中小企業が知っておきたい運用管理/資産管理ツールの選定ポイント【第1回】
運用管理/資産管理の全体像を整理しよう
ITの管理/運用を担う人材が限られている中小企業では、運用管理/資産管理ツールを賢く使いこなすことがIT運用における負担を軽減する上でも極めて重要だ。今回は運用管理/資産管理の全体像を整理してみよう。
中小企業はITの管理/運用を担う人材が限られ、本業との兼任でカバーされているケースも少なくない。そのため、運用管理/資産管理ツールを賢く使いこなすことがIT運用における負担を軽減する上でも極めて重要だ。そこで本連載では年商50億円未満の中小企業に焦点を当て、運用管理/資産管理ツールを選定する上でのポイントについて解説していくことにする。
そもそも運用管理/資産管理ツールとは何か?
運用管理/資産管理ツールとは「ハードウェア(サーバ/PC/ネットワーク機器など)」やソフトウェア(OSやアプリケーション)といったIT資産を適切に利用するための製品/サービス」と定義することができる。しかし、「IT資産を適切に利用する」といわれても抽象的でピンと来ない方も多いだろう。運用管理/資産管理ツールと一口にいってもその守備範囲は非常に広く、多種多様な製品/サービスが存在する。そのため、中小企業にとっては「どこから手を付ければ良いのか分からない」という状態に陥ってしまいやすい。そこで、「IT資産を適切に利用する」ためにツール側に求められる役割を「監視する」「設定する」「統合する」の3つの観点に分けて整理してみよう。
【監視する】
IT資産がどのような状態にあるのかを把握する役割である。「サーバ稼働監視」「PCの操作ログ監視」などがここに含まれる。「アプリケーションが応答しなくなったらメールで知らせる」といった仕組みも「監視する」の1つだ。
【設定する】
IT資産の動作を規定する役割である。「社員が不正なアプリケーションを導入・起動するのを禁止する」「サーバ上で実行するバッチ処理を定義する」などが含まれる。Windows Serverが備えるコマンドラインツール「PowerShell」を利用した処理の自動化は「設定する」を実現する半自作ツールと捉えることもできる。
【統合する】
「監視する」や「設定する」の役割を担うツールを1つにまとめ、横断的に管理できるようにするのが「統合する」の役割だ。「統合運用管理/資産管理ツール」と呼ばれるものの多くは「監視する」や「設定する」の各ツールを網羅的にそろえ、それらを「統合する」仕組みも備えている。また、「社員からのトラブル報告を優先度順に整理し、過去の回答結果を参照することで効率化する」という役割を担う「ヘルプデスクサービス」と呼ばれるツールも存在する。これも広い観点で「統合する」の役割に属するといえるだろう。
管理/運用を行う「対象」を明らかにする
さらに、こうした「役割」をどのようなIT資産に対して担うのか、という観点を加えると全体を整理しやすくなる。つまり、管理/運用を行う「対象」を明らかにするわけだ。冒頭で述べたように運用管理/資産管理ツールの「対象」となるIT資産は多岐にわたる。それらを細かく分類すると煩雑になるので、ここでは「サーバ」「PC」「ネットワーク」といった目に見えるモノで分類し、それぞれで稼働するOSやソフトウェアも含めて捉えることにする。例えば、「PC」といった場合はPCのハードウェア、OS、PCで稼働するアプリケーションを全てまとめたものを指す。
「役割」と「対象」の観点から運用管理/資産管理ツールの守備範囲を整理したものが以下の図だ。例えば、「サーバ監視」に特化したツールは[1-2]に該当する。「各PCのどのようなアプリケーションが導入されているかを把握でき(監視)、不正アプリケーションの導入/起動を禁止できる(設定)」というツールは[1-1]と[2-1]をカバーしていることになる。「統合する」については「PCのみ」や「サーバのみ」を対象とするケースは少ないため、1つの区分にまとめてある。
まずはこの図表を元に、ツールを導入しているのに負担が軽減されない、あるいは手作業からツール活用に切り替えたいと考えているという箇所がどれかを確認してみるとよいだろう。全ての箇所で適切なツールを活用できれば理想的だが、それはなかなか難しい。最も負担が大きい箇所はどこかを比較検討するためにも上記のような枠組みで俯瞰してみることが大切だ。
どのような製品/サービスが利用されているのか?
運用管理/資産管理ツールの全体像を整理できたところで、実際の導入状況を見てみよう。以下のグラフは何らかの運用管理/資産管理ツールを利用している年商50億円未満の中小企業に対し、「導入済みの最も主要な運用管理/資産管理ツール」を尋ねた結果である。
ここでは上記に述べた「役割」や「対象」で分けることはしていない。つまり、運用管理/資産管理ツール全体で見た時に、どのような製品/サービスを導入している企業が多いかを表したものである。
上位に位置している「Systemwalker」「Microsoft System Center」「JP1」「WebSAM」「Tivoli」などはいずれも統合運用管理/資産管理ツールに属し、先に挙げた図の[1-1]~[1-3][2-1]~[2-3][3]の7つの区分全てをほぼカバーしているものだ。中小企業でも意外と統合的なツールが導入されていることが分かる。確かに「サーバの管理/運用は自動化されているが、PCの資産管理は全くの手作業」という状態では会社全体としての効率はほとんど変わらなくなってしまう。優先度に基づく取捨選択は必要だが、対策が偏りすぎないようにすることも大切だ。
運用管理/資産管理は将来的にはバックアップやセキュリティと融合していく
次回以降は「サーバを対象とした場合」「PCを対象とした場合」「統合的なツール活用が必要となる場面」について、それぞれ詳細を解説していく。その前に、運用管理/資産管理ツールの将来像について補足しておきたい。冒頭で「IT資産を適切に利用するための製品/サービス」が運用管理/資産管理ツールであると述べた。だが、「IT資産を適切に利用する」のであれば、「バックアップツールやセキュリティ対策ツールも含めるべきでは」と考えた方もおられるのではないだろうか。実際、ユーザー企業にとって見れば「運用管理/資産管理ツール」「バックアップツール」「セキュリティ対策ツール」は「IT資産を適切に利用する」という目的では同じ位置付けとなるだろう。
これら3つが異なるカテゴリに属しているのは主にツールを提供する側がこれまでたどってきた経緯によるものだ。一方、以下のグラフをご覧いただきたい。これは年商50億円未満の中小企業に対し、「運用管理/資産管理ツールに関して今後重視する事柄(複数回答可)」を尋ねた結果だ。
「バックアップソリューションとの統合」や「セキュリティソリューションとの統合」が多く挙げられていることが分かる。つまり、ユーザー企業のこうしたニーズを受けて、「運用管理/資産管理ツール」「バックアップツール」「セキュリティ対策ツール」は将来的に融合していく可能性が十分あるわけだ。その時には3つが融合した新たな呼び名が用いられることになるのかもしれない。
このようにツールの分類や名称はユーザー企業のニーズとともに少しずつ変化していく。そうした変化の過程ではツールを提供する側が定める分類や名称がユーザー企業のニーズが合致しない状況も生まれやすい。その時に正しい選択をするためにも、先に挙げた「役割」と「対象」に基づく図表といった「ユーザー視点での情報整理」が重要となってくるわけだ。本稿がそうした正しい選択の一助となれば幸いである。次回は「サーバを対象とした場合」の運用管理/資産管理ツール選択ポイントを取り上げる。
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中小企業が知っておきたい運用管理/資産管理ツールの選定ポイント
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