Amazon EC2の料金表をチェック
Amazonクラウドサービスの選び方
Amazon EC2の利用形態には、標準的なスタンダードインスタンスの他にもオプションを含めて多数の選択肢がある。自社にとって最も採算性の高い利用形態を選ぶ方法を解説。
クラウドコンピューティングサービスの使用料金を計算するのは、対処できないほどの難題ではないにしても、予測の難しい問題にはなり得る。例えば、米AmazonのWebサイトでAmazon Elastic Compute Cloud(EC2)サービスの料金表のページを見ると、標準的なスタンダードインスタンスの他に、ハイCPU、リザーブド、オンデマンド、スポットなど、多数のオプションが並んでいる。こうした全ての選択肢の違いを理解するのは、ITプロフェッショナルの役割だ。CTO(最高技術責任者)はどのようにしてAmazon EC2サービスの価値を判断できるのだろう。そしてCTOはこれほど多くの選択肢の中から、自社にとって採算性の高そうな選択肢をどのようにして選び出すのだろうか。
最初に明確にしておく必要があるのは、Amazon EC2上でどのようなタイプのコンピューティングを実行する予定かという点だ。Amazon EC2では、一般的な選択肢として3種類のプランが用意され、それぞれに独自の料金体系が設定されている。3つの中で最も分かりやすいのは、「オンデマンドインスタンス」と呼ばれるものだ。オンデマンドインスタンスは、「ホスティングされている」という点を除けば、データセンターにある通常のWindowsサーバやLinuxサーバとほとんど何も変わらない。ただしオンデマンドインスタンスの場合は、サーバを使用した時間分だけ料金を支払うことになる(リソースの制限により最大使用量は決まっている)。
本稿執筆の時点(2011年5月)では、例えば、Windowsのスモールインスタンスを100%使用した場合の料金は毎月87ドル84セントとなっている。これは、1.7Gバイトのメモリと160Gバイトのストレージ容量を備えたシングルプロセッサのx86サーバと同等のインスタンスだ。
なお、この月額料金でうれしいのは、これが「サーバを1カ月間フルに利用した」という想定の下で出された月額の最大料金であるという点だ。サーバをフルに稼働させるというケースはまれであるため、実際の請求金額は恐らくこれよりもかなり少なくなるはずだ。
87ドル84セントという月額料金は、スタンダードオンデマンドインスタンスの1時間当たりの使用料金がWindowsサーバの場合12セントであることから算出したもの。実際には、サーバの使用時間に12セントを掛けた額が月額使用料金となる。ここで注意すべき点がある。それは、データのモニタリングも行わずにサーバの使用時間を時間単位で概算するのは難しいということだ。判断材料となるデータもなしに使用時間を前もって推定できるとは思わない方がいい。
サーバの使用時間の概算には、サーバインスタンスのモニタリングが役に立つ。基本モニタリングは追加コストなしで提供されており、5分ごとに集計される統計をコスト計算に活用できる(ただしデータを入手できるのは事後だ)。追加料金を支払えば、モニタリングを1分間隔にすることも可能だ。
その他のインスタンス
コンピューティングリソースを長期的に利用することが予想される場合には、「リザーブドインスタンス」を購入できる。リザーブドインスタンスは最初に予約金を支払うことで、1時間当たりの使用料金が通常よりも低めになるというもの。例えば、上述の構成のスモールサーバであれば、3年間分をリザーブドインスタンスとして購入すれば、使用料金は毎月36ドル60セントで済む。この料金も、サーバを1カ月間フルに利用した場合を想定した数字だ。ただし、このリザーブドインスタンス3年間分を購入する場合には、予約金として最初に350ドルを支払う必要がある。クラウドサービスを長期的に利用する必要があるのなら、このオプションでかなりの節約が可能だ。1時間当たりの使用料金は12セントから5セントへと大幅に削減される。
またご想像の通り、Amazon EC2のように融通性の高いシステムには必ず、稼働率が低い期間が存在するものだ。Amazonは「スポットインスタンス」と呼ばれるオプションを用意することで、そうした稼働率の低い期間を収益につなげている。スポットインスタンスでは、常時稼働が不要な作業負荷をシステム全体の稼働率が低いときに実行させることができ、料金はシステムの稼働状況に応じて変動する。
スポットインスタンスのリクエストを行うときには、1時間当たりの使用料金として支払いたい上限額を指定する。スポットインスタンスの現行価格がその入札額の範囲内であれば、そのリクエストは実行され、インスタンス終了の指示があるまで、あるいはスポット価格がリクエストの上限額を超過する時点まで続行される。
スポットインスタンスは恐らく、常時稼働の必要があるシングルサーバのシナリオには使われないだろう。だが分散システム向けに追加の処理能力が必要となるような場合には、便利だ。入札式の料金設定のおかげで、企業は自社のサービスの価値をよく検討した上でそれに見合う使用料金のときだけ追加のインスタンスを利用し、サービスを柔軟に増強できる。
当然、スポットインスタンスのこの不規則な性質を活用するサービスを構築する必要もあるだろう。スポットインスタンスは料金設定が非常に低いため、技術面でのフォローさえ適切に行えば、えり抜きの選択肢となるはずだ。
その他に検討すべき2つのポイント
サーバの負荷分散やIPアドレスの管理など、他にも幾つかサービスは用意されているが、特に注目すべきものが2つある。1つはAmazon Elastic Block Store(EBS)だ。Amazon EBSは基本的にはブロックベースのSANであり、分散システムをシングルビューで利用できる。
Amazon EBSの使用料金(こちらも本稿執筆時点のもの)は、割り当てたストレージ1Gバイトごとに毎月10セント、I/Oリクエストが100万回ごとに10セントとなっている。つまり、ストレージが高容量で、使用頻度が高いほど、コストは高くなるということだ。ただし、料金が1Gバイト単位で設定されているのなら、割り当てるストレージと実際に使用するストレージをほぼそろえることもできるだろう。追加料金を払えば、ストレージのスナップショットも利用できる。
もう1つのポイントは、Amazon EC2との間で行うデータの送受信だ。何か新しいサービスを開発したり、既存のサービスからデータを集めたりするには、Amazon EC2システムからデータを取り出す必要がある。そうしたデータ転送の料金は1Gバイト単位で設定されており、受信データについては固定料金、送信データについては転送量に応じた段階的な料金設定となっている。Amazon EC2システム間のデータ転送には、料金は発生しない。何かシステムを構築する場合には、データ転送の必要性をよく検討すべきだ。なぜなら、こうしたデータ転送コストは仮想ハードウェアの上限に影響されないため、予想外に膨れ上がる可能性もあるからだ。
AmazonのWebサイトには、料金を試算するためのシミュレーションページが用意されている。ただし試算を行う際には、利用条件に何か曖昧な点があるために見積もり額が不当に低くなっていないかどうかに注意を払う必要がある。Amazon EC2サービスの料金設定は複雑かもしれないが、ルールは公明正大だ。要は、サーバの利用率についてとんちんかんな想定を行わないことだ。そうすれば、月末にすごい額の請求書を送りつけられるようなことにはならないだろう。
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