新旧技術の融合が鍵に
「クラウド」「モバイル」に勢い、2013年のIT投資動向
世界3000人以上のIT管理者を対象に行った2013年のIT投資動向調査からは、IT活用に向けての企業の新しい動きが見えてくる。キーワードは「クラウド」と「モバイル」だ。
米TechTargetが世界各国の3282人のIT管理者を対象に実施した「2013 IT Priorities Survey」(2013年IT優先度調査)によると、2013年に優先される課題の多くは、ここ数年間重視されてきたものとほぼ変わらないようだ。ただし、クラウドサービスやコンシューマーITをより一層活用するための対策が始まりつつあることも、調査結果からははっきりと読み取れる。
2012年にIT優先度が最も高かったのは「Windows 7への移行」だった。だが2年間の活発な移行期を経て、その勢いは減速し、Windows 7は2013年の優先リストからは姿を消している。「Windows 8」はまだ導入サイクルの初期の段階にあり、2013年の計画としてWindows 8を挙げた回答者は21%にとどまった。ただし、2012年の優先リストでWindows 7に次いで上位を占めた5つの項目は、2013年の調査でも上位5位に入っている。ただし、順位は若干変動している。
| 項目 | 比率 |
|---|---|
| データ保護 | 56% |
| サーバ仮想化 | 53% |
| ネットワークベースのセキュリティ | 51% |
| ディザスタリカバリ/事業継続 | 50% |
| BI(ビジネスインテリジェンス)/ビジネス分析/データウェアハウス | 46% |
仮想化の浸透度を示す指標としては、「ストレージ仮想化」が2012年の10位から、2013年は6位(42%)に上昇し、「仮想サーバのバックアップ」が17位から9位(40%)に上昇している(参考記事:ストレージ仮想化の導入は「2割」程度、その障壁は?)。仮想化を進める理由が、長期的な統合計画の一環として直接的なメリットを享受するためなのか、クラウドへの移行に向けた準備なのかは定かではない。「データセンター統合」の優先度は2012年の7位から、2013年は13位に下がったが、それでも回答者の38%が計画に挙げている。順位が下がったのは、単に一部のIT部門において大規模な統合プロジェクトが完了したためとも考えられる。
統合の次の段階についてはまだ明らかではない。統合を計画していると答えた人のうち、そのためのアプローチとして「仮想サーバファーム」を選んだ回答者は65%と、他のどの選択肢よりも2倍以上多かった。全体では、「2013年はプライベートクラウドに取り組む」とした回答者はわずか21%で、「データセンターを外部クラウドと統合する計画だ」と答えた回答者も9%にとどまった。つまり、大半のIT部門は少なくとも当面の間は、仮想サーバファームやストレージファームからクラウド(プライベートであれパブリックであれ)の恩恵の多くを享受し、セルフサービスプロビジョニングのような追加機能については、仮に使うとしても、まだしばらくは触れずにおくという立場を取ることになるのだろう。
ただし、回答者の29%は「2013年に外部のクラウドサービスを何かしら導入する計画だ」としている。また約半数のIT部門では、クラウド対応のためにITサービス支出が増える見通しという。驚くことではないが、クラウドを導入する理由としては、55%が「SaaS(Software as a Service)」を挙げ、42%が「ストレージ」を挙げている。それでも、アプリケーション導入の責任を担う回答者のうち、62%は「2013年にオンプレミスのソフトウェアとハードウェアを採用する」と答えており、「SaaS」を挙げた回答者は35%だった。「プライベートとパブリックのハイブリッドクラウドを利用する」とした回答者は、さらに少なかった。
モバイル対応が進展
回答者の38%が「2013年に何かしらのモバイルプロジェクトに取り組む」と答えていることからも、モバイル化が変化するIT環境の一部となっていることは明らかだ。クラウドの場合と同様、この変化は「モバイル端末がデスクトップPCに取って代わり、ユーザー自身が管理者となり、IT部門に取って代わる」というよりも、「エンタープライズにモバイルが浸透していく」というもののようだ。
例えば、デスクトップ管理に携わる回答者のうち、「2013年はユーザーにスマートフォンのセルフプロビジョニングを認める」とした人は54%に上ったが、会社のネットワークに接続する「タブレット」について同じように答えた人は35%にとどまり、「ノートPCやデスクトップPC」については29%だった。また多くの回答者がさまざまなOfficeソフトウェアについてSaaSの選択肢を検討していると答える一方で、「SaaSかどうかはともかく、ユーザーがアプリやデータ保護、メールを自分で選べるようにする」とした回答者は全体の16~19%にとどまった。
今回の調査で明らかなのは、タブレットがスマートフォンに追い付きつつあるという事実だ。実際、タブレットとスマートフォンは「2013年に取り組むモバイルプロジェクト」として、それぞれ37%と38%の回答者に選ばれ、統計的には互角でトップとなっている。ただし、エンタープライズインフラのレベルでは、こうした端末への対応は遅れているようだ。「MDM(モバイルデバイス管理)を導入する」とした回答者は全体の29%にとどまり、「モバイルセキュリティの導入」(28%)や「会社のデータやアプリのモバイル対応の強化」(21%)へのIT投資意欲はさらに低くなっている。また、タブレットをデスクトップ仮想化のキラーアプリとする見方がある一方で、「モバイル仮想化を導入する」と回答した人は全体の12%にとどまった。
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