ビッグデータの熱狂から本格利用へ
「機械学習」とは? データ分析技術に関連する12の大胆予測
ビッグデータ活用の専門家である「データサイエンティスト」が脚光を浴び、その人材不足が指摘されている。また、ある専門家はビッグデータ解析チームに弁護士を雇う企業が今後増えると予測している。その理由とは?
われわれは後年、2014年をビジネス新時代の幕開けとして振り返ることになるだろう。アナリティクス関連の助言・調査会社、米International Institute for Analytics(IIA)によると、マシンラーニング(機械学習)、エンベデッドアナリティクスに加え、ビッグデータの進展開が新しい製品の登場を促し、古いビジネスプロセスをよみがえらせ、弁護士たちにより多くの仕事をもたらすという。
IIAは、新年に向けて9つの正式な予測を発表したが、最近開催された2014年を予測するWebセミナーの内容をもとに数え直すと、それらは以下の12の項目にまとめられそうだ。
1. 企業はマシンラーニングとオートメーションへの取り組みを継続する
目の前に広がる膨大なデータを手際よく扱うために、企業はマシンラーニングとオートメーションを学ぶ必要に直面するだろう。企業によっては、数千種ものモデルを、ときにはSKU(最小在庫管理単位)のレベルで生産するところもある。「それが数万、数十万のオーダーになれば、マシンラーニングは魅力的なテクノロジーになる」と、米DellのエンタープライズIT部門のアナリティクス製品マネジャー、サンジェブ・クマー氏は語る。「それは継続的に学習し、ビッグデータを絶え間なく掘り進む技術だ」
2. 企業は人間とマシンの能力、判断力の間の適切なバランスを探るようになる
組織は、ビジネス上の意思決定の自動化をより洗練させて(そして、より快適にして)いるが、それは必ずしも全ての意思決定を自動化すべきであることを意味しない。「方程式から人を遠ざけてしまえば、業務プロセスに手を付けることができなくなり、従業員のスキルも退化していく」と指摘するのは、『Analytics At Work: Smarter Decisions, Better Results(邦題:分析力を駆使する企業 - 発展の五段階)』の共著者、ロバート・モリソン氏だ。また、突発事故が発生したときや、システムが突然機能しなくなったとき、従業員は何をどうすればいいか分からなくなる。2014年のビッグオートメーション化は、適切なバランスを探る動きになるだろう。
3. データサイエンティストたちが新しい製品とサービスを開発する
IIAの共同創立者でリサーチディレクター、そしてボストン大学ITマネジメント特別教授であるトム・ダベンポート氏によると、この予測の証拠はあらゆるところにあるという。例えば、次のようなものだ。ウェアラブルエレクトロニクスのメーカーである米Jawboneは2013年、モニカ・ロガティ氏を迎え入れた。同氏は元LinkedInのデータサイエンティストで、データプロダクト部門の責任者だった人物だ。また、財務会計ソフトの米Intuitは2013年10月、Level Up Analyticsという小さなコンサルティング会社を買収した。この会社はデータサイエンティストたちによって運営されている。さらに、ダベンポート氏によると、ゲーム会社の米Electronic Artsはデータを用いて「伝統的ゲーミングを分析し、ゲームをより効率的にプレイする方法を議論している」という。
4. 企業はビッグデータの熱狂から本格利用へ向かう
前出Dellのクマー氏が指摘するように、「2014年は、企業がこれまで蓄えたものを取り出し、ビッグデータの価値を実際に確かめることが、課題の上位に位置する時代となる」
CIOは、ビッグデータを切り離して考えるのではなく、「それをどのように他のデータと結合し、伝統的なデータでやってきたように、ビジネスプロセスにどうやって組み込むのかを考える必要があるだろう」と、データウェアハウスソリューションを手掛ける米Teradataのチーフアナリティクスオフィサーのビル・フランクス氏は語る。
5. ビッグ構造化データに新しい名前が付けられる
