仮想デスクトップ(VDI)との違いは?
本格流行の前にサクッと学びたい「サービスとしてのデスクトップ」(DaaS)活用法
VDI(仮想デスクトップインフラ)と比較されることの多いDaaS(Desktop as a Service)。仕組みや特徴にはどのような違いがあるのか。また、DaaSの最適な活用法とは? DaaS導入の成功事例から探る。
最近はDaaS(Desktop as a Service)が大きな話題を集めており、誰もがクラウドベースのデスクトップへと移行しつつあるかのように思えるかもしれない。だが実際のところ、この市場は既にニッチな市場における新たなニッチ市場にすぎない。
仮想デスクトップインフラ(VDI)が世界のPC市場で占める割合はまだ5%にも達していない。そして、そのVDIの採用を妨げている問題点はDaaSにも当てはまるものがほとんどだ。では、DaaSで解決できるユースケースにはどのようなものがあるだろうか?
実際、DaaSのユースケースの多くはVDIと重なっており、特徴としては、デバイスの独立性、中央集中管理、安定性能、リモートアクセスなどが挙げられる。それでも私は、取材するDaaSプロバイダーにはいつも、最適な導入事例にはどのようなものがあるかを尋ねるようにしている。つまり、どのような導入事例が成功しているかということだ。そこから学んだことを以下にまとめる。
VDI環境のスケールアップ
DaaSの導入例として真っ先に上がるのは、「既にVDIを導入している企業が、より多くのユーザー向けにスケールアップを考えているか、あるいは古いハードウェアをリプレースして新しいものにする必要に迫られている」というケース。このいずれかの状況に置かれた企業には、DaaSが有用な選択肢となっているようだ。非常に複雑なプロジェクトになりかねない取り組みを、そのままDaaSに引き継いでもらえるからだ。
オフサイトの従業員
もう1つよく出てくるのが「リモートユーザー」というキーワードだ。この点はVDIも同様だ。
だが、クラウドベースのデスクトップならではの利点もある。複数のデータセンターを利用すれば、社内のVDIで提供する場合よりも地理的に近いデスクトップへのアクセスをユーザーに提供できる。このメリットを享受するには、複数のプロバイダーを利用しなければならない場合もあるが、DaaSを構築するプラットフォームにはそれほど種類がないため、恐らく複数のプロバイダーで同一のプラットフォーム(と管理手法)を使用できる。
確かに、VDI環境を地理的に適切な場所に置くことも可能だ。だがDaaSにはインクリメンタルな(積み上げ型の)スケーラビリティがあるため、システムを多めに買う必要がなく、また買い足りないかを心配する必要もない。
請負業者と臨時労働者
VDIを導入していない企業にとって、DaaSは派遣などの臨時労働者にぴったりの選択肢となる。ウイルスに感染したノートPCを本番環境のネットワークに持ち込まれるより(私は何年も前にコンサルタントとして、このミスを犯してしまったことがある)、臨時労働者には好きなデバイスをゲストネットワークで自由に利用してもらい、DaaSデスクトップをあてがえば、必要なデータへのアクセスを比較的セキュアなやり方で提供できる。
こうした分離のメリットの他に、「インクリメンタルなスケーラビリティのおかげで、デスクトップ料金をユーザーの人数分だけ支払えばいい」という利点もある。使うかもしれないからと予備を待機させておく必要がなく、デスクトップを必要とする請負業者や臨時労働者を追加で雇う場合に備えて、VDIハードウェアを多めに購入する必要もない。
クラウドバースティング
これは潜在的なユースケースであって、既に広く使われているわけではない。クラウドバースティングの背景にあるのは、「オンプレミスのVDIをクラウドプロバイダーと連係させれば、VDI環境の容量が足りなくなった場合にクラウドにシームレスに接続して不足分を補える」という考えだ。クラウドバースティングについては、クラウドコンピューティングが登場したごく初期のころから語られているが、完全に自動化された集中管理型のクラウドバースティング製品はまだ今のところリリースされていない。
最近は、米Citrix SystemsのVDIソリューションを利用している企業がCitrix Service Provider(CSP)プログラムのプロバイダーと提携して追加の容量を融通するという状況も出てきている。Citrixは目下こうしたオーケストレーションの強化に取り組んでおり、今後の成熟が期待されるところだ。
クラウドバースティングに関しては、「クラウドでデスクトップをホスティングするという課題を既に達成しているのなら、なぜわざわざ社内にVDI環境を構築するのか」という裏の側面もある。最初からクラウドにデスクトップを置いてしまえば、社内のVDI環境についてあれこれ思い悩む必要もないのではというわけだ。
DaaSには他にもまだ多くの活用法があるはずだ。本稿では、クラウドベースのデスクトップの導入を成功に導く要因について、プロバイダーとの対話で頻出するポイントを取り上げた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
顧客対応から現場まで支援、フィールドサービスを変えるAIエージェント基盤とは -
製品資料
現場のスケジューリング不全を解消、フィールドサービス業界におけるAI活用 -
製品資料
AI活用で開発効率は本当に上がる? レビュー負荷を抑える新たな開発環境とは -
製品レビュー
複数のAIモデルを一元管理するには? 開発者の自由と組織の統制を両立する秘訣 -
市場調査・トレンド
グローバル脅威2025:AIで変わるサイバー攻撃、最新手法と防御策を徹底解説
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
2
「HDD終了」は本当か 巨大クラウド2社が下した大容量フラッシュへの決断
-
3
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
4
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
5
「データ集約」はリスクだらけ? 分散型データセンターが“必然”になる理由
-
6
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
-
7
10年かけてBIを再構築したアマノの一手 「権限がない」「予算がない」でもDXは動かせる
-
8
レビューで高評価だったAI生成コードが本番環境でエラーを多発する理由
-
9
人気のプログラミング言語「Rust」と「Python」の違いは何か?
-
10
【漫画付き】"RAG導入失敗3例"と処方箋 「入れても使われない」を終わらせる
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
2
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
3
属人化や仕様バグはなぜ起きる? AI時代に必須のドキュメント文化の作り方
-
4
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
5
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
6
中小企業必見、Microsoft 365でゼロトラストセキュリティを実現する方法
-
7
5分で分かる「AI駆動開発エージェント」 要件定義から設計・実装・テストまで
-
8
動画で知るランサムウェア被害企業のリアル、会計データが無事だった理由とは
-
9
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
10
NTTドコモが実践したクラウド統合監視 業務量2倍でも残業削減を実現できた理由
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー