レガシーシステムとモバイル端末を橋渡し
モバイルアプリ専用クラウド「MBaaS」が注目される理由
APIを通じてモバイルアプリケーションを既存のデータリポジトリと結び付ける「Mobile Backend as a Service(MBaaS)」(サービスとしてのモバイルバックエンド)が注目されている。
レガシーインフラを解体したり、入れ替えたりすることなくIT部門でモバイル利用をサポートしたい場合、「Mobile Backend as a Service(MBaaS)」(サービスとしてのモバイルバックエンド)と呼ばれる新しいミドルウェアを使ってそれを実現することが可能だ。
米Apigee、米StackMob、米Layer7 TechnologiesなどのMBaaSベンダーは、APIを通じてモバイルアプリケーションを組織の既存のデータリポジトリと結び付けるミドルウェアを提供している。モバイル技術のニッチとして注目を浴びるこの分野では、他のベンダーも、顧客がカスタムアプリを開発したり、米Xamarinや米FileMakerなどのデータベースコネクタを管理したりできる機能を提供する。
モバイルアプリ開発を手掛ける米Intrepid Pursuitsの最高技術責任者(CTO)、マット・ブリッジズ氏は、「データベースとモバイルアプリとなるべきものとの間にサービス層が存在しなければ、われわれは直ちに待ったをかける」と話す。
同氏によると、Intrepidの取引先の中には、従業員がモバイル端末でどのデータを使うのか、モバイルアプリからそのデータにどうアクセスするのか、転送中のデータへのアクセスにはどのようなセキュリティ対策が適切なのかが分かっていない組織もあった。「アプリはフロントエンドばかりが注目されがちだが、ツールの背後にある意図を理解せずにモバイルに飛び付いたりしてはいけない。データを露出させるためのサービス層は、モバイル化実現のために欠かせないコンポーネントだ」と同氏は言う。
ビジネスプロセスとモバイルの橋渡しをするMBaaS
香港のモバイルアプリケーションライフサイクルベンダーExiconのステファン・ラスト最高経営責任者(CEO)によると、オンプレミスAPIが利用されるミドルウェア層では、アプリケーション開発者が米Googleのマッピング技術のようなクラウドサービスの公開APIを使って、そうでない場合よりもはるかに高速なツールを構築することが可能だ。
大型レストラン3店を経営する米Spillers Groupは、Google Driveのスプレッドシートに保存した業績指標を、各拠点の従業員にプッシュ配信する方法を模索していた。同社は、データベースコネクタを使って情報を引き出し、それをモバイル端末に届ける米MeLLmoのモバイルビジネスアプリ「Roambi」を試験導入した。
共同創業者のシェーン・スピラーズ氏によると、Roambiの導入後、人件費と食品のコストを10%削減できたという。「われわれが収集している全てのデータ指標が活用できるモバイルツールを手にしたことから、リソースの割り当てを大幅に高速化できている」と同氏は話す。かつては同氏が毎月末にPDFを作成していたが、そのビジネスプロセスを自動化し、モバイル化することにより、必要なデータを2~3日で意思決定者に届けられるようになったという。
「Spillers Groupのような組織は単純に、既存のビジネスプロセスを特定し、そのプロセスのためのモバイルアプリケーションを開発してAPIでデータベースと結び付けることによりモバイル化を実現できる」と、米モバイルコンサルティング企業Paladorのプリンシパル、ベンジャミン・ロビンズ氏は解説する。
MBaaSのバージョン管理とセキュリティ
MBaaSは企業のモバイル化を支援できる半面、この種のミドルウェアを使う際にIT部門が備えておかねければならない問題もある。
Googleや米Salesforce.comなどのサードパーティーベンダーがAPIを更新したり、組織が自社のAPIを更新したりしたときは、バージョン管理が問題になることがある。
「開発と運用の溝を埋めるためのDevOpsチームは、更新されたAPIを導入する前に、そのAPIがシステムやモバイルアプリに障害を引き起こさないことを確認しなければならない」と話すのは、API管理ベンダー米Vordelの創業者でCTOのマーク・オニール氏だ。APIはまた、攻撃者が機密情報を求めてデータを収集したり、ネットワークにサービス妨害(DoS)攻撃を仕掛けたりといったセキュリティ問題に利用されがちな経路でもあると同氏は説明し、「APIのコードの行数が多いほど、セキュリティ対策は難しくなる」と添えた。
APIはSecure Sockets Layer(SSL)を使った暗号化やクライアントサイド証明書、また、例えばリクエスト署名にタイムスタンプを必須とすることを義務付けるといった方法によって守ることができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー