「成功する」ビッグデータ活用の取説【中編】
「何を集めるか」がデータ活用の成否を分ける 9割の企業が悩む意外な要素は?
データ活用の目的を明確にすれば、どのようなデータを収集すればいいのかも見えてくる。ただし問題はそれだけではない。ビッグデータの活用に当たっては、企業はどのような課題を乗り越える必要があるのか。
前編「ビッグデータの価値は量ではなく『正しい意思決定』 引き出す方法は?」に続き、本稿はデータ収集プロセスの手順の他、データ収集する際の課題と解決法を取り上げる。
データ収集プロセスの手順
併せて読みたいお薦め記事
抑えておきたいビッグデータの基礎知識
ビッグデータ活用に役立つ技術・製品
データ収集プロセスの出発点になるのが有用なデータソースを見極めることだ。それが決定したら、収集したデータを保管場所に移動させ、そのデータにアクセスするための仕組みを構築しなければならない。このプロセスにおいては「ETL」、つまり抽出(Extract)、変換(Transform)、読み込み(Load)の手順が必要になる。
- 抽出:データソースからデータを取り出す
- 変換:不要な要素を削除し、ビジネスで使用できる状態にする
- 読み込み:データをデータベース、データウェアハウス、データレイクなどに移動させ、データへのアクセスを可能にする
データ活用の担当者はこれらの手順を構築する際、使用するデータの信頼性を確保する方法や、データが使用できる状態に変える方法などを考える必要がある。
IT分野の研究開発を専門とするAT&T Labs Researchの元主任研究員で、スティーブンス工科大学(SIT:Stevens Institute of Technology)のビジネススクールで上級研究員を務めるデビッド・ベランガー氏は次のように話す。「収集したデータによって、どう活用できるかが決まる。反対に活用方法が明確であれば、どのようなデータを収集すれば良いかが分かる」
ベランガー氏によると、収集するデータが決まると、さらに「必要なデータをどこから入手できるのか」「そのデータソースを信頼できるのかどうか」「データの品質はどのような状態なのか」「データソースは社内なのか社外なのか」など、幾つかの疑問点が出てくる。
データ活用で9割の企業が悩む“あの課題”
他にも企業が頭を悩ませている課題がある。「技術的な課題、組織的な課題、場合によってはコンプライアンスの課題など、さまざまな種類の課題がある」と話すのは、データ活用の支援サービスを手掛けるGrid Dynamicsの最高技術責任者(CTO)であるマックス・マルティノフ氏だ。具体的には、次のような課題がある。
- 自社が保持する全てのデータを把握し、管理すること
- 社内外の垣根を越え、必要なデータ全てにアクセスすること
- データの品質を確保し、維持すること
- データの読み込みに適切なツールを選定し、正しく使用すること
- 自社のデータ活用の目的に合わせ、必要な人材を確保すること
- データ活用による成果創出と、セキュリティや個人情報保護を両立させること
このように、企業はデータ活用に取り組む際にさまざまな課題に直面する。データ活用のコンサルティング企業NewVantage Partnersが実施した調査では、データ活用を成功させる上での最大の課題として、回答企業の約92%が「文化」を挙げている。調査に回答したのは、米誌『Fortune』が発行する企業の売上高ランキング「Fortune 1000」にランクインする企業と、業界のリーディング企業の計85社だ。文化とは、具体的には社風や従業員の考え方、どれほどビジネスの変革に取り組むマインドがあるかなどだ。一方で、技術面での制約を障壁として捉えている企業は、約8%にすぎなかった。
後編は、ビッグデータ収集のベストプラクティスを紹介する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略 -
製品資料
[o9ソリューションズ・ジャパン株式会社] 「サプライチェーン最適化」実践ガイド:効果的な意思決定を実現する秘訣とは? -
製品資料
[株式会社リンプレス] 非デジタル/IT人材を「自走するDX推進者」に変えるための育成ロードマップ -
市場調査・トレンド
[ワンアイルコンサルティング株式会社] AI時代の組織設計:「判断と責任」を人に残すための2つの原則とは? -
技術文書・技術解説
[ワンアイルコンサルティング株式会社] システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
2
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
5
「AIバブル」は崩壊するのか? 熱狂の後に来る“尻拭い”と4つの防衛策
-
6
パナソニックが国内製造26拠点のERPを「SAP S/4HANA」に統一 アドオン7割削減
-
7
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
8
高額な「AI PC」を一般従業員も使えたら? 費用のハードルを一気に下げる方法
-
9
守るべきは「開発者のフロー状態」 AIによる生産性改善の6施策
-
10
「RAGの利用」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
2
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
6
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
7
「人員を増やす」という選択肢はない 情シスが負の連鎖から抜け出すには?
-
8
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
9
「問題が深刻化しやすいプロジェクト管理」から脱却する方法とは?
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー