セルフサービスBI入門【後編】
データ分析の2大問題、「Power BI」はどのように解決する?
企業のデータはオンプレミスやクラウドのアプリケーション、パブリックデータベースなど幅広い。データが場所にかかわらずデータをつなぎ合わせ、データ分析できる「Power BI」の実力を紹介する。
分析における課題
ほとんどの場合、複数のデータソースを調査すれば、ビジネスの傾向に関する有益な洞察が得られる。今日の企業は、過去にはなかった膨大な量のデータを利用することができる。だが、そのデータは、かつてないほど広範囲に散乱している。企業がオンプレミスのアプリケーションとクラウドベースのアプリケーションだけでなく、パブリックデータベースまでを組み合わせて使っているのは、珍しいことではない。クラウドベースのデータ分析なら、データがある場所にかかわらずデータをつなぎ合わせることができる。
クラウドベースのソリューションは、会社のクライアントPCやスマートフォンなど、ほぼ全てのデバイスや場所からリポートにアクセスできる。それが、米Microsoftの製品スイート「Office 365」の「Power BI」が持つメリットだ。前編「どこまでできる? データ分析の壁を取り払う「Power BI」の実力とは」では、データ分析の問題点とPower BIをはじめとする高性能なデータ分析ツールが誕生の背景を説明した。後編では実際にデータ分析が抱えているコストと複雑さの問題をPower BIがどのように解決するのかを紹介する。
歴史的に見て、データ分析の利用にはコストと複雑さという2つの大きな抑止力が働いていた。Microsoftは両方の問題を、Power BIによって解決したように思える。
データ分析に対するニーズが比較的低い企業は、Power BIを無料で利用することができる。無料版はデータ量が1Gバイトに制限されており、1時間に分析できるデータ行が最大1万行となっている。大規模なデータ分析が必要な企業向けに、有償版のPower BIが提供されている。
データ分析への取り組みにおける最大の難関が複雑さである。ただし、Power BIでは、データソースへのアクセスやリポート作成のための、シンプルなポイントアンドクリック型のインタフェースが導入されている。その上、「先月のダラスの販売個数は?」などと尋ねるような、自然言語によるクエリが可能だ。
Power BIのインタフェースの外観については、図1を参照して欲しい。ファイルデータとデータベースの両方をインポートまたは接続できる。当然ながら、Microsoftは、Excelのワークシートや同社の「Microsoft SQL Server」のデータベースなどのデータソースの利用をサポートしている。それに加え、コンテンツパックを使用することで、Power BIを米SalesforceのCRMデータベースなどのMicrosoft以外のデータソースにも接続可能となっている。図2にて利用可能なコンテンツパックの一部を紹介する。
ファイルデータをインポートしたいと考えている企業にも、多数の選択肢が用意されている。ローカルのファイルデータは使用できる。また、Microsoftはクラウドストレージ「OneDrive」や「OneDrive for Business」の使用もサポートしている。
一方で、「Power BIよりも高速で、可視化の選択肢も多いデータ可視化ツールは他にある」と指摘する専門家もいる。例えば、米Tableauの「Tableau」では、より複雑なデータ分析や多様な形式での可視化が可能だ。さらに、Tableauは地質図のようなデータソースと組み合わせることもできる。だが、Power BIは、単純な可視化やMicrosoft製品で固めている企業にとって最適だ。
データ分析全般に関するデメリットの1つとして、利用可能なデータの内容や場所、データへの接続方法を把握していなければならない点がある。探している情報を理解していることが重要となる。その理由は、全てのデータが有益なビジネスの傾向を示すとは限らないためだ。
例えば、企業がデータマイニングをした結果、前年12月の売り上げの大半は、とある従業員による売り上げだったことが明らかになるかもしれない。厳密な定義では、この情報はビジネスインテリジェンス(BI)かもしれない。だが、結果として得られた統計が、ビジネスで意味を持ち、有益な洞察を提供することはない。Power BIのようなBIツールを利用することで、企業はビジネスの傾向を明らかにできる。ただし、データ分析をする企業は、必要な情報についてもある程度の知識が求められる。
まとめ
Power BIはデータ分析におけるコストと複雑さの大半を取り除いている。ユーザーは好きなデータソースに接続して、最も便利だと感じるクエリに基づいて独自にカスタマイズしたダッシュボードを作成できる。だが、Power BIより高速で豊富な機能を備えたデータ分析ソリューションは他にもある。もしデータ分析に興味がある場合は、Power BIの無料版を使用して、このソフトウェアの長所と短所を実際に体感してみてほしい。
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