「幾何級数的に分裂する」Android
Androidのバージョン乱立が止まらない理由
企業がAndroid端末を導入する上で厄介なのが、OSのバージョンの多さだ。Androidはなぜ、ここまで断片化が進んでしまったのか?
韓国Samsung Electronicsは、Androidのエンタープライズ対応に向けて大きく踏み出した。だがほとんどの組織にとって、Androidはあまりにも細分化されすぎて、標準化は困難だ。
米Googleが2013年4月2日(米国時間)に発表した統計資料によると、アクティベートされた約5億台のAndroidデバイスの94%は、Gingerbread(Android 2.3.x)以降を搭載しているという。その内訳は、Ice Cream Sandwich(Android 4.0.x)が29.3%、Jelly Bean(Android 4.1.x、4.2.x)が25%、Android 2.3.xが39.8%となっている。他のバージョンが実行されているデバイスは、全体の6%だった。
こうした細分化は、IT部門のモバイル戦略にとって大きな課題だ。Androidプラットフォーム全体を通して、一貫性を維持しなければならないからである。
「自分たちの環境に持ち込まれるデバイスをコントロールできないので、IT部門は困難な戦いを強いられている」と語るのは、エンタープライズモビリティ専門コンサルティング会社である米Paladorの代表、ベンジャミン・ロビンズ氏だ。
「私物端末の業務利用(BYOD)ポリシーを持つ企業は、管理やセキュリティの面から、米AppleのiOS、米MicrosoftのWindows Phone、カナダBlackBerryのBlackBerryだけに限定した方が、Androidに対応するよりもIT部門の心労が少ない」と指摘するのは、モバイルアプリケーション(アプリ)開発コンサルティング会社、米Propelics共同創立者のアダム・ブックマン氏である。
「Androidは幾何級数的に分裂する」とブックマン氏は言う。ロビンス氏は、コンシューマーには無制限ともいえるAndroidの選択肢も、IT部門がBYOD環境でサポートするときには一定の制限を加えなければならないと語る。Androidデバイスのほとんどは、Android 2.3かそれ以降を利用しているので、BYODポリシーのベースラインもその周辺に置けばよい。ネットワークやモバイル管理リソースにアクセスする従業員は、少なくともAndroid 2.3をデバイスにインストールすべきだ、とブックマン氏はアドバイスする。
「こうすれば、一定範囲のプラットフォームをどうサポートすべきかが明確になり、IT部門にとって短期的には対処しやすくなる」とロビンス氏。「モバイルに関してはデバイスに依存しないアプローチをとり、アプリとデータの安全性に集中する方がいいだろう。なぜなら細分化は、長期的に見ても解決しそうにないからだ」
Androidの制約が細分化の要因
Androidソフトウェア開発キット(SDK)は、Android 2.0から4.2までの間に、72Mバイトから203Mバイトへ拡大した。「OSが含まれるパーティションの物理的なサイズを変更できないことが、Androidプラットフォームの細分化が進行する最大の理由の1つだ」。こう指摘するのは、モバイルソフトウェア管理ソリューションのプロバイダー、米Red Bend Softwareのマーケティング担当執行副社長、ローリー・シルビア氏である。
Red Bendの「vRapid Mobile」は、OEMメーカーが無線配信ファームウェア(FOTA)方式のアップデートをする際の基盤技術だ。vRapid Mobileの最新バージョンでは、OSの新バージョンに必要な容量をキャッシュ用パーティションから無線経由で確保し、パーティションをリサイズできる。この新機能は、ユーザーのアプリやデータを格納するスペースに触ることはない。シルビア氏は、OEMメーカーがこの機能をユーザーオプションとして利用すると考えている。
OSアップグレードにおけるパーティションサイズの制約を撤廃することで、多くのOEMメーカーや通信事業者が、より長い期間デバイスをサポートする方向に向かうことを期待しているとシルビア氏は言う。
ただし、OEMメーカーの大多数がファームウェアアップデートをタイムリーに提供し、多くのデバイスで同一バージョンのOSが実行できるようになっても、「IT部門が考慮しなければならない物理サイズと画面サイズの細分化の問題は終わらない」とブックマン氏は指摘する。
さらに、OEMメーカーによるAndroidのカスタマイズもなくならないだろう。「何しろSamsungや台湾のHTC、その他のOEMメーカーは、カスタム化によって他社との差異化を図っているからだ」(ブックマン氏)
責任の一端を担うGoogleは、この細分化の問題を解決すべく、幾つかの試みに取り組んでいる。
Googleは2011年、デバイスのリリースから少なくとも1年半はOSのアップデートをサポートするために、OEMパートナーと共同で「Android Update Alliance」を結成した。またOSのアップデートを円滑化するため、Androidのソースコードを開発プロセスの早い段階でOEMメーカーに提供するようにした。この他、Googleブランドのハードウェアの供給を開始するとともに、OSの分岐を規制するため、2013年1月にAndroid SDKのサービス利用規約を改定した。
コラム:Android細分化の要因
業界ウオッチャーによると、Androidを細分化させる要因として以下がある。
- デバイスOEMメーカーと通信事業者のOSアップデートのサポート期間は、数カ月間で終了する。ほとんどのAndroidデバイスは、製品寿命が終わるまでに1回のOSアップデートしか受けない
- デバイスOEMメーカーは、Android SDKにユーザーインタフェースのカスタム機能を追加している。また、デバイスの多くは、さまざまな画面サイズで製造されている
- Android SDKの新しいバージョンは大抵、前バージョンから大きく変更される。デバイスOEMメーカーは、OS用に一定の容量のパーティションしか確保していない。新しいバージョンのAndroidとカスタム化スキンの合計がパーティションの容量をオーバーしたら、アップデートできない
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