「デスクトップOSとしてのAndroid」が気になる人のために
AndroidをPCで動かす方法と、5つの注意点
Androidをデスクトップ端末で使いたい――。こうしたニーズに応えるのが、仮想マシンでAndroidを使う方法だ。その具体的な手段と、注意すべきポイントをまとめた。
AndroidはWindowsに代わる存在になりつつある――そんな声が聞かれるようになってきた。さまざまなサイズのハードウェアで誰もが利用する、コモディティOSとなりつつあるからだ。現時点ではまだ、Androidを搭載したデスクトップPCは市場に登場していないが、実現はそう遠い先ではないだろう。今のうちに、デスクトップOSとしてのAndroidの可能性を探るのは悪くなさそうだ。
Androidをデスクトップ環境にしたときの操作感を体験することは、実は現在でも可能だ。しかも、デスクトップPCやノートPC、タブレットなどにAndroidをインストールする必要もない。仮想化ソフトが利用できるハードウェアを使い、Androidを仮想マシン(VM)として稼働させる方法が存在する。ただし、Androidが本来備えている機能の一部が利用できない場合もある。
Android端末の大半が搭載する米Intel製以外のプロセッサは、従来の仮想化技術ではサポートされていないことが多い。例えば筆者の目の前にあるデスクに置いている「HTC One」に搭載されているのは、SoC(System On Chip)プロセッサである米Qualcommの「Snapdragon 600」だ。仮想化ソフトでHTC Oneをエミュレートする機会はあまりないだろう。
幸いなことに、Androidの場合、OSのソースコードは公開されている。これを生かし、“ホビイスト”と呼ばれる自作PCユーザーや実験好きな愛好家たちが、Intel製プロセッサ向けにAndroidを移植してくれている。こうした取り組みの1つが「Android-x86 Project」だ。
Android-x86 Projectのビルドは公開されており、ISOイメージでダウンロードできる。このプロジェクトには、台湾ASUSTeK Computer、米IBM、米Dellなどのクライアント端末のハードウェアごとに、それぞれISOイメージが用意されている。筆者はテスト目的でAndroid-x86 4.3開発者用ビルドを入手して利用してみたが、VMでの動作も問題なく、マウスやポインタも利用できた。
デスクトップ用OSのLinuxやWindowsと比較するために、VMでAndroidを実行したいと考える人もいるだろう。その場合、注意すべき点が5つある。
注意点1:Androidはタッチデバイス向けに最適化されている
ほとんどの仮想化ソフトは、デスクトップインタフェース用のハードウェアを利用し、標準デバイスとしてマウスとキーボードをエミュレートする。タッチデバイスをVMで確実にサポートしたい場合は、多少の設定を追加でする必要があるかもしれない。
そのうち、この問題は解消される可能性がある。例えば米VMwareの「VMware Workstation 10」は、タブレットが備える加速度センサーなどの各種センサーを利用できる。
注意点2:AndroidにはゲストOSの追加ができない
仮想化ソフトは、サポート対象のゲストOS(通常はLinuxとWindows)にインストールするための追加パッケージを用意していることが多い。このパッケージをインストールすると、ホストOSとゲストOSはより密接に連携するようになる。例えば、クリップボードを共有したり、グラフィックアクセラレータが有効になったりする。
Androidに対しては、少なくとも現時点では、こうしたパッケージは用意されていない。従って、AndroidとホストOSとの連携には制限がある。
注意点3:サードパーティー製Androidには最小限の機能しかない可能性がある
手持ちのスマートフォンやタブレットで利用しているAndroidで、何らかのアドオンを有効にしている場合、同じバージョンのOSがVMで動作すると期待してはいけない。x86用にコンパイルされたAndroidのビルドが含む要素は、原則として自由に配布できるものだけだ。従って、最も基本的なスキンやプリインストールされたアプリのコレクション以外は、そこに見当たらないだろう。
特定のメーカー端末向けにコンパイルされているビルドも一部にはあるが、カスタマイズの範囲は通常、特定のデバイスドライバを持たせる程度に限られる。
注意点4:AndroidとデスクトップOSとの違いに注目すべき
AndroidとデスクトップOSの大きな違いは、電源イベントの扱い方だ。
デスクトップOSでは、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)のシャットダウンイベント、つまり通常は電源ボタンを押すアクションをゲストOSに送信すると、ほとんどのゲストOSは、「電源をオフにしろ、という合図だ」と解釈する。ところがAndroidは、このイベントを「電源をオンまたはスリープにしろ」という合図だと解釈する。
筆者がVMに構築したAndroid環境は、数分アイドル状態になった揚げ句にスリープ状態となり、黒い画面が表示された。筆者は最初、スクリーンセーバーが起動したと思っていた。キー入力やマウスのアクションを受け付けなくなり、勘違いに気づいた。Androidは省電力モードになっていて、通常のモードに戻すには電源ボタンを押さなければならなかった。
注意点5:全ての機能が想定通りに動作するとは限らない
何がどこまでできるのかは、使用しているAndroidのビルドや起動しているVMの機能、パススルー経由でホストに提供しているハードウェアの種類などによって、大きく異なる。筆者のテスト環境内では、AndroidをインストールしたVMでYouTubeが実行できなかった。これは恐らく、エミュレートしているビデオ表示用ハードウェアの制限のため(例えばビデオデコーディングアクセラレータが利用できないなど)だろう。
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