オープンソースにおける仮想化勢力の変遷
LinuxカーネルのXenサポートで、Xenのシェアは広がるか
LinuxカーネルでようやくXenがフルサポートされることになった。一方Red Hatは、Red Hat Enterprise Linuxの最新リリースで、Xenに変えてKVMを採用している。今後Xenのシェアはどう変わるのか。
LinuxカーネルでようやくオープンソースのハイパーバイザーXenがフルサポートされることになった(参考:LinuxカーネルがXenをフルサポートへ──「少な過ぎ、遅過ぎ」の感も)。これによってオープンソースの仮想化の勢力図はどのように変わるのだろうか?
5年前、オープンソースのXenは、仮想化における次の目玉だった。無償でオープンなXenは、VMware ESX/ESXiからかなりの市場シェアを奪うものと目されていた。しかし、それが現実となることはなかった。原因の1つは、XenがLinuxカーネルに組み込まれていなかったことだ。その障害は取り除かれたが、KVM(Kernel-based Virtual Machine)の出現により、依然としてXenの行く手は険しい。
Xenのこれまで
オープンソースの仮想化市場は、この数年でかなり様相が変わってきた。LinuxカーネルはオープンソースのXenをフルサポートしていなかったため、Xenハイパーバイザーには特定バージョンのLinuxカーネルが必要だった。そのため、メインストリームのLinuxに対する変更や機能強化がオープンソースのXenには反映されず、Xenハイパーバイザーを最新の状態に維持することは難しかった。
こうしてXenの行く手が阻まれているうちに、オープンソースの仮想化市場では、Linuxカーネルに組み込まれているKVMが台頭することになった。当初はXenベースのハイパーバイザーほどこなれていなかったKVMだが、今やXenよりも充実した機能を提供し、保守や更新も容易になっている。
ハイパーバイザーの比較記事
Ubuntuは2008年に、KVMをLinuxディストリビューションの既定のハイパーバイザーとして組み込んでいる。最近では、Red HatがRed Hat Enterprise Linux(RHEL)の最新のリリースで、Xenベースのハイパーバイザーに変えて、KVMを採用している。また、KVMは、openSUSEの最新リリースとSUSE Linux Enterprise Server 11 Service Pack 1(本稿執筆時点では、テクノロジープレビュー版)の既定のハイパーバイザーでもある。
Xenのこれから
これらのオープンソースの仮想化関連企業を見渡して、堅実な仮想化製品を積極的開発しているディストリビューターはRed Hatだけだ。Red Hatは、RHEL 6のKVMスタックの他に、仮想化ハイパーバイザー兼管理プラットフォームのRed Hat Enterprise Linux(RHEL)を提供している。
UbuntuとSUSEのディストリビューションは、企業の視点で考えると重要だが、どちらもオープンソースの仮想化製品に対して完全なビジョンを持っているようには見えない。また、Oracleは依然としてオープンソースのXenに注力しているとしても、エンタープライズLinux市場での同社の勢力は小さく、大きな影響はない。
Linuxカーネルは、2011年前半にオープンソースのXenハイパーバイザーのサポートを追加したが、この動きが大きな変化を市場にもたらすことはなさそうだ。オープンソースの仮想化市場ではKVMが既に選ばれており、この市場で最大のプレーヤーであるRed HatはKVMに注力している。LinuxカーネルにXenが組み込まれても、Xenハイパーバイザーの強力なカンフル剤にはならないだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー