Windows Mobileとの違いに戸惑いの声
Windows Phoneは仕事に使えるか?
各種の企業向け機能があった「Windows Mobile」に対し、よりコンシューマーを意識したWindows Phoneには制約が多い。果たして、Windows Phoneは仕事にも使えるのだろうか?
IT部門は「Windows Mobile」については各種の企業向け機能のサポートを当てにできたが、「Windows Phone」ではあまりに多くの機能がコンシューマー向けとなっており、もはやそうとばかりも言えないようだ。
Windows Phoneにおいて、米MicrosoftはエンタープライズフレンドリーなモバイルOSを解体し、よりコンシューマーフレンドリーなOSへと作り変えた。従来、スタート画面の主役はスケジュールやメールだったが、今ではFacebookなどの個人的な情報網に取って代わられている。Microsoftの狙いはもはや企業向けのBlackBerryではなく、AppleのiOSやGoogleのAndroidに追い付くことだ。そのため、管理者はWindows Phoneの新機能やインタフェース、性能だけでなく、欠けている要素にも注意を払う必要があるだろう。
メールとモバイル端末管理
PDAなどのクライアント端末からExchangeを中心としたネットワークまで、Microsoftはこれまで常にモバイル端末の同期には「ActiveSync」の仕組みを用いてきた。iOSとAndroidでさえ、企業メールへのアクセスやMicrosoftインフラとのやりとりにはActiveSyncを使用する。
ActiveSyncに関連したWindows Phoneの主要な機能には、パスワード設定の要求やリモートワイプの開始などがある。だがWindows PhoneはWindows Mobileで従来サポートされてきたことの一部しかサポートしていない。例えば、Windows Phone端末には暗号化は強制できない。実際、Windows Phoneでは端末レベルの暗号化オプションは提供されておらず、「Removable Storageサービスを無効にする」や「HTMLメールを許可する」といったオプションも使えない。Windows Phoneには確かに、企業での管理に必要な中核的要素は備わっている。だが幾つか高度な管理機能がサポートされておらず、BlackBerryやWindows Mobileレベルの制御に慣れている企業にとってはそれが致命的な欠点となるかもしれない。
プラス面として挙げられるのは、Windows Phoneにはカスタム版OutlookとともにExchangeが組み込まれている点だ。ExchangeがWindows Phone版のOutlookクライアントに緊密に統合されたことで、ユーザーにもIT部門にも慣れ親しんだ機能性がもたらされるはずだ。Windows PhoneはExchange Server 2007やExchange Server 2010(関連記事:スクリーンショットで見る、Exchange Server 2010の新機能)との親和性が最も高い。Exchange Server 2003との同期に関しては、幾つかサポートされていない機能がある。
証明書をめぐる注意点
Windows Phoneで証明書を管理するに当たって、IT部門には幾つか認識しておくべき注意点がある。Windows Mobileでは証明書を直接管理できたが、Windows Phoneにはそうした機能は用意されていない。代わりにWindows Phoneでは、パブリックな証明機関のいずれかを使うことが想定されている。
例えば、ある無線アクセスポイント──RADIUSサーバを使ってActive Directoryにアクセスし、ユーザー認証を行う──に接続しようとした場合を例に説明する。このアクセスポイントには有効期限が切れた証明書が1つあるが、iOS端末やAndroid端末ではそれが問題になることは一度もなかった。警告メッセージがポップアップ表示され、この問題を無視するかどうかを確認してもらえるからだ。だがWindows Phoneでは、このアクセスポイントには接続できないという内容のエラーメッセージが返されてしまう。
自己署名証明書も同じ運命をたどる。証明書(.CERファイル)をインポートする唯一の方法は、メールで送信するか、.CERファイルを含むWebサイトにユーザーを誘導するかだ。Windows Phoneには、このプロセスを自動化する機能はなく、インストールされた証明書を検証する機能も用意されていない。必要なサービスに実際に接続してみる以外に検証方法はない。
Windows Phoneを採用し、普通に自己署名証明書を使っている企業にとって、これは厄介な問題になりかねない。Wi-FiとWebサイトとExchangeのどれを利用するにせよだ。Microsoftはそうした企業に対し、端末に付属している「信頼されたルート証明機関」のいずれかに自己署名証明書を登録しておくようアドバイスしている。さもなければ、ユーザーが証明書をロードするのをその都度サポートしなければならなくなる。
ユーザーによる制御
OSアップデートとファイル同期については、Microsoftは作業の多くをWindows Phoneユーザーの手に委ねており、IT部門はその点に戸惑いを感じるかもしれない。写真や音楽や動画の同期の他、OSアップデートのダウンロードやインストールには、「Zune」デスクトップソフトウェアが必要だ。
さらにMicrosoftはユーザーに対し、Windows Live IDを取得して、SkyDriveやXbox Live、Zuneにオンラインアクセスするよう促している。これはiPhoneにiTunesが必要であることに慣れている企業にとっては大きな問題ではないだろう。だが、IT部門による厳しい制御に慣れているBlackBerry中心のIT部門にとっては驚きかもしれない。
アプリの発行
モバイル版であれWeb版であれ、アプリケーションはWindows Phoneの企業利用にとってもう1つ障害となり得る要因だ。AppleのApp Storeと同様、Microsoftもアプリストア「Windows Marketplace」を積極的に管理・制御する方針を定めている。ユーザーの端末にインストールしたいカスタムアプリがある場合、企業はそのアプリをWindows Marketplaceに提出し、承認を待たなければならない(ただし、こうしたアプリを非公開にするオプションは提供されている)。一方、Appleは適切な証明書とサーバサイドの設定があれば、独自のアプリをインストールすることを認めている。Microsoftのやり方のプラスの側面としては、Windows Phoneにアプリを発行する上で追加のインフラが不要な点が挙げられる。
なおWindows Phone版のInternet Explorer(IE)は大半のWebサイトと最近のHTML5アプリを問題なくサポートするが、プラグインには一切頼ることができない。デスクトップ版のIEではプラグインが広く使われている。自社製Webアプリを使いたいのであれば、モバイルWeb向けに変換し、ActiveXコントロールへの依存を排除しておくのが賢明だ。
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