機能重複がもたらす混乱
意外とキャラがかぶる「Office 365」と「Yammer」、センターに立つのは?
米Microsoftの戦略により、「Office 365」と「Yammer」の機能が重複するという、混乱を招く状態になっている。この状況は解消されるのだろうか。
米Microsoftは2012年に12億ドルで米Yammerを買収した。それ以来、Yammerは企業向けのソーシャルネットワーキングプラットフォームとして勢力を拡大している。MicrosoftはOffice製品ラインにYammerを組み込んでいる。また、中小企業向けの「Office 365」サブスクリプションには「Yammer Enterprise」が含まれる。
Yammerについては、さまざまなメリットがある。Yammerはビジネス仕様の「Facebook」と呼ばれていた。その理由は、YammerのインタフェースがFacebookとほぼ同じだからだ。そして、このFacebookとの類似性こそがYammerの普及に大きく貢献している。Facebookをよく使っている人であれば、Yammerを使うのは造作もない。
ただし、Yammerに欠点がないわけではない。
エンドユーザーが抱える戸惑い
Office 365の利用者からはYammerのバグに関する苦情が寄せられている。モバイルアプリの機能が不十分だという指摘もある。仮にこのような問題がなかったとしても、Yammerには改善の余地が大いにある。問題はYammer自体の欠陥よりも、YammerとOffice 365の重複機能が混乱状態を招いていることだ。混乱しているのはエンドユーザーだけではない。管理者までもが混乱している。
Microsoftが1990年代に「Microsoft Outlook」を発表したとき、筆者はOutlookの発売関連イベントに参加していた。そのイベントで、ある講演者は「Outlookはユーザーが1日の大半を過ごすアプリになる」と予言していた。この発言は現実のものとなった。Outlookは、メール、ユーザーのカレンダー、連絡先などのインタフェースへと進化を遂げている。
今日、MicrosoftはYammerがユーザーの主要アプリケーションになることを期待しているかもしれない。問題はYammerと他のOffice 365のアプリケーションで機能が重複していることだ。どの機能を使うべきかでユーザーは混乱している。よく寄せられる質問としては次のようなものが考えられる。
- 他のユーザーとの連絡にはYammerと「Microsoft Lync」のどちらを使用したらよいのか
- Yammerのメールボックスと(Outlookからアクセスできる)「Microsoft Excahnge Server」のメールボックスのどちらを使用したらよいのか
- 「Microsoft SharePoint」で実行すべきタスクは何で、Yammerで実行すべきタスクは何か
ご覧の通り、Yammer、SharePoint、Exchange ServerおよびLyncの間で機能の重複が見られる。この機能の重複は混乱を引き起こす可能性がある。例えば、共同作業にYammerを使用する部署もあれば、SharePointを使用する部署もあるだろう。このような2つの部門が連係して共同作業を行う場合には問題が生じるだろう。
YammerとOffice 365に関する管理の負担
Microsoftは、このような機能の重複を減らすために、いずれ製品の設計を見直すことになるだろう。だが、そのような見直しが行われたときには、管理者がコンテンツの移行に苦労することになる。例えば、YammerがExchange Serverのメールを使用するように変更されるかもしれない。このような変更がなされた場合、管理者はYammerのメールボックスからExchange Serverのメールボックスにメッセージを移行する手段を探さなくてはならない。
Microsoftは管理者も少なからず困惑させている。特にOffice 365を導入している企業の管理者はそうだろう。混乱の原因の一端はMicrosoftが「Yammer Basic」「Yammer Enterprise」という2種類のエディションのYammerを提供していることにある。Basicは無料で利用できる。一方、Enterpriseを利用するにはライセンス料が発生する。Office 365 Enterpriseサブスクリプションを契約している企業には、Yammer Enterpriseを利用する権利がある。このため追加料金を支払う必要はない。
問題は、Office 365のデフォルトの設定でYammer Basicを使用するようになっていることだ。これはYammer Enterpriseを使用する権利のある企業の環境でも同様だ。管理者がYammer Enterpriseをアクティブにしなければならない。この状況が問題を引き起こしている。
具体例を紹介するため、筆者はOffice 365 Enterpriseプランを契約した。Office 365 Enterpriseプランを契約していればYammer Enterpriseを利用する権利があるはずだ。だが、Office 365のダッシュボードにはYammer Enterpriseをアクティブにするオプションが見当たらなかった。Microsoftの技術サポートに問い合わせたところ、Yammer Enterpriseを利用する権利を持っていることについては確認が取れたが、この問題はいまだ解決していない(編注:原文の公開は8月6日)
他にもYammerには改善の余地がある。1つ例を挙げるならOffice 365の管理者向けのインタフェースだろう。YammerはOffice 365で異色の存在だ。主要クラウドスイートが完成した後に追加された感が否めない。例えば、Yammerでリンクをクリックすると、別のブラウザウィンドウが開く。この動作はYammer固有のものだ。他の全てのOffice 365アプリケーションでは、コンテンツは同じブラウザウィンドウで表示される。
現時点では、Yammerは丸い穴に無理やり押し込んだ四角い杭のようなものだ。だが、MicrosoftがYammerの存在意義に関する問題を解決できれば状況は一変する。YammerはOffice 365スイートになくてはならない存在となるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー