Pivotalとの連携を強化
IBMが本気を出したソフトウェア定義型サービス、その効果とは?
クラウドストレージやオープンPaaSの提供など積極的なクラウド戦略を展開するIBM。担当副社長が同社の目指しているクラウドの将来像を語った。
米IBMのクラウド戦略はオープン標準に加え、クラウドコンピューティングのビジョンの方向性が同社と一致する企業との多くのパートナーシップに支えられている。
IBMのSmartCloud Enterprise担当副社長を務めるデニス・クワン氏に「Software Defined Environment」(ソフトウェアで定義・制御する環境:SDE)に関する同社の計画や、Nirvanixストレージからの移行の他、PaaS(Platform as a Service)の「IBM BlueMix」(以下、BlueMix)の具体的な概要について話を聞いた。
――米NirvanixとIBMの提携を通じて販売されたNirvanixのクラウドストレージを購入した顧客には、今後どのような対策を用意しているのでしょうか?
デニス・クワン氏(以下、クワン氏) われわれは、OpenStackのSwiftコンポーネントをベースにしたストレージ機能をSoftLayer上で提供している。顧客が必要な移行を行えるよう支援するつもりだ。Nirvanixが事業打ち切りを決めたという報告を踏まえ、われわれの顧客がNirvanixのオブジェクトストレージ製品から他のソリューションに移行するのを支援していく。
――Cloud Foundryの開発を目的とした米Pivotalとの提携は、IBMの今後の戦略においてどのような役割を果たしますか?
クワン氏 われわれはオープン標準の価値と、クラウドの発展におけるオープン標準の重要性を確信している。クラウドスタックを見ると、LinuxやKVM(Kernel-based Virtual Machine)が含まれている。こうしたオープン標準ベースのオープンソース実装が、基本的なハイパーバイザーとOS機能を提供する。これらの上位層で、われわれが2012年に推進団体の立ち上げに参加したOpenStackの機能が提供されており、われわれとPivotalが協力して取り組むことを発表したCloud Foundryが、その上位層で稼働する。
われわれはPivotalとパートナーを組み、モバイルアプリケーション、ソーシャルアプリケーション、アナリティクスワークロードなどの次世代アプリケーションを開発するためのオープンプラットフォームを構築しようとしている。このプラットフォームは、こうしたアプリケーションがスケールアップし、増え続けるモバイルユーザーに対応していくために必要なサービスを提供することも目的としている。これらは全てつながっている。OpenStackがLinuxとKVMの上で稼働するように、Cloud Foundryは、スタックの下位層のOpenStackで提供される機能を利用するものになる。
――Cloud Foundryの導入をIBMを通して行うメリットは何ですか?
クワン氏 今後数カ月間に、われわれのCloud Foundry機能を利用した開発で多くの進展があるだろう。既に、そうした成果のプレビューとなるBlueMixを発表している。われわれの顧客がCloud Foundryに関するわれわれの開発成果に触れられるように、既に一部のプレビューソフトウェアがリリースされている。
――BlueMixについてもう少し説明してもらえますか? 具体的にどのようなものか、少々分かりにくいです。
クワン氏 第1に、BlueMixは今しがた言及した「OpenStackの機能とCloud Foundryを組み合わせることができるスタックのプレビューである」こと。第2に「新しい開発モデルのプレビューでもある」ことだ。BlueMixを使うことで、顧客は複数のクラウドベースコンポーネントを非常に効率的に統合し、そうしたアプリケーションの反復型開発、公開、Web上での自動スケーリングを実現するためのWebベースのプラットフォームを手に入れることができる。
――IBMが注目していて、業界が見落としている可能性があるクラウドの他の大きなトレンドがありますか?
クワン氏 業界は「Software-Defined Environment」の一部に気付き始めており、そのために「SDN(Software-Defined Networking)」分野で活発な動きが見られる。われわれにとって、Software-Defined Environmentは「顧客の間で、アプリケーションをクラウドで運用したいという傾向が強くなる」ということだけでなく、「クラウド自体もコンピュータの仮想化にとどまらず、さまざまな機能を提供する必要がある」ということも意味する。
クラウドでますます大量のワークロードが実行されるようになる見込みであり、クラウドは動的に自己再構成を行い、それらのワークロードのニーズを満たしていかなければならない。単一の統合されたインフラによって多数のワークロードの同時実行をサポートすることが求められる。これらのワークロードがそうしたクラウドの機能を、相互に処理を妨げずに共有できるようにする必要もある。
そうした仕組みをかいつまんで説明しよう。ホリデーシーズンにクレジットカードのトランザクション処理を行うミッションクリティカルな対顧客アプリケーションがあるとする。そこで欲しくなるのが、その環境で実行されるさまざまなワークロードの相対的な優先順位に基づいて、自動的にリソースを再配分できる、Software-Defined Environmentだ。
さらに、この環境は大量のリソースを配分するだけでなく、動的な監視により、アプリケーションの実行中にアプリケーションのどこにボトルネックがあるかを発見し、それに応じて多数のストレージオプションの中からストレージを選択したり、ネットワーク経路を再構成したりするだろう。これは、現在見られるクラウドのより動的なバージョンであり、SDNよりも多様な機能を実現するはずだ。
――IBMは、Software-Defined Environmentの分野で、これまでにどのような製品をラインアップしていますか?
クワン氏 この分野では、SDN製品を投入している。フラッシュを中心としたストレージのかなり大規模なポートフォリオも持っている他、こうしたリソースを動的に再配分する製品も展開している。Platform Computing部門では、ワークロードを最適化する製品を提供中だ。この部門は、われわれが数年前に買収した企業を母体としている。同部門の製品は極めて大規模なコンピュートクラウドを管理でき、リソースの動的再配分もある程度可能だ。これらの機能の多くが、われわれがこの分野で手掛けてきた早期顧客のシステムで利用されている。
さらに、われわれの研究所から生まれるものもある。研究所では、私が今までに述べた全ての製品をベースに研究開発を行い、OpenStackを拡張してこうした機能を追加していく。
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