ソフトウェア開発だけじゃない「アジャイル」活用【後編】
ビジネスリーダーが「アジャイル」を生かす鍵は“失敗の許容” その真意とは
ソフトウェア開発手法として普及した「アジャイル」の考え方は、開発だけではなく、さまざまなプロジェクトで活用できる。そのこつとは。
前編「ビジネスリーダーが『アジャイル』を生かす組織づくり 最初にすべきこととは?」は、迅速なシステム提供を目指すソフトウェア開発手法である「アジャイル」の考え方を、ソフトウェア開発以外でも生かす5つのヒントのうち2つを紹介した。後編は、残る3つのヒントを紹介する。
ヒント3.IT製品/サービスをプロジェクト実現の手段にする
アジャイル推進組織「アジャイルチーム」のメンバーの生産性を高めるには、適切なIT製品/サービスの導入が重要だ。例えば特に重要なIT製品/サービスにコミュニケーションツールがある。会議中にメンバーのPC画面を共有する機能、デジタルホワイトボードを使ったブレーンストーミングを可能にする機能、チャットで他のメンバーとアイデアを交換できる機能などを備えたコミュニケーションツールは、アジャイルチームの創造性と迅速性を飛躍的に高めることができる。
適切なIT製品/サービスを用意すれば、アジャイルチームのメンバーは変化に備えやすくなる。例えばIT製品/サービスを利用すると、メンバー間で最新情報を共有しやすくなる可能性がある。例えばビジネスリーダーがコミュニケーションツールの情報共有機能を使って、メンバーに最新の作業状況を提供するよう促せば、メンバー同士のコミュニケーション不足を解決できる可能性がある。
ヒント4.失敗は悪ではないと考える
アジャイルチームは迅速さを最優先に考えるため、それに伴う失敗のリスクを許容せざるを得ない場合がある。そうした失敗は、プロジェクト進行途中の複数の段階で起きることもある。通常、失敗は悪いことではない。失敗から学び、失敗によって改善が進むためだ。プロジェクトを小さな要素に分けることで、途中で失敗を見つけて解決するのが容易になる。
ヒント5.成功に報いる
最終的な目標はプロジェクトの成功だ。ビジネスリーダーもアジャイルチームのメンバーも、成功の定義を見直さなければならない。
例えば、ある企業は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が始まって事業の方針を迅速に方向転換する中で、セルフサービスのナレッジベースに顧客を誘導する仮想アシスタントサービスを公開した。プロジェクト進行中に自信を持ったその企業は、人工知能(AI)技術を利用した新しいサービスを試験的に公開すると決めた。だが、その評価は散々だった。なぜだろうか。同社は仮想アシスタントと顧客のやりとりの中で、人間の担当者へのエスカレーションが必要になるタイミングを4つしか特定していなかった。実際には8つのタイミングがあることが分かった。
このプロジェクトには2つの問題があった。この企業が8つのエスカレーションのタイミングのうち、4つを見逃していたことが1つ。試験版であると伝えずにサービスを公開したことが1つだ。その結果、顧客はこの会社を酷評し、サービスに低評価を付けた。それは全社的な顧客満足度スコアに影響した。
この企業はそうした失敗を通じて仮想アシスタントサービスを改善できた。同社は新しいサービスをテストする新たなプロセスを開発した。そのプロセスではサービスを全顧客が無作為に利用できるようにするのではなく、利用可能にする顧客の属性を定めた。その結果、見落としていたエスカレーションのタイミングをさらに2つ見つけた。将来に向けて、自社の評価に影響を及ぼすことなく顧客からのフィードバックを得る方法も把握できた。同社がサービスに修正を加えるとすぐに、同社の評価は大きく上昇した。
最終的にプロジェクトは成功した。問題を解決したこのチームは、評価されるべきだ。ただしビジネスリーダーは、問題を生み出したメンバーを指導し、再発を防ぐ必要がある。
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