盛り上がるSDN市場
SDN市場をリードするNECに勝算は?
NECは自社のNorthboundインタフェースを業界標準のベースとして検討するよう、SDNのオープンソース開発プロジェクト、OpenDaylight Projectに働き掛ける。NECが他のネットワークベンダーにもたらす波紋とは。
クラウドを正しいネットワークアーキテクチャでサポートする
NEC Corporation of America(以下、NEC)は2013年5月、クラウドネットワーキングにおけるセキュリティ、最適化、オーケストレーションの強化を図るオープンなNorthboundAPIで構築した一連のSDN(Software Defined Networking)アプリケーションを発表した。
今回の発表は、ベンダーパートナーを統合するエコシステムとオープンAPIを利用するSDNアプリケーションのスタートとなる。NECは今後、自社のNorthboundインタフェースを業界標準のベースとして検討するよう、主要ネットワークベンダーが参加するSDNのオープンソース開発プロジェクト、OpenDaylight Projectに働き掛ける。
同月、米ラスベガスで開催された「Interop」で、NECは「SDN Application Center」を展示するとともに、米Red Hat、イスラエルRadware、米A10 Networks、米Silver Peak、米vArmour、米Real Statusなどのパートナー各社が開発したアプリケーションをデモンストレーションした。それらのアプリケーションには、WAN高速化、ロードバランシング、サービス妨害攻撃(DoS攻撃)防御、仮想化セキュリティ、クラウドオーケストレーションなどが含まれていた。
「GoogleがAPIを提供し、そこから(ハイブリッド)アプリケーションを派生させるGoogle Maps方式に似た、RESTフル(RESTful)APIの1つだ」と語るのは、NECのビジネス開発および戦略ディレクター、ドン・クラーク氏だ。RESTとはRepresentational State Transferの略で、通常HTTPを介して動くシンプルなステートレスアーキテクチャを指す。「われわれはいま、ネットワークで同じことが起こっているのを見ている」
NECは、ProgrammableFlow SDNをポートフォリオに加えたことで、OpenFlowフレンドリーな物理スイッチ、仮想スイッチング、コントローラー、管理コンソール、そしてアプリケーションエコシステムまで提供する数少ないプレーヤーの1社となった。
NECは「SDNがどこへ向かっているのか理解していることを示そうとしている。つまり、クラウドを正しいネットワークアーキテクチャでサポートしようというのだ」と、米IDCのリサーチディレクター、ブラッド・ケースモア氏は語る。同氏の説明によりハイブリッドクラウドアプリケーションが伝統的なネットワーキングと異なり、プライベートやハイブリッドクラウドにおけるセキュリティの最適化と柔軟性を実現し、ワークロードのモビリティを可能にすることを示したという。
ネットワーク管理の可能性を広げるNEC SDNアプリケーション
ネットワーク管理アプリケーションをSDNコントローラーフレームワークに統合することにより、アプライアンスをオンデマンドで起動でき、ネットワークのテナントごとに、必要に応じて多様な機能を提供できるようになる。つまり、よりきめ細かな管理が可能になり、アプライアンスの利用を最適化できるのだ。
例えば、「コントローラーとA10の管理フレームワークを統合すれば、A10はキャパシティー要求に応じて仮想ロードバランサーの新しいインスタンスを起動できるようになる」とクラーク氏は説明する。そしてトラフィックが減少すれば、それらの新しいアプライアンスは非アクティブ化されて、フローは残りのロードバランサーに集約される。
「一方、Silver PeakのWANアクセラレーションとNECのコントローラーを統合すれば、システム管理者はポリシーをベースにどのフローをアクセラレータ経由で送るか選択できるようになった」
セキュリティ面では、NECとvArmourのパートナーシップにより、ハイパーバイザーと仮想マシン向けにフレキシブルなセキュリティが実現したほか、Radwareとの提携でNECのコントローラーにDoS分散緩和機能が統合された。これにより、疑わしいトラフィックは必要に応じて、Radwareアプライアンスに転送される。
「必要に応じて機器の数を増減できるため、ネットワークの規模に関して神経質になる必要はない」
NECは今回の発表の前にも、「Microsoft System Center」との統合およびOpenstack Quantumへのプラグイン提供により、クラウド管理分野で大きく前進していた。NECは「OpenStack Quantumの実装によって、Red Hatのクラウドイニシアチブを認証した。従って、同社のコントローラーはRed Hatのクラウド管理でも機能するだろう」とクラーク氏は語る。
NECのNorthbound APIはOpenDaylight標準となるか?
パートナー各社は自前のオープンNorthboundインタフェースを用いてアプリケーションを開発しているが、クラーク氏によると、NECは自社のAPIをオープンソースイニシアチブのモデルまたは参照として検討するようOpenDaylight Projectに求める考えだ。
この新しく結成されたベンダーコンソーシアムは、SDNコントローラー用のオープンソースコードの開発を進めるとともに、SouthboundプロトコルとNorthboundインタフェース、あるいは少なくとも後者の参照モデルの検討を行う予定だ。
主要なネットワークハードウェアベンダーは、全てOpenDaylightに参加しており、多くのSDNイノベーター(多くは自社のコードと戦略を推進したいと考えている)もまた、この船に乗り込んでいる。しかし、このコンソーシアムでは、コードはあくまで能力主義をベースに選択し、企業の規模や資金、その他の要因には影響されないとしている。NECは、そこでテストされる最初のベンダーとなる。
「われわれはコードの審査と認証のプロセス、そしてそれがどのように政治問題になるのかを見ることになるだろう」とケースモア氏は語る。「他にも優れたコードを持つ企業が名乗りを上げるだろう。だが、NECには実際に商用ベースの導入事例があり、市場での実績も長い。コードの多くの部分は、そうした実際の戦場で鍛え上げられてきたものだ」
競合に直面するNEC SDNアプリケーション
米Big Switchは2012年11月、コントローラー製品とともに一連のSDNアプリケーションと27社の頑強なパートナーによるエコシステムを発表し、NECの顔面にパンチを放った。また、他のさまざま分野な競合ベンダーも、SDN対応のネットワーク仮想化、セキュリティ、ネットワーク管理アプリケーションを発表してきた。しかしNECは、アプリケーションからスイッチまでを網羅する完全なネットワークスタックで差別化を図っている。
Big Switchは自社を「ハードウェアに対してオープンで、かつ敬意を表す」ソフトウェア専業ベンダーと位置付けている。一方、NECはネットワークスタック全体をカバーし、「最先端の顧客ニーズに応える物理および仮想データ技術を提供している」とケースモア氏はいう。
NECが顧客に自社製品を強制することはない。同社は、米Aristaや米Extreme、米Brocadeを含む多くのベンダー製品で、自社のコントローラーやネットワーク仮想化アプリケーションの動作を検証している。しかし同時に、NECは統合されたソフトウェアとハードウェアで、データセンターを丸ごと顧客に提供することも可能であり、そこは他社にまねできない点なのである。
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