーがデスクトップではなくアプリを求めているというMicrosoftの主張に間違いはない。これはモバイルデバイスの革命が証明している。何年もの間、スマートフォンやタブレットにWindowsが搭載されていない状況を疑問視する人はいなかった。モバイル中心の戦略とクラウドストレージによって形成されているテクノロジーの世界では、デスクトップPCの重要性は低くなっている」(ブラムフィット氏)
サトヤ・ナデラ氏がCEOとしてかじ取りをしているMicrosoftは、この状況を間違いなく認識している。Azure RemoteAppは、モバイルとクラウドの実現に向けたMicrosoftの機運の一例である。
米IT分析会社Enterprise Strategy Groupでアナリストを務めるマーク・ボウカー氏は次のように語る。「Microsoftは変化と革新を奨励している。Azure RemoteAppは、最近、ナデラ氏が従業員に向けて半期に一度送るメッセージで語ったことの好例だろう。Microsoftは、これまでの実績を超えたところでものを考え、革新を目指している」
Windowsアプリを実行するためにWindowsが必要なくなることは歓迎すべき変化だ。だが、レガシーアプリが置き去りになることは歓迎されないだろう。「この状況はAzure RemoteAppによって現実のものとなる可能性がある」とエンタープライズクラウドソリューション/移行サービスプロバイダーの米Nimboでリードインフラアーキテクトを務めるアーロン・エバートウスキ氏はいう。
早期テスターから報告されている情報の中で大きな制約が1つある。それはAzure RemoteAppで「Windows Server 2012」しかサポートされていないことだ。つまり、レガシーアプリは機能しない。
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