連携ツールでNotes徹底活用【ポータル編】
Notes内の情報活用を最大化するポータル製品の選び方
Notesは長年利用している企業ほど業務効率が低下している可能性がある。そのため、社内業務で利用する情報を1画面に集約、統合できるポータル製品の導入企業が増えている。
Notesデータベースの乱立とNotesの孤立化が進行
Lotus Notes/Domino(以下、Notes)のユーザー企業は、長年利用しているほどNotesデータベースが乱立し、必要な情報が探しにくくなるという課題を抱えている。これは本連載「連携ツールでNotes徹底活用」で何度も指摘してきたNotesユーザー共通の悩みだ。
今回、それにプラスしてNotesユーザー企業の情報管理課題として指摘するのは「Notesがほかの業務システムから孤立して利用されていること」である。文書管理システムやイントラネット、SFA(Sales Force Automation)などのNotes以外のシステムにも情報が分散し、日々増加しているばかりか、Webベースの業務システムの増加やインターネットからの情報収集の利用頻度も増している。NotesユーザーはNotesクライアントとWebブラウザをデスクトップで切り替えながら、複雑な階層の奥にある情報を手繰り寄せている状況だ。
また、外部環境や社内の体制が日々変わる中で、システムや社員の行動が追従できないという現象も起きている。例えば、内部統制対応のために業務手順を定義しても周知されない、営業活動で競合の新情報が周知できずに提案が遅れて商談を逃す、という事態も起こっている。
Notesワークスペースが抱える課題
その要因の1つとして、Notesのワークスペースが考えられる。Notesのワークスペースは、ユーザーが自由にNotesデータベースのアイコンを配置したり、切り替えタブを設定して整理できるなど利便性が良い半面、アイコンを1つ1つ開かないと中身が分からない。また、Notes以外のイントラネットや業務システムをワークスペースから利用できないため、別途Webブラウザや専用クライアントなどを立ち上げなければならないなど、情報アクセスの手段が複数必要となる。
一方で、ワークスペースは「会社として重要な情報を周知徹底する手段になりにくい」と考える管理者が増えてきているようだ。しかし、厄介なことに長年Notesを使っているユーザーほどワークスペースに慣れてしまい、実際は作業効率が低下しているにもかかわらずさほど面倒と感じていない場合が多い。Notes以降に導入したほかのWebアプリケーションは日々進化し、情報にアクセスしやすくなっているのに対し、Notesだけが情報収集のスピードと業務効率が知らぬ間に大きく低下している可能性もある。
Notesにポータルが必要となる理由とは
このような理由から、Notesにポータル製品を連携させる企業が増えている。電子メールやデータベースを始め、スケジュールやファイリング、掲示板、社内業務システムなどを1画面に集約・統合し、個人の生産性向上を図るのがポータルの役割だ。社員が毎朝最初にアクセスする業務の入り口、あるいは作業場所ともなるので、企業としてのガバナンスも強化しやすい。また、Notes内の情報アクセシビリティを高められるほか、業務システムの中でNotesを孤立させないようにする手段としても活用される。
では、ポータル導入の目的とは何か。まず経営層の視点では、経営戦略や事業方針を周知・浸透させて内部統制を強化したいという目的が大きい。現状はNotesデータベースに蓄積したコンテンツが社内に散在しているが、それらをポータルによって結び付け、新たな付加価値やサービスを社員が生み出すような環境を提供したいというニーズがある。
管理者の視点では、Notesの導入当時は積極的にコンテンツを蓄積していたのに、蓄積するだけで利用率が低下しているNotes資産の活用の幅を広げたいという思惑がある。
また、エンドユーザーの視点としては、Webベースの社内システムが増加し、Webブラウザの利用頻度が増加する中で、「Notesの情報はNotesクライアントを利用しないと参照できない」という不満がある。ポータルによってアクセス性を向上することで煩わしさを解消し、生産性向上を図るというわけだ。
さらに、最近ではNotesマイグレーションの目玉(あるいは口実)としてポータルを検討する企業が増えているという。長引く不況によるIT投資の抑制が続く中、Notes管理者はバージョンアップの稟議(りんぎ)を起案するに当たり、Notes単体の機能追加だけでは説得力に欠けると頭を痛めている。そこで、ポータルを組み合わせることでWebブラウザベースのアクセス手段を提供するとともに、重要情報の周知徹底を可能にするという項目を含めてNotesマイグレーションを上申することもあるようだ。
簡易ポータルか本格ポータルかの選択
一般にNotesと連携するポータル製品には、Notesの情報統合や情報集約、アクセス向上を目的とした比較的低価格な簡易ポータルと、アプリケーション統合や業務プロセス自体の統合までを目的としたハイエンドの本格ポータルが存在する。
簡易ポータルは既存のDominoサーバやDominoディレクトリを流用しリーズナブルに構築できるメリットがあるが、ユーザー単位でのカスタマイズには対応していないなどの制限がある。一方、本格ポータルはポートレットやマッシュアップなどを活用した多機能かつカスタマイズ性の高さが特徴だが、別途サーバなどハードウェアの追加投資が必要な場合が多く、ライセンス費用も高額になるという側面もある。
