名前は「Android」、中身は「Chrome OS」の統合OS登場?
AndroidとChrome OSが統合か、米Googleの幹部人事で浮上
“Androidの父”ルービン氏がAndroid責任者を退任し、Chrome OS統括のピチャイ氏が同職を兼任――。米Googleが発表した幹部人事は、Android/Chrome OS統合の兆候だとの見方が広がっている。
米Googleは2013年3月13日、同社のOSの今後に影響を及ぼすであろう人事異動を発表した。Android責任者のアンディ・ルービン氏が同職を離れ、後任に「Google Chrome」や「Google Apps」を統括するスンダル・ピチャイ氏が就くことになったのだ。
ルービン氏はGoogleにとどまるが、具体的な役職はまだ明らかになっていない。ルービン氏は、Androidを「米国のスマートフォンに最も多く搭載されるOS」へと進化させた立役者だ。その過程においては、ときに携帯端末メーカーから反発を買うこともあった。
Googleのラリー・ページCEOは、この人事異動を発表したブログ投稿で過去10年間のAndroidの成長を振り返り、これまでに世界でアクティベートされたAndroid端末が7億5000万台を超えたことや、「Google Play」からのAndroidアプリケーションのダウンロード数が250億件を突破したことなどに言及している。
「アンディは、われわれがAndroidで夢見たクレイジーで野心的な目標さえをも上回り、非常に強力なリーダーシップを持つチームを築き上げた。アンディは、Android責任者の役割を後任に譲り、Googleで新しい章を開くべきときが来たと判断した」とページ氏は続ける。
ピチャイ氏は今後、Chrome/Apps部門での現在の職務に加えて、Androidの開発を統括する。同氏は、クロスプラットフォームのWebブラウザであるChromeだけでなく、「Google Chrome OS」の開発も指揮している。
端末メーカーをなだめるため?
この人事異動の狙いは何か? 一部の観測筋が指摘しているように、AndroidとChrome OSの双方をピチャイ氏の監督下に置くことは、同社が2つのOSを何かしらの方法で一本化することを計画している兆候とも考えられる。
別の説としては、「Firefox OS」などモバイルOSの新勢力登場を受け、Googleは携帯端末メーカーに対する姿勢をもっと懐柔的なものに改める必要性に気付いたのかもしれない、との指摘もある。
米調査会社Enderle Groupの主任アナリストであるロブ・エンダール氏は、米TechTargetの取材に対して次のように語っている。「ルービン氏は、OEM各社に対して厳しい姿勢で臨んでいた。『Androidを無償で入手しているのだから、メーカーは文句をいえる立場にはない』というスタンスだった」
スマートフォン/タブレット、クライアントPCでOSを一本化?
エンダール氏は、GoogleがいずれAndroidとChrome OSを一本化すると予想している。「中身はChrome OSに近いものになるだろうが、名称はAndroidが引き継がれるかもしれない」(同氏)
同氏によれば、Googleはいずれにせよ2つのOSを一本化するつもりだったが、「Google社内で勝ったのがピチャイ氏のグループだったということ」だという。
米調査会社Current Analysisのコンシューマーデバイス部門でリサーチディレクターを務めるアビ・グリーンガート氏によると、スマートフォンとタブレット向けのOSであるAndroidと、ノートPCとデスクトップPC向けのOSであるChrome OSは「対立関係にはない」という。
だが「AndroidとChrome OSは、未来のビジョンに違いがある」とグリーンガート氏は指摘する。「Androidで重視されるのがネイティブアプリケーションとローカルストレージであるのに対し、Chrome OSで重要となるのはHTML5とクラウドストレージだ」と同氏は語る。
グリーンガート氏によれば、最近はAndroidにChrome OS風の機能が追加されたり、Chrome OSにAndroid風の機能が追加されたりといった変化もみられるという。例えば、Chrome OSにはタッチスクリーンのサポートが追加された他、限られた容量ながらオフラインで利用できるストレージも追加されている。「将来的には、携帯電話機能と音声機能を備えた『Chromeスマートフォン』の登場もあり得る」(同氏)
ただしAndroidとChrome OSは、まだ管理体制が一本化されただけであり、この先OS自体も一本化されるのか、あるいは別の道を進み続けることになるのかを判断するのは時期尚早だとグリーンガート氏は語る。
なお、Enderle Groupのエンダール氏はルービン氏の今後について、「契約が終了次第、Googleを退職する」と予想している。「Googleはルービン氏に、何ら責任を伴わない適当な肩書を何かしらあてがうことになるだろう」とエンダール氏は指摘する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[フォーティネットジャパン合同会社] 複雑化しがちな「SASE運用」 IT・医療・金融などの事例に見る導入成功の秘訣 -
製品資料
[フォーティネットジャパン合同会社] 「SD-WAN」導入で失敗しないための5つの重要事項 -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] VPNの代替候補「ZTNA」を理解できるようになる“3大要素”とは? -
事例
[フォーティネットジャパン合同会社] すぐ分かる「SD-WAN」選定のポイント 成功企業はどんな成果を出した? -
製品資料
[SCSK株式会社] 「Dropbox」管理・運用の困りごと解決ガイド
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
「エージェントを作るな、スキルを作れ?」 Anthropicが提唱するAI運用の勘所
-
3
なぜ人はいるのにDXが進まない? ライオンも直面した“老害”レガシーシステム
-
4
Microsoft月例パッチ1400件超で過去最多 「限界点」を迎えたパッチ管理
-
5
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
6
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
7
SAP導入後も残る“Excel依存” 京急電鉄は「kintone」でどう解消した?
-
8
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
9
みずほ証券が「液冷サーバ」を採用 1日3.6億件の計算を支えるための要件
-
10
いまIBM iエンジニアが直面する「5つの技術的課題」とその解決策
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
7
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー