iOS、Androidアプリも開発できる「Microsoft PowerApps」
Officeスキルでモバイルアプリ開発が可能、Microsoft新ツールは本当に簡単?
Microsoftは、IT部門がモバイルアプリを独自に作成できる新ツール「Microsoft PowerApps」をリリースした。このツールを使用するために、コーディング技術は一切不要だ。
米Microsoftの「Microsoft PowerApps」を使用すると、社員は任意のデバイスに対応したビジネスアプリを開発して接続できる。
開発スキルは必要ない。Microsoftは、この新しいSaaSであるPowerAppsを2015年12月第1週にリリースし、今日のモバイルITが直面している多くの問題を解決できると発表した。
米ITコンサルタント企業で、MicrosoftパートナーであるFive Nines IT Solutionsで社長と最高経営責任者(CEO)を兼任するダグ・グロスフィールド氏は次のように語る。「多くのIT部門には、専任の開発者がいない。そのため、十分に熟練したコードが書ける人材を雇用するのに必要な知識が豊富な人物がいないのが実情だ」
「モバイルアプリを作成するニーズは高まっている。だが、モバイルアプリを開発することと、モバイルアプリを“上手く”開発することは容易でない。この2つには明らかに違いがある。多くの企業はモバイルアプリの開発を他社に依頼している。だが、PowerAppsのような製品を使用すれば、企業は自社のニーズや目的に合ったモバイルアプリを定義、開発、リリースできるようになる」(グロスフィールド氏)
コード不要のアプリ開発プラットフォームを生み出したのはMicrosoftではない。ここ1年の間に、この分野の多くのトップベンダーがこの機能を追加している。
例えば、米Konyの「Kony Modeler」、米salesforce.comの「Salesforce1 Lightning」、米Oracleの「Oracle Mobile Application Framework」、米IBMの「IBM MobileFirst Platform」(旧称:IBM Worklight)、独SAPの「SAP Web IDE」などがある。
PowerAppsは、「Microsoft Office 365」や「Microsoft OneDrive」などのMicrosoftソフトウェアと統合できる。Microsoftは、このような自社のエコシステムを使用することで、一部の競合相手より優位に立っている。
PowerAppsと同様に、Oracleのフレームワーク「Mobile App Accelerator」機能では、テンプレートを使用する。テンプレートを使用することで、開発プロセスを高速化できる上、何より使いやすい。これは他のプラットフォームでは利用できない機能だ。
PowerAppsの仕組み
PowerAppsでは、Officeに似たインタフェースを使用してビジネスアプリケーションを作成できる。テンプレートと自動化されたワークフローがあるため、コードを書く必要は一切ない。Microsoftによると、IT担当者は、(PowerAppsに同梱されている)同社の「Azure App Services」を社員向けアプリに使用すれば、Webベースのモバイルアプリを社員に迅速に配信できるという。
顧客がPowerAppsを使用してモバイル化するとMicrosoftが予想しているアプリは複数ある。例えば、資産管理、ビジネスチャンスの追跡、調査、商品カタログ、イベント登録などだ。
エンドユーザーは、クラウドとオンプレミスのシステムの両方で企業コンテンツを利用できる。そのため、より素早い企業データの転送が可能になる。Microsoftによると、PowerAppsはOffice 365、「Microsoft Dynamics CRM」やOneDrive、Salesforce、米Dropboxの「Dropbox」などのクラウドサービスに接続するという。また、それ以外に、同社の「Microsoft SharePoint」や「Microsoft SQL Server」、Oracleのデータベース、SAPの「SAP ERP」などのオンプレミスシステムにも接続する。
アプリを開発したら、アプリのリンクを記載したメールを送信して、社員間で共有できる。IT管理者は、アクセスするデータを管理して、企業ポリシーを保守してセキュリティを確保できるとMicrosoftは述べている。
「企業データがある場所にかかわらず、安全な方法でアクセスでき、セキュリティに悪影響を及ぼさないモバイルアプリを所有していることには、非常に大きな価値がある」(グロスフィールド氏)
現在、PowerAppsは無料プレビュー版が公開されている。PowerAppsのエンタープライズ版は、ユーザー1人当たりで月単位のサブスクリプションという価格設定になっている。
PowerAppsのエンタープライズプランには、Azure App Serviceの環境が含まれる。また、API管理と併せて、アプリ管理、セキュアなアクセス制御、使用量のリポートなどのアプリケーション管理機能もある。ただし、価格設定はまだ公開されていない。
2014年初頭、サトヤ・ナデラ氏がMicrosoftのCEOに就任して以来、同社はモバイルファースト、クラウドファースト構想をモットーとしてきた。PowerAppsはこの構想の一翼を担っている。
米分析/コンサルティング会社のEnterprise Management Associatesで管理リサーチディレクターを務めるスティーブ・ブレイセン氏は次のように話す。「Microsoftが消費者市場で米Appleの後を追うのではなく、企業市場を開拓するなら、モバイル市場で非常に強力な勢力になるかもしれない。Microsoftはアプリのエコシステムをさらに活用する必要があることを認識している」
PowerAppsでは、Windows、Appleの「iOS」、米Googleの「Android」プラットフォームで実行する企業向けカスタムアプリを作成できる。
「PowerAppsでモバイルアプリを開発すれば、アプリケーション開発エコシステムが構築される。Microsoftは同社の『Windows 10』によって、このエコシステムの拡大を狙っている」とブレイセン氏は指摘する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
4
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
5
AI導入が失敗する“真犯人”は現場のマニュアル 7割が陥る「標準化」のわな
-
6
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
7
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
8
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
9
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
10
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー