垂直統合型製品紹介 各社の強みは何か?【第1回】
SI力と構築成功モデルを製品化した「NEC Solution Platforms」
ハードウェアとソフトウェアを最適化して組み合わせ、検証済みの形で提供する垂直統合型製品。ベンダー各社が相次いで製品を投入しているが、各社の強みは何なのか? 製品概要を通じてその違いを探る。
サーバ、ストレージ、ネットワークといった各システム構成要素について、最適と考えられる製品を個別に選んで組み合わせるベストオブブリード型のシステム構築が主流の中、単一ベンダーがハードウェアとソフトウェアを最適化して組み合わせ、検証済みの形で提供する垂直統合型製品が注目を集めている。必要なシステム基盤をコストを抑えてスピーディに導入できる点や、各システム構成要素を一元管理することで、運用管理負荷、コストを低減できる点が基本的なメリットとされている。
2010年10月に発表されたOracleの「Oracle Exadata」をはじめ、Hewlett-Packardの「HP Converged Systems」、IBMの「IBM PureSystems」など、外資系ベンダーが続々と製品をリリース。国産ベンダーも2011年11月には富士通が「Fujitsu DI Blocks」を、2012年10月には日立製作所が「Hitachi Unified Compute Platform」を発表し、これに続いている。
本連載では各社の垂直統合型製品をリポート。それぞれの開発コンセプトや特徴を探る。今回はNECが2013年4月に発表し、6月から提供開始予定の垂直統合型製品「NEC Solution Platforms」を紹介する。
SIerとしての知見をフル活用
NEC Solution Platformsは、「特定の業務/業種に最適なシステム構成要素を統合し、ソリューションとして提供する」というコンセプトに基づいて開発された垂直統合型製品。データ活用に最適化したデータ蓄積・解析基盤「Data Platform Suite」、特定業務向けに最適化したアプリケーション基盤「Application Platform Suite」、クラウドサービス基盤「Cloud Platform Suite」の3カテゴリで製品を用意している。
Data Platform Suite、Cloud Platform Suiteはミドルウェアまでを統合した製品だが、Application Platform Suiteは他のベンダーが展開していないアプリケーションレイヤーまで統合した製品であり、この点がNEC製品の1つの特徴となっている。製品は以下の10モデルをラインアップしている。
Data Platform Suiteはデータベース専用モデルで、今回から提供する「Data Platform for Oracle Database」とともに、2010年から単独の製品として提供してきた「InfoFrame DWH Appliance」も併せてData Platform Suiteのラインアップに組み込んでいる。
このうち新たに提供するData Platform for Oracle Databaseは、Oracle Databaseの構築ノウハウと、クラスタリング製品「NEC CLUSTER PRO」、サーバ製品「Express5800」シリーズなどを組み合わせ、Oracle Databaseの安定稼働を実現した製品だ。メモリ上で大量データをキャッシュすることでスピーディな並列処理を可能とした他、大規模キャッシュによりディスクアクセスのリードタイムを削減。また、データを大幅に圧縮することで、ディスクへのアクセスタイムを最小化するなど、チューニング未実施時に比べて10倍以上のトランザクション性能を確保したという。プラットフォーム構築期間もベストオブブリード型に比べて50%削減できるとしている。
アプリケーションまで統合した業務特化型のシステム基盤
Application Platform Suiteは、グループウェア製品などを搭載した「コラボレーション基盤」、シンクライアント環境を提供する「シンクライアント基盤」、NECのパートナーが提供するアプリケーションを搭載した「Application Platform for Partners」をラインアップ。また、ホテル業界に対するテレフォニー製品の豊富な導入実績を生かし、IP-PBX製品「NEC UNIVERGE」とホテル業務パッケージと組み合わせた「UNIVERGE ホテル業務基盤」「UNIVERGE 客室タブレットソリューションパック」も用意している。
このうちコラボレーション基盤では、「Microsoft Exchange Server 2013」「Microsoft SharePoint Server 2013」を標準搭載し、オプションで「Microsoft Lynk Server 2013」も用意した「コラボレーション基盤/MS」と、NECのグループウェア「StarOffice」を搭載した「コラボレーション基盤/SO」を用意。こちらも導入期間はベストオブブリード型の約半分。導入コストも40%削減できるという。搭載するアプリケーションの選択肢については、垂直統合型製品は資産、運用の標準化が1つのメリットであるため、あえて上記の4つに絞っている。
