端末管理機能だけでは不十分
ランキング上位ベンダーに見る、失敗しないMDM製品の条件
MDM分野では、めまぐるしい速さで研究とイノベーションが繰り返されている。今後、MDM専門の新興企業は締め出され、大手ベンダーが市場を独占するようになる可能性が高い。
急速に成長するMDM市場
MDM(モバイルデバイス管理)市場は、もはや初々しい新興企業のゲームではなくなった。米IBM、独SAP、米Citrix Systems、米Symantec、米Intel傘下のMcAfee、ロシアKaspersky Labsが、MDM市場に乗り出してきている。米Gartnerのモバイル担当アナリスト、フィリップ・レッドマン氏によると、2014年は、米Microsoftや米Cisco Systemsなど、さらに多くのITベンダーがMDM事業に力を入れ、より規模の小さいMDM専門の新興企業を締め出す傾向が続く可能性があるという。
「MDM市場は成長しており、大企業はそれぞれに買収や投資を進めて、この市場を切り開いた企業に追い付こうとしている」とレッドマン氏は話す。
2012年は、Citrixによる米Zenpriseの買収など、数々の大手ベンダーが買収によってMDM市場へ参入している。Citrixは、2013年2月にZenpriseのテクノロジーを組み込んだモバイル管理スイート「XenMobile」を発表している。
レッドマン氏は、「従来の大手ベンダーは、当初、MDM製品やサービスを遠巻きに見ていたが、MDMから収益が期待できるというだけでなく、顧客にとってMDMが重要なことに気付いた」と話す。2012年は7億8400万ドル規模だったエンタープライズMDM市場は、2014年には16億ドルの規模に成長すると予想されている。
レッドマン氏によると、多くの企業はいまだにカナダBlackBerryの「BlackBerry Enterprise Server」と「Microsoft Exchange ActiveSync」を組み合わせて利用しているが、昨今、エンタープライズMDMを検討する企業も増え始めているという。
「モバイル管理分野では、めまぐるしい速さで研究とイノベーションが繰り返されている。モバイル管理がある種の成熟した状態に達する日が訪れるかどうかは分からない。厄介なのは、モバイルサポートの要件は企業ごとに異なり、そういった多種多様なニーズに応える万能のソリューションがないことだ」とレッドマン氏は解説する。
MDM市場で高評価のベンダーは?
「エンタープライズ向けのモバイル管理製品は、一般に“モバイル端末管理”製品と呼ばれるが、テクノロジーの観点では端末管理以外の機能も必要だ。アプリケーション管理、ファイルの同期と共有、データセキュリティツール、会社所有/私物端末のサポートなどの機能も必要になる」と指摘するのは、オランダのITソリューションプロバイダー、PQRで最高技術責任者(CTO)を務めるルーベン・スプルート氏だ、
「大切なのは、端末でもアプリケーションでもなくビジネスだ。BYOD(Bring Your Own Device)が新しい標準になっているのかもしれないが、全ての企業や全ての状況に適しているわけではない」(スプルート氏)
2013年5月に、PQRはモバイル管理ベンダーの評価資料を公開した。この資料では、米AppSenseの「MobileNow」、米VMwareの「Horizon Suite」、Ciscoの「Meraki Systems Manager」、Microsoftの「Windows InTune」などの製品が評価されている。PQRの資料でも、Gartnerの「Magic Quadrantリポート」で上位にランクされたベンダーは、米AirWatch、米MobileIron、米Citrix、米Good Technology、米Symantecである。
BlackBerryは、BlackBerry Enterprise ServerによってMDM市場を切り開いた先駆者としての功績は高く評価されているが、2012年まではGartnerのトップベンダーリストの圏外だった。2013年にリリースしたBlackBerry Enterprise Service 10において、BlackBerry以外のプラットフォームのモバイル端末にも対応したことで、ようやくランクインを果たした。
「BlackBerryは、BlackBerry搭載端末の管理やBlackBerry端末へのセキュリティポリシーの展開に関しては、常に素晴らしい機能を提供してきた。しかし、サポートする端末やOSが1種類のみというのは、現状のエンタープライズモビリティではもはや不十分だ」とレッドマン氏は話す。
現時点では、MDM市場で一旗揚げようとする新興企業は、非常に厳しい状況に置かれる可能性をレッドマン氏は示唆する。
「MDM市場は既に形成され、動き出している。新興企業がこの分野に進出しようとすると、資金力で攻めている大手ベンダーや、4、5年前にこの分野に乗り出した新しいタイプの企業にひと泡吹かせるのは並大抵ではない」(レッドマン氏)
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