Android OSは、競合OSに比べて多くのバージョンが併存している。これを多様な製品(デバイス)の源として評価する声がある一方で、「うんざり」している人もいる。
あるOSが「断片化している」という場合、それはそのOSが多数のバージョンに分裂し、それぞれが現在進行形で使われているという意味だ。そしてそれは、古い端末のOSが最新版にアップグレードされずにいるためだ。最近は、米Googleの「Android」の断片化(フラグメンテーション)について懸念を表明する人が増えてきている(関連記事:iOSにAndroid、Windows Phone――モバイルOS多様化がもたらす課題)。
携帯端末向けOSというのは比較的新しい概念であり、「仕事にも遊びにも活用できる頼れる端末」としてスマートフォンが存在感を高めつつある中で生まれてきた。そして最近では、そうした携帯端末向けのOSをいかに上手く管理できるかが企業にとって大きな差別化要因となることが分かってきている。
かつて誰もが折り畳み式の携帯電話を使っていたころ、OSをアップグレードしたりはせず、修正が必要な深刻な問題でもない限り、メーカーがわざわざアップデートをプッシュ配信することもなかった。コンシューマーが最新版のOSを手に入れるのは、携帯電話を新たに購入するときだった。
今では、スマートフォンにもコンピュータと同程度のアップグレードサイクルが採用され、OSのアップデートは従来よりもはるかに定期的に行われている。ただし一部には、OSが複雑になり、その結果として修正(アップデート)の提供が必要になるケースが増えているのだ。
Googleのライバルである米Appleは、アップグレードパスの問題にそこそこ上手に対処している。もっとも、失策は全くなかったわけではない。例えば、iPhone 3Gを「iOS 4」にアップグレードすると動作が遅くなるといった問題が持ち上がったこともあった。AppleのiOS部門の責任者である上級副社長のスコット・フォーストール氏が先日開催されたAppleの開発者向けカンファレンス「Worldwide Developer Conference 2012」(WWDC 2012)で語ったところによれば、現在iPhoneユーザーの80%はiOSの最新版「iOS 5.x」を使っており、残りのユーザーの大半は「iOS 4.x」を使っているという。
Appleが概してOSの断片化を避けてこられたのには2つの理由がある。1つは、熱心なAppleユーザーは新しい端末が発売されるたびにアップグレードすることを常としており、いつでも最新かつ最良のOSを所有していること。もう1つの理由として、Appleは寛大にもiPhoneとiPadとiPod touchの最近の各モデルに対し、iOSの無償アップグレードを全て同日に提供開始していることが挙げられる。
米Microsoftの「Windows Phone」についても今のところ、断片化はほとんど、あるいは全く見られない。これは、OSのアップデートが広く提供されており、端末が取り残されてしまうような事態に陥らないためだ。だが「Windows Phone 8」のリリースに伴い、そうした状況も変わろうとしている。というのも、Windows Phone 8は現行の端末には一切対応していないからだ。
Androidの場合、断片化がかなり進んでいる。というより、このOSがその昔は単一プラットフォームであったのなら、「粉々に砕けている」という表現の方が適切かもしれない。
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