シンクライアント基盤は、仮想環境上でシンクライアントを動作させる環境を提供する製品。NECの仮想PC型シンクライアントシステム「VirtualPCCenter」とデスクトップ仮想化製品「Citrix XenDesktop」が推奨設定で動作するよう最適化しており、業務効率の向上に寄与するという。初期導入時は500台までシンクライアント端末の稼働が可能。導入期間はベストオブブリード型の50%、導入コストは20%削減できるとしている。NEC ソリューションプラットフォーム統括本部 商品マーケティンググループ シニアマネージャーの岡田英彦氏は次のように解説する。
「Application Platform Suiteはサーバ、ネットワーク、ストレージといったシステム基盤からアプリケーションレイヤーまで含めて統合した製品。アプリケーションの実行環境までを統合した製品が多い中で、すぐに業務を開始できる状態で提供する。例えばシンクライアントはサイジングが難しく、負荷集中によりパフォーマンス低下などの問題を引き起こしやすいが、NECはシンクライアント市場でトップクラスの導入実績を持ち、多数の成功ノウハウ、構築モデルを蓄積している。ホテル業界にも多数のテレフォニー導入実績がある。そうしたSIerとしてのNECの知見を、業務に最適化した1つの製品として届ける点が大きな特徴といえる。今後もさまざまなアプリケーションに対応した製品を展開していく予定だ」
この他、パートナー支援策の一環でもあるApplication Platform for Partnersは、全国に550社あるパートナーの会計システム、ERP、医療パッケージ製品などをNECのサーバ製品「Express 5800」シリーズなどと組み合わせて共同開発する製品。こちらも稼働までの時間を従来に対して半減できるとしている。
「従来型のシステムとは運用コストで差が出る」 サポート体制も強み
Cloud Platform Suiteはプライベートクラウド基盤を提供する製品。仮想環境の場合、利用者側からのリソース配備要求に対して、個別に管理している各システム構成要素のリソース空き状況を個別に確認する必要があるが、本製品はリソースを一元管理するプーリング機能と、それに基づいた運用ガイドラインを用意。リソースのメニュー化と払い出しの自動化、モニタリング、最適配置、障害監視、構成管理などの運用をITILに沿って一元的に行える点が特徴だ。
システム基盤は、サーバに「Express5800」シリーズ、ストレージに「iStorageシリーズ」、ネットワーク機器に「UNIVERGE」シリーズを採用し、これらを統合プラットフォーム管理製品「WebSAM SigmaSystemCenter」でコントロールする仕組み。こちらもベストオブブリード型の構築に比べて導入期間は約60%削減、導入コストは約20%削減できるという。岡田氏はNEC Solution Platformsについて次のようにまとめる。
「企業にとってITコストの削減は永続的な課題だが、従来のベストオブブリード型のシステム構築では、構成要素同士の最適化に時間とコストが掛かりがちな他、管理ツールもばらばらなため運用負荷が高まりやすいという問題があった。そこでNEC Solution Platformsでは導入、運用の負荷と時間を軽減することで、システムを経営の武器として使うとともに、IT部門がより創造的な業務に集中できることを狙った」
また、従来型の構築方法では、製品やベンダーによってサポート窓口が異なるため、万一の際も対応に時間と手間が掛かりがちだった。そこでNEC Solution Platforms専用の「ワンストップ保守サポート」を用意。ハードウェア、ソフトウェアのサポート対応を一元的に受け付け、必要があれば全国に400拠点を持つ保守会社、NECフィールディングのスタッフがユーザー企業に出向ける体制を整えたという。岡田氏は「サポート体制も含めて、ベストオブブリード型で構築したシステムに比べ、運用コストで大きなメリットが得られるはずだ」とコメントする。
「当面はIaaS型のCloud Platform Suiteのニーズが高まると予想されるが、今後はApplication Platform Suiteの需要が伸びると期待している。特に既存システムの入れ替えではなく、ビジネスの要請に応じて新たにシステムを作る“新規領域への投資”に応える製品として需要が高まるのではと考えている」
NECとしては、単に垂直統合型のシステムを提供するのではなく、それによって企業は何が得られるのかを熟慮し、ビジネスの付加価値を提供していきたい考えだ。
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