「ラストマイル配送」の5大課題【前編】
「翌日お届け」至上主義が顧客離れを招きかねない“深刻な理由”
配送の最終拠点から配送先までの配送を指す「ラストマイル配送」に課題があると、顧客の信頼を失ったり、収益減につながったりする恐れがある。企業が直面する恐れのあるラストマイル配送がはらむ課題とは。
現代の企業は、消費者のニーズを満たすため、可能な限り迅速に商品を消費者の手元に届けなければならない。配送の最終拠点から最終配送先までの「ラストマイル」における配送を、いかにスムーズに実施するかが重要だ。ラストマイル配送は、サプライチェーンの中でも適切な実施が難しいと考えられている。
一般的にラストマイル配送は、顧客の自宅に荷物を届ける宅配を意味する。倉庫などの企業の配送最終拠点から、荷物の届け先である顧客の自宅までの区間には、さまざまなリスクが潜んでいる。ビジネスリーダーはそのリスクを把握し、理解する必要がある。
ラストマイル配送でトラブルが起きると、企業は顧客も収益も失うことになりかねない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)によってオンラインショッピングが活況になったことで、この問題は激化の一途をたどっている。企業のリーダーは、まずはラストマイル配送で課題が生じる理由を把握し、配送業務を改善する戦略を立案しなければならない。
本稿は、ラストマイル配送における最も一般的な課題を5つ紹介する。
課題1.「配送の速さ」にこだわった結果の信頼喪失
ラストマイル配送で最も難しいのは顧客の期待に応えることだ。顧客がラストマイル配送における企業の行動に失望すると、商品を返品したり、他社に乗り換えたりする可能性がある。コンサルティング企業Ernst & Youngの米シカゴ拠点でビジネスと技術についてのコンサルティングパートナーを務めるデイブ・ホロマン氏は、「輸送トラックの故障や悪天候は消費者には関係ない」と話す。
「企業は配送の速さを最優先するよりも、期日を守る方が重要だ」とホロマン氏は言う。荷物の配送に5日掛かるとしても、企業が期日通りに顧客の手元に荷物を届けることができれば、「1日で配送する」と約束してそれを守れないよりも、顧客にとっては好印象になる可能性がある。
課題2.予測不能の事態への対処
想定外の問題の頻発が、ラストマイル配送の計画を妨げる恐れがある。大都市圏で特によく起きるのは交通の問題だと、Whele(Perchの名称で事業展開)のCEO、クリス・ベル氏が説明する。大都市圏では、予定外の一方通行があったり、駐車場が不足していたりすることによって配送時間に遅れが出る可能性がある。Perchは米ボストンを拠点とする企業で、Eコマース(EC)大手Amazon.comで商品を販売している直接販売企業の買収を手掛ける。
タイムリーな配送を妨げる新たな要因に、道路を走るトラックの台数を挙げる専門家もいる。米ラスベガスの自動車部品販売会社Auto Parts 4LessのCEO、クリストファー・ダベンポート氏は「ECによる販売数増加によって小包の配送量が増えている」と話す。新しいECサイトやECの取引件数が増えるにつれて、通りの混雑が悪化するとダベンポート氏は考える。
配送を遅らせる要因は他にもある。「雨や雪が降ると配送商品がぬれる恐れがある。そうなると配達員が、商品を留守宅前に置いていけない」とベル氏は話す。トラックが故障したり、配達員が病気になったりすることもある。
後編は、残る3つの課題を紹介する。
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