「生産性測定」の難しさ【前編】
Microsoft「生産性スコア」はなぜ批判された? テレワーク可視化の利点と課題
テレワーク体制が続く中、企業は従業員の生産性を測定するための新しい手段を求めている。ただし測定と監視の差は紙一重だ。その違いを考えると、Microsoftの「生産性スコア」に集まった反発の原因が理解できる。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が始まった当時、テレワークへの移行で従業員は調整を強いられた。テレワークの方が生産性が高まる従業員もいれば、テレワークになじめない従業員もいた。
テレワークが続く中で、生産性に対する期待は変化している。今はさまざまな企業が、従業員の勤務状況を把握できるツールや測定基準を求めるようになった。こうした中、どうすれば生産性や仕事ぶりを適切に測定できるかが課題となっている。
Microsoft「生産性スコア」はなぜ反発を招いたのか
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「従業員の管理はテレワークにとって最大級の課題だ」と、調査会社Metrigyのアナリスト、アーウィン・レイザー氏は言う。企業と管理職は、従業員の仕事ぶりやコミュニケーションツールの使用状況に関する情報を提供してくれる何らかの分析ツールを必要としている。
調査会社J Arnold & Associatesのアナリストであるジョン・アーノルド氏は、「これからのテレワークには、従業員の生産性を測定するための新しい指標やアプリケーションが増えるだろう」と予想する。
Microsoftは、従業員がアプリケーションの機能をどう使っているかを測定し、同じような企業と比較して点数化するツール「生産性スコア」(Productivity Score)を、サブスクリプション方式のオフィススイート「Microsoft 365」(「Office 365」)向けに導入した。
生産性スコアは以下のような項目を測定する。
- 「Microsoft Teams」をはじめとするアプリケーションの使用時間
- 複数のデバイスを横断してアプリケーションを使った従業員の人数
- ネットワーク接続の品質
- 従業員による共有ワークスペース(仮想的な作業場所)の利用状況
一部では生産性スコアに対する反発もあった。原因は、生産性スコアで捕捉するデータの量に加えて、管理職が個人単位で従業員を追跡したり名前で従業員を検索したりできる機能にあった。主な批判の的になったのは、生産性スコアが従業員の効率性を恣意(しい)的に測定するため使われる可能性がある点だった。
こうした批判に応えてMicrosoftは生産性スコアに手を加え、監視を意図したものではないと説明。製品から「従業員の名前」の項目を削除した。Microsoftは、生産性スコアの目的がエンドユーザーの行動の点数化ではなく、ある技術が企業にどう採用されているかという状況の測定にあることを明確化するために、ユーザーインタフェース(UI)を変更すると表明した。
レイザー氏は、もし自分自身が従業員のテレワークを管理していたら、管理ツールのダッシュボード「従業員は対話しているかどうか」「会議ツールを使っているかどうか」「Webカメラのスイッチを入れているかどうか」といったことを確認できるようにしておきたいと話す。「これらのステータスが達成できていない場合はすぐに原因を特定し、そこに存在しそうな懸念に対処できるからだ」(同氏)
こうしたニーズは常にプライバシー問題との戦いになる。従業員は、自分が監視されていると感じる可能性があるからだ。
後編は、生産性の測定に人工知能(AI)技術を利用する動きと、生産性を測定する場合の「信頼性」を確保する方法を解説する。
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