モンスターボールだけに
「Pokemon GOはビジネスも変える」が“的外れな意見”ではない理由(1/2 ページ)
世界で史上最大級のヒットとなっている「Pokemon GO」。Pokemon GOによって拡張現実(AR)を活用するハードルが下がり、今後は幅広い分野に普及する活用される可能性がある。
スマートフォン向けゲームアプリケーション「Pokemon GO」は米国で日間アクティブユーザー数が「Twitter」のアプリケーションを追い抜き、「Android」スマートフォンへのダウンロード件数は大流行中の出会い系アプリケーション「Tinder」を上回っている。Pokemon GOは、スマートフォンのカメラやGPS、画像処理、位置センサーを使って、「ポケットモンスター」(ポケモン)と呼ばれるキャラクターが現実に公園のベンチに腰かけたり頭上を飛び回ったりしているかのようにスマートフォン画面に表示する無料ゲームだ。既に米国では、モバイルゲームアプリケーション史上最大級のヒット作となっている。そしてこれは、この先起きるであろう変化の前触れでもある。
私の周りでも20代の仲間がポケモンを捕まえようと、ゲームでのアイテムを供給する「ポケストップ」やポケモン同士を戦わせる「ポケモンジム」に指定された近くの教会や公園などを歩き回っている。まだPokemon GOをダウンロードしていない私は例外的な存在だ。だが私にも分かることがある。スマートデバイスを活用した「拡張現実」(AR)は企業にもすぐに広まることになりそうだ。
企業によるAR活用
実際、企業は既にPokemon GOの登場前からAR活用に取り組んでいる。新興企業のAtheerとOsterhout Design Group(ODG)は医療やエンジニアリング業界向けのARヘッドセットを販売している。またMicrosoftは、ARと仮想現実(VR)関連のプロジェクトで自動車や建築、住宅リフォームなどさまざまな分野の企業と提携している。だがARの採用ペースはこれまでのところ緩やかだ。調査会社Gartnerの主任アナリスト、トゥオン・ニューエン氏はその主な理由として、これまでのAR技術は業界特化型であったことと、特別なハードウェアを必要としていたことを挙げる。
「AR技術はまだ一般向けではない。だがPokemon GOの爆発的人気によってARを取り巻く状況は活発化するかもしれない。ARについての理解が広がり、ARに心を躍らせる人たちが増加するだろう」とニューエン氏は語る。そうなれば、企業によるARの活用が進み、競争も活発化するはずだ。実際、Microsoftのサティア・ナデラCEOは、Pokemon GOについて、「『HoloLens』への大きな関心を喚起してくれるかもしれない」とCNBCに語っている。HoloLensはMicrosoftが開発中のARヘッドセットだ。現実空間に3Dホログラムを投影することによって、ユーザーはその映像を含む空間をあたかも現実であるかのように体験できる。
調査会社Blue Hill Researchの最高調査責任者ヒョン・パク氏は、Pokemon GOの爆発的ヒットは「企業がアプリケーションを開発して、顧客にサービスを提供し、従業員の業務遂行を支援する方法」を変革することになると予想する。同氏によれば、Pokemon GOには企業に重要な価値をもたらすであろう2つの側面があるという。1つは状況に応じたフィードバック、もう1つはデジタルな物体と現実の物体をスマートフォン画面で1つの映像に統合するという側面だ。
「スマートフォンが“今まさに見ているものを補うレンズ”として認識されるようになれば、企業もプロセッサやコード、コンテキストで実現するAR技術を何らかの形で自社製品に追加することの価値を理解するようになるだろう」とパク氏は語る。
例えば企業はARを使って、顧客に複雑な製品の修理方法を最初から最後まで経験してもらうことができるかもしれない。あるいは、顧客の製品が本物か偽物かを認証したり、他のブランドと提携して多層的な顧客体験を提供したりといった活用法も考えられる。「企業を大きく変える真の変革となるかもしれない」とパク氏は語る。
ARの活用にとって1つ障害となるのは学習曲線だ。だがAppleのスマートフォン「iPhone」がタッチスクリーン技術の浸透に貢献したように、Pokemon GOがAR活用のハードルを引き下げてくれるかもしれない。「Pokemon GOはARを遊びや仕事に活用する方法を多くのユーザーに教えることになるだろう」とパク氏は語る。
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