前出モリソン氏は、同氏がいうところのビック構造化データの世界を注視しているという。「企業はビッグ構造化データという概念とともに、プロセス改善のまったく新しいラウンドを迎えるだろう」と同氏。米複合企業General Electric(GE)は、それを“Industrial Internet(産業用インターネット)”と呼ぶが、ビッグ構造化データが無視できない存在であることを強調するモリソン氏は、ガスタービンのGE製センサーを例に挙げて指摘する。そのセンサーからは毎日、Twitterの1日分を超えるデータが生成されるという。「それらのデータは、製品の設計、保守、施設管理、その他あらゆることに利用できる」と同氏。
6. アナリティクス専門職が成熟化へ向かう
今後さらに多くのアナリティクスチームが結成され、より多くのアナリティクス専門家が基幹業務に組み込まれていく。そこから、コラボレーションの機運が生まれ、業績向上に直結する中核的研究拠点を構築することが可能になる。「各部門に分散したビジネスに組み込まれたアナリティクス(ビジネスエンベデッドアナリティクス)の専門家を統合する。それが次のステップだ」と、アナリティクス専門会社米Talent AnalysticsのCEO、グレタ・ロバーツ氏は語る。
7. ベンダーやユーザーは、運用モデルと管理モデルに注目する
「古典的モデル開発からセルフラーニングやマシンラーニングのモデル開発へと照準はシフトするだろう」と語るのは、米コンサルティング会社Deloitteの財務サービス向けアナリティクス・情報管理プラクティス部門のトップ、オマー・ソハイル氏だ。より洗練されたモデルが、意思決定システムに可能な限り密接に組み込まれ、IT部門はデータではなく、メタデータやモデル管理に焦点を移すようになる。そうしたモデルを構築するためのソフトウェアやサービスを提供するベンダーもまた、このトレンドを認識しており、Dellのクマー氏がいうところのモデルのライフサイクル、すなわち、どのようにモデルが導入され、管理され、さらには更新されるかなどについて、時代に遅れないように細心の注意を払っている。
8. Analytics as a Serviceの導入が加速する
アナリティクスの需要が高まり、一方で人材(やインフラ)不足が続く中、企業はそうした問題を解決するために“Analytics as a Service”製品へ向かうだろう、と前出モリソン氏は予想する。「スピード、コスト、キャパシティー、そして私が“エクスペリメンタビリティ”と呼ぶもの、などの要因から、導入は加速するはずだ」
エクスペリメンタビリティ:Experimentability、限られたリソースの中での実験の可能性)
9. 顔認識データは、より大きな役割を担うようになる
顔認識技術は、一般向けの技術では決してない。前出のダベンポート氏によれば、あるペットショップがこの技術を使ってペットの識別をしたい(そうしたアプリがあることは確実だ)と考えているという。それによって、来店時にペットの名前で声かけができるようになるからだ。
10. ウェアラブルデバイスのデータが予測分析に組み込まれる
米Fitbitなどが提供する活動管理デバイスは、さまざまな情報を収集し、興味深い、パーソナルな予測アナリティクスに役立てるようになるだろう、と前出Teradataのフランクス氏はいう。ウェアラブルデバイスのデータは、間食に最も向いた時間から、注意持続時間の最適化、エクササイズのストレス管理まで、あらゆることに明察を与えてくれるようになる。
11. 企業はあらゆるタイプのデータをビジュアル化する
2006年のTED Talkカンファレンスで、ハンス・チャート氏が世界の開発を可視化したように、バブルチャートは時系列の動きを示すのに役立つだろう、とダベンポート氏。またフランクス氏によると、企業は、業界アナリストのリチャード・ハッカーソーン氏がいうところの“没入型インテリジェンス”の検証を開始するという。「3Dの世界でリアルタイムのデータセットを検証する」とフランクス氏。それによって文字通り、人々はインタラクティブにデータの中を歩き回ることが可能になる」
12. 企業はビッグデータのラインアップに“弁護士”を追加することを考える?
このリストは、全てIIAの予想だけで終わるものではない。実は予想の最終段階で、リストから落ちたものが1つある。「私は、ビッグデータチームのために弁護士を雇う会社が出てくるだろうと予想している。データの活用を図るため、その所有権を必要十分なレベルで確実にするためだ」とダベンポート氏。「ただし、私の同僚は、その予測にあまり関心を示さなかった」
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