IaaSプロバイダーが「BDaaS」を提供
「サービスとしてのビッグデータ活用」が流行る意外な理由
現在、急速に拡大しているビッグデータ活用サービス市場。その背景には、Amazonとの差別化を狙った多くのIaaSプロバイダーがうごめいている。
ビッグデータサービスを提供するクラウドプロバイダーにとっての主な収益源は、「アナリティクス」「検索」「ディスカバリー(電子情報開示)」の3機能だ。成長著しい「Big Data as a Service(BDaaS)」市場で他社に差をつけるには、プロバイダーはビッグデータに関するプランニングや実装を支援するコンサルティングサービスだけでなく、高帯域幅のセキュアなネットワーク接続など「顧客が大規模なデータセットにアクセスして処理するための付加価値サービス」を提供しなければならない。
「顧客は単にビッグデータを格納する場所以上のものを必要としている」と、経営コンサルティングも手掛ける調査会社、米TechAlphaの創立に携わったジョージ・ギルバート氏は指摘する。「プロバイダーは、データを移動させるための高速回線を配備する必要がある。また当面は、コンサルティングサービスの提供も重要なポイントだ。ビッグデータ管理ソフトウェアの利用経験を積んだ顧客は多くない」(同氏)
Hadoop環境が必要ではない――BDaaSの利点とは?
マネージドホスティング、コロケーションおよびInfrastructure as a Service(IaaS)のプロバイダーである米Savvisは、IaaSプラットフォームを通じてデータの保存、統合、取得機能を提供する「Savvis Big Data Solutions」を最近発表したと、同社のシニアディレクターであり、同製品のソリューションリーダーを兼務するミラン・ヴァクラヴィク氏は語る。
同氏によるとSavvis Big Data Solutionsとは、Savvisが所有するセキュアなネットワーク接続を通じて、拡張性の高い処理能力を提供するものだという。Savvis Big Data Solutionsの初回リリースでは、顧客ごとに専用ハードウェアを配備した、シングルテナントのクラウドを提供する。「Savvisは、今のパブリッククラウド環境に対応させたBDaaSを提供する予定はない。(Savvisが)現在特に重視している金融サービス業などの一部の顧客が、データのプライバシーと安全面でパブリッククラウドに不安を感じているからだ」とヴァクラヴィク氏は説明する。
このビッグデータサービスでは、ツールのソフトウェアライセンスと運用管理も提供している。多くの企業が既にストレージの管理に「Cloudera」および「MapReduce」(MapR)プラットフォームを利用しているからだ。こうしたプラットフォームは、大規模なデータセットを処理するためのオープンソースのプログラミングフレームワークで、「Apache Hadoop」をベースとしている。
Savvis Big Data Solutionsにはプランニング、実装およびコンサルティングサービスも含まれるので、環境の設計、セキュリティのプランニング、プロジェクト管理を顧客に提供できると、Savvis社は説明する。
「顧客は、Hadoopを使用する領域に応じたコンサルティングサービスを利用できる」とヴァクラヴィク氏は語る。「例えば、(Hadoopを)今後自社内のデータセンターでは管理したくないと考える顧客がいれば、Savvisは移行サービスでこの顧客を支援することができる」(同氏)
「現在、ビッグデータのアナリティクスはBDaaSのポートフォリオに含まれていないが、今後は含まれるだろう」とヴァクラヴィク氏は説明する。「われわれは、アナリティクスプロバイダーやSI企業と提携して、社内で(アナリティクスを)行えない顧客に、ビッグデータアナリティクスを顧客向けのソリューションに追加するよう計画している」(同氏)
Savvis、米IBM、米Verizon TerremarkなどのパブリッククラウドのIaaSプロバイダーには、米Amazonと真っ向から張り合おうという考えはない。「こうしたプロバイダーが市場で他社との差別化を図るには、ビッグデータサービスは良策だ」と語るのは米調査会社Forrester Researchの上級アナリスト、デイブ・バルトレッティ氏だ。「これらのプロバイダーは、大手のプロバイダーにならって、からっぽのインフラを提供するだけというわけにはいかない。ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを配備したインフラを開発して、顧客が望むものをより早く実現するサービスを提供しなければならない」と同氏は付け加えた。
ビッグデータクラウドサービスの実現への障壁
情報通信プロバイダーである米CenturyLinkの傘下にあるSavvisは、ネットワーク接続と組み合わせたビッグデータサービスで、他社との違いを打ち出している。「大規模なデータセットを受信したり移動させたりするのに必要な“パイプ”は、どのクラウドプロバイダーも所有しているわけではない」と、前出のTechAlphaのギルバート氏は語る。
「かつてAmazonなど一部のプロバイダーは、大容量のHDDを顧客に送り、顧客はデータをそのHDDにアップロードして、プロバイダーに返送するという方法を取っていた。インターネット経由で大きなデータセットをアップロードするよりも、物理的な輸送手段を使ってデータをやりとりする方が速かったからだ」とギルバート氏は説明する。「ネットワークは通常大きな制約となり、データの移動には多額の費用が掛かるものだ」とギルバート氏は付け加える。
同氏によると、帯域幅の制約に加えて、検索やアナリティクスなどさまざまなビッグデータサービスと、バックエンドの課金・管理用ソフトウェアを連係させるには、先行投資の固定費が必要になり、どのプロバイダーにも同程度の労力とコストが必要になる。「大手のプロバイダーにサービスの買い手である顧客がより多く集まるようになると、そうしたプロバイダーは顧客に投資を分散し、収益性はおのずと高くなる」(ギルバート氏)
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