失敗しないIT資産管理ツールの選び方仮想化、クラウドで求められる要件も変化

仮想化、クラウドによってシステム構成が柔軟に変化する今、IT資産管理ツールに求められる要件も変わりつつある。今あらためて、IT資産管理ツールを導入する際のチェックポイントを整理する。

2013年02月22日 08時00分 公開
[内野宏信,TechTargetジャパン]

導入時には必ずチェックしたい6つの機能群

 仮想化、クラウドによるシステムの複雑化に伴い、ITシステムの構成要素を把握するIT資産管理ツールも多機能化している。特に近年はインベントリ収集機能など資産管理の機能にとどまらず、セキュリティ管理機能や MDM(モバイルデバイス管理)機能などを併せ持つ製品や、SaaSも登場している。だが、IT資産管理を行う上では“外せない機能”も幾つか存在する。以下では、IT資産管理製品を選ぶ際に着目すべきポイントを紹介する。

インベントリ収集機能

 IT資産の情報を自動的に収集するインベントリ収集機能は、資産管理ツールとして必要不可欠な機能。特に100台を超える規模になると、1台のクライアントPCに複数のソフトウェアがインストールされているため、手作業でハードウェア、ソフトウェアの資産情報を把握することは極めて難しくなる。自動的に資産情報を集めて基本台帳を作成し、新たなソフトウェアがインストールされたり、更新プログラムが適用されたりした際には、自動的に基本台帳を更新する「台帳作成・更新」機能が必要だ。また、仮想化、クラウドによってシステム構成が柔軟に変化する現在は、「システムのあるべき姿」を記録し、現状との差分を明確化し、修正の手掛かりとできる「元帳機能」もあると望ましい。

 一方、ネットワークに接続されていない「スタンドアロンPCの情報収集機能」、OSの各種設定情報の中から任意の情報を取得できる「指定レジストリの情報収集機能」、情報収集時に「ユーザー自身で定義した任意項目を入力できる機能」なども、自社の状況に即した資産管理を行う上で重要なポイントとなる。

ソフトウェアライセンス管理機能

 仮想化、クラウドによってソフトウェアライセンス体系が複雑化し、正確に把握していなかったばかりにライセンス違反を犯してしまうリスクが高まっている。そのため「ライセンスの数」とともに、「契約ごとの使用状況」などを把握するソフトウェアライセンス管理機能が不可欠となる。管理を確実化・効率化する上では、「どのソフトウェアが、どのクライアントPCで使われているか」といった「構成可視化」機能、各種ソフトウェアの使用実態を把握する「メータリング」機能、「ソフトウェアの自動配布」機能なども重要となる。

ソフトウェア辞書機能

 ソフトウェア資産管理では、有償/無償のソフトウェアを漏れなく把握する必要がある。管理を確実化し無駄を抑止するためには、収集した情報を基に、組織全体での利用を認める「標準ソフトウェア」、特定の部門内でのみ認める「個別利用ソフトウェア」に分けて管理する必要もある。こうしたきめ細かな管理を行う上では、ソフトウェア製品のベンダー名や、販売パッケージ名、ライセンス形態などの情報を自動判別する「ソフトウェア辞書」機能/サービスが鍵となる。一般に数万種類を収めた辞書が必要とされている。例えばソフトウェア資産管理評価認定協会(SAMAC)では4万5000種類以上を収めた辞書を提供している。

セキュリティ機能

 把握していないIT資産は、セキュリティ対策が行われず、そこがセキュリティホールとなる。従って、「未管理PCのネットワーク接続制限」機能や、「使用禁止ソフトウェアの設定」機能、USBメモリなど「外付け記憶デバイスの利用制限」機能など、セキュリティポリシーに応じて未許可ハードウェア、ソフトウェアの使用を制限できる機能が求められる。

管理画面の見やすさ、使いやすさ

 一般に、IT資産管理専任の担当者を置ける企業は少なく、多くの場合、総務部門などのスタッフが兼任している。特に従業員が300人未満の中小企業ではそうした例が多い。IT資産管理の専門知識がないユーザーでも扱える分かりやすさ、操作性の良さがポイントとなる。管理すべき情報を1画面に収めていたり、「何ができるのか」が分かりやすいアイコンや、次に何をすべきかが分かるガイド機能などを装備している製品も少なくない。その使い勝手はデモなどを通じて運用者の視点で実際に試してみることが大切だろう。

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