ポータルを導入する際には、情報共有なのか業務統合なのか、目的や要件を明確に分析した上で、コストとのバランスを念頭に置いて選択することが大切だ。また、イントラネットやほかの社内情報システムとの連携には、セキュリティ管理やユーザー認証が必要となる。そのため、シングルサインオン(SSO)認証を構築するかどうかや、NotesのACL(アクセス制御リスト)を忠実にポータル側で制御する必要があるか否かでも選択が変わってくるだろう。
単なるリンク集にならないために
さらに、ポータルは稼働後が非常に重要だ。ユーザーが日常的にアクセスするため、新着情報や必読情報を可視化するための運用の容易性やカスタマイズのしやすさも製品選定に必要な条件といえる。構築後には「社長のメッセージを入れたい」などといった簡易とはいえ突発的なリクエストや、企業内のデータを分析・加工して意思決定に活用するBI(Business Intelligence)との連携といった複雑なカスタマイズも想定される。
とはいえ、最初からすべてのニーズを把握することは難しい。そのため、スタート時は情報システム部でポータルのメニューを考え、運用が進む中でユーザーからの要望を聞き入れてメニューを増やしたり、不要なメニューと置き換えたりすればいい。より部門に特化したレイアウトに変更したり、業務や顧客との連携性を強化する情報を集めたりする使い方にシフトするかもしれない。
ただし、忘れてはならないのは、ポータルの仕組みだけで情報活用の質が向上するわけではないということだ。まずは、はんらんした情報をできるだけ棚卸しして、新しいNotesデータベースを作る際には一定のルールに基づき運用することを徹底すべきだ。それを軽視するとポータルは単なるリンク集になってしまうからだ。
そして、情報を日々更新するために、総務部や営業部などと協調してポータル活用の体制作りも構築していくことが重要だ。
Notesとの連携を前提に最適化されたポータル製品の数々
Notesとの連携を前提としたポータル製品は数多く存在するが、その中から幾つかの製品を以下に紹介する。自社の業務課題とポータル導入の目的とを照らし合わせて、ぜひ最適な選択をしていただきたい。
日本アイ・ビー・エム
日本アイ・ビー・エムが提供する、企業ポータル、業務ダッシュボードを実現するためのフロントエンド統合ソリューション。Notesとの高い連携性はもちろん、コンポジットアプリケーション技術によって他社製品やWebサービスなどとの連携にも優れている。多数のポートレットやウィジェットが用意され、システムやデータの形式・所在の制限なくポータル上のコンテンツ化が可能。また、ページ単位、ポートレット単位でアクセス制御を反映し、利用者の属性やシステム環境に応じた画面を提供できる。さらに、「IBM WebSphere Portlet Factory」を利用することで、基幹システム、リレーショナルデータベース(RDB)などに存在するデータを利用者や目的に応じてパーソナライズしたグラフ、アラートなどで共有・可視化できる。
OSK
OfficeStream for Lotus Notes/Domino ポータルパック
OSKのNotes対応業務アプリケーション体系「OfficeStream」シリーズのポータルパッケージ。教育研修や慶事/訃報、規定集など、社内情報を迅速に伝える掲示板機能の「総務パック」、稟議(りんぎ)や決裁など承認者5人までに対応した簡易ワークフロー「承認システム」、承認機能や版権管理機能を持つ簡易文書管理システム「ドキュメント管理」の3製品に加え、eラーニングシステム「EasyLearning for Notes/Domino」のお試し版もバンドルしたトータルパッケージ。NotesクライアントとWebブラウザの両方で変わらない操作性を実現し、電子メールやスケジュールなどのNotesアプリケーションの起動はもちろん、指定データベースから新着情報を収集して表示し、ユーザーごとに設定可能なリンク集も提供するなど統合環境として利用できる。
PFU
ユーザーライセンスフリーの低コストで実現するNotes対応アドオン型ポータル。Dominoサーバにアドオンするだけで、最短3日で稼働できる手軽さが特徴。連携システムを起動するクライアントソフトウェアとして、WebブラウザとNotesクライアントの両方に対応し、1つの画面に全社で必要なNotes業務とほかのWeb業務を集約できる。ACLを継承してユーザーには必要なメニューだけを表示するとともに、「WorkSpiceフローエンジン」と連携し承認者が承認すべき案件一覧を表示して統制を図る。また、Notesアプリケーションの新着情報だけでなく、RSS/Atom対応のWebサイトの新着情報も参照できる。WorkSpiceポータルはNotesデータベースで開発されており、設計公開版も提供されるため、カスタマイズが容易な点も特徴の1つだ。
コムチュア
Webブラウザ利用をベースとし、ポータルを中心に電子メールやスケジュール、掲示板、文書ライブラリなどのアプリケーションをパッケージ化したNotesアドオンのグループウェア。ポータルは「全社」「部門(業務)」「個人」の3段階で設定が可能だ。「部門(業務)」ポータルは部署ごと、業務ごとなど複数設定できるとともに、ACLを反映させ関係部門以外は非表示とするなど、情報漏えい防止や内部統制強化にも貢献する。最新バージョン(80.1.0)ではNotes/Domino 8に対応したほか、WebブラウザベースのPIMクライアント「IBM Lotus Domino Web Access」が選択可能になった。なお、同機能で官公庁向けポータル「Domino City」も提供されている。
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