その影響は測り知れず
モバイルアプリ開発を“デスマーチ”にするCIOの特徴(1/2 ページ)
従業員、顧客向けのモバイルアプリが企業の生産性向上にとどまらず、業績目標の達成にまで影響しようとしている。その開発と導入の成功に必要なのが「有能優秀なCIO」の存在という。
医療会社Carolinas HealthCare SystemのIT部門は「患者第一」という方針を掲げている。そのため、最初に開発したアプリが患者向けだったのは自然な流れだろう。
同社でシニアバイスプレジデントと最高情報責任者(CIO)を兼務するクレイグ・リチャードビル氏によると、その後も患者用のモバイルアプリを開発し続けているが、技術スタッフは早い段階で従業員向けのモバイルアプリにも目を向けていたという。
「患者向けアプリの開発開始と同じタイミングで、従業員にとって何が重要なのかということも追求し始めた」(リチャードビル氏)
事実、リチャードビル氏のチームはこれまでに数多くのモバイルアプリを開発してきた。医師が外出先で参考資料にアクセスするためのアプリもその1つだ。また「給与の確認」「電話番号の検索」「医療貯蓄口座へのアクセス」などの複数のタスクを全ての従業員が実行できるようにするアプリもある。
ただし、このような革新は偶然の産物ではないとリチャードビル氏は語る。同氏は「患者」「医療プロバイダー」「従業員」「研究および教育機能」にそれぞれ特化した4つのITチームを統括している。各チームはビジネス部門リーダーの管理を受けて、担当するターゲットグループの仕事をサポートする支援ツールを開発している。これらのチームには、モバイルアプリ開発を専門とするエンジニアも所属している。
同社のモバイルアプリ開発プロセスは他とは異なっている。従業員や顧客向けのモバイルアプリ開発をIT部門の管轄外で行っている企業は少なくない。そういう企業では、ビジネス部門(特にマーケティング部門)が外部ベンダと協力してモバイルアプリの開発と立ち上げを主導している。
しかし、コンサルタントや研究者によると、この傾向に変化が生じているという。本格的なエンタープライズアプリと比較すると、従業員、ビジネスパートナー、顧客向けのモバイルアプリの開発と導入は、どちらも安価に素早く実行できる。だが、セキュリティの確保や企業のITインフラ全体との協調が必要な点は変わらない。そのため、CIOや他の部門幹部は、自社開発モバイルアプリにIT部門がもっと関与することを強く望むようになっている。これには、他の部門が従業員や顧客向けに開発および所有しているモバイルアプリも含んでいる。
CIOが従業員向けモバイルアプリを先導する
社内用のモバイルアプリとなると、CIOに対する要求はさらに高くなる。リチャードビル氏のチームのように、従業員向けモバイルアプリ開発の主導権をIT部門が握ることを求める企業は増加しているとアナリストと研究者は指摘する。
モバイルアプリ開発プラットフォームとソリューションを提供しているKonyのスポンサードを受けて451 Researchが実施した調査レポート「2015 Enterprise Mobile Application Report」の数字を挙げてみよう。
この調査の対象者は、米国を含む4カ国で働く484人のIT部門上級幹部だ。この調査結果からは、従業員、顧客、ビジネスパートナー向けのモバイルアプリの需要が2016年と2017年で衰える理由を見出すことはできないだろう。このレポートでは従業員向けのモバイルアプリを10個以上保有している企業が18%増加すると予想している。
モバイルアプリの3分の2は、業務アプリベンダー、システムインテグレーター、デジタルエージェンシーパートナー、開発企業パートナーが開発する予定だ。そのため、モバイルアプリ開発作業の大半は依然としてIT部門以外が行うことになる。IT部門のスタッフが開発予定のモバイルアプリは35%にとどまった。
ただし、今後、モバイルアプリに対するIT部門スタッフの関与は増加するだろう。2015年にIT部門の専任開発者が社内アプリプロジェクトに費やした時間は43%という調査結果があるが、2017年にこの数値は63%に増加すると予測している。これは20ポイントの大幅アップだ。
Accenture Digitalでモバイルアプリ部門のマネージングディレクターとグローバルリーダーを兼任するアビジット・カブラ氏は次のように語る。「市場では、社内向けモバイルアプリの開発である傾向を確認している。それはCIOがビジネス部門と密接に連携してニーズを理解しているというものだ」
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