「ラストマイル配送」の5大課題【後編】
トイレに立ち寄る時間もない――コロナ禍のEC活況で疲弊する配達員
企業が可能な限り迅速に顧客に商品を届けるための鍵は、配送における最終拠点から配送先までの「ラストマイル配送」だ。本稿ではラストマイル配送が抱えがちな課題とその原因を紹介する。
前編「『翌日お届け』至上主義が顧客離れを招きかねない“深刻な理由”」は、配送の最終拠点から配送先までの「ラストマイル配送」で起こりがちな課題5つのうち、2つを紹介した。後編は、残る3つの課題を紹介する。
課題3.配達員に課す無理なノルマ
企業は、配達員に無理をさせないことと、ラストマイル配送の成功とのどちらを優先するかの選択を迫られることがある。配達員を人道的に扱うことと、迅速な配送による利益をてんびんに掛けたとき、企業によっては利益を優先する場合がある。企業が配達員に高い配送件数ノルマを課すと、配達員は安全ではない、または実現が難しい選択をせざるを得なくなる可能性がある。
「厳しい配送期限によって、トイレに立ち寄る時間もない配達員がいる」。そう話すのは調査会社Forrester Researchでアナリストを務めるスチャリタ・コダーリ氏だ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって一部の公衆トイレが閉鎖されたことが、この問題を深刻化させているとコダーリ氏は話す。だがパンデミック(世界的大流行)が起こる前でさえ、厳しい配送期限の影響で20分の休憩すら取れない配達員もいたという。
課題4.小口配送の非効率性
配送商品、配送期日についての顧客の要求はますます厳しくなっている。企業は顧客の希望を満たそうと努め、配送先の顧客が1人だとしても配送するのが一般的になっている。こうした小口配送には、非効率性という課題がある。例えばフードデリバリーサービスの「DoorDash」や「Uber Eats」は、レストランやコンビニから一人一人の顧客に対して個別に配送をする必要がある。
課題5.誤配送
コンサルティング会社Accentureのラストマイル配送に関するレポート「The Sustainable Last Mile」によると、全てのラストマイル配送の5~10%が失敗し、そのたびに約5ドルのコストがかかっている。「配送失敗の多くは、配達員が間違った住所に配送することで起きる」とEコマース(EC)関連企業Whele(Perchの名称で事業展開)のCEOクリス・ベル氏は話す。顧客が注文の際に間違った住所を入力することもあれば、配送期日が迫っているために配達員が焦って住所を読み間違えることもある。
配送に失敗すると、企業は交換商品を発送し、場合によっては間違って配送した商品を回収しなければならない。こうした余分な手順によって企業のコストが増加する。荷物の誤配送は商品のブランドの評判を損なう恐れがある。顧客はもっと信頼できる企業から商品を購入しようと決断する可能性もある。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
製品資料
[株式会社ウェーブスプリッタ・ジャパン] 100Gbps対応の光トランシーバーはどう選ぶ? 10分で分かる選定のポイント -
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発の生産性と機密性を両立、自社環境で構築する「セキュアAI」活用術 -
製品レビュー
[ServiceNow Japan合同会社] 問い合わせの約9割を自動で解決、AI主導の自律型CRMがもたらす業務変革の全貌 -
市場調査・トレンド
[ServiceNow Japan合同会社] AI活用が業務自動化で止まる理由は何か? 調査で判明した課題と変革への道筋
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
2
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
3
Anthropicが明かす AIは入力データを「どこまで覚えているのか」
-
4
GitHubが指摘 AIが書いた「おそらく動くコード」が招くシステム崩壊
-
5
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
6
「高すぎるGPU」を捨てAI推論をCPUへ Armが示す電力とコストの現実解
-
7
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
8
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
9
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
10
指示待ち新入社員はもう不要? AI時代に評価される人材が持っているスキルは
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
-
9
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
10
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー