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2013年12月16日 00時00分 UPDATE
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消費電力と設置スペースを大幅に削減データセンター効率化を実現する超高密度サーバの実力とは?

クラウド化/ビッグデータ対応でサーバリソース増強が不可欠なデータセンターでは、消費電力と設置面積の問題が深刻化。解決策となる「超高密度スケールアウトサーバ」の導入効果を従来環境との比較検証で紹介する。

[ITmedia]

 日々生み出されるデータの飛躍的な増加を背景に、データセンターで稼働するサーバの処理量は増加の一途をたどっている。今後もあらゆる場面でIT活用が進むことが予想されており、さらなるサーバリソースの増強は不可避な状況だ。

 このような状況で、避けては通れない課題がある。それは“消費電力”と“重量”の問題だ。国内の各電力会社が相次いで電力料金の値上げを発表する中、電力消費量が特に多いデータセンターではその運用コストの増加に直結してしまう。また、従来型サーバでは、ラック当たりの消費電力や荷重制限により効率的に機器を搭載できないケースが多い。

 こうした中、データセンター事業者やクラウドサービス事業者の多くがデータセンターのサーバリソースを効率化すべく、サーバ仮想化による統合を進めている。

 しかし、サーバ統合だけでは上記効率化の課題を解決できないデータセンターが増えている。また、ビッグデータ時代が到来し、サーバの処理能力の向上が求められることを考慮すると、これらの問題の解決は急務といえる。そこで脚光を浴びているのが、異次元の省スペース、省電力を実現する「次世代型カートリッジサーバ」である。本稿では、従来型サーバとの性能比較検証を基に、その導入効果を紹介する。

超高密度スケールアウトを実現する次世代型カートリッジサーバ

 データセンターにおけるサーバの消費電力と設置スペースの問題解決策として大きな期待を集めているのが、独自アーキテクチャで開発されたサーバ製品群だ。その代表例が日本ヒューレット・パッカード(HP)が2013年4月に発表した高密度スケールアウト型省電力サーバ「HP Moonshot System」(以下、Moonshot)である。

 米HPが2011年11月に発表したプロジェクト「HP Project Moonshot」を基に開発されたHP Moonshot System。電力や排熱の効率化に向けた新たな設計アプローチを採用し、従来製品をはるかにしのぐ高密度かつ省電力を実現する。タワー型やラックマウント型、ブレード型に次ぐ第4の技術革新の“波”を起こす製品として注目を集めている。

画像1 画像1 HP Moonshot System

 Moonshotでは「SDS(Software Defined Server)」というコンセプトの下、ソフトウェアの性能を最大限引き出せるように、用途や目的に応じた最適化されたサーバを提供している。サーバ構成を大幅に簡略化したカートリッジ型を採用し、1シャーシ(4.3ラックユニット)当たり最大45基のカートリッジを収容可能で、また「SoC(System on a Chip)」を採用することなどで省電力や省スペースを低コストで実現している。

 Moonshotの導入効果とは、一体どれくらいなのだろうか? 国内でいち早くMoonshotの検証に取り組んだのが、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)だ。国内有数のシステムインテグレーター(SIer)である同社は、数年前から高集積サーバに着目していたという。

サーバ仮想化技術だけでは解決できない問題

CTCの中間氏

 CTC ITエンジニアリング室 インフラソリューション技術第1部 インフラソリューション技術第1課の中間智也氏は「従来型のサーバ環境では非効率な要素が多く、思い描いていた理想像のデータセンターとは程遠い状況にある」と指摘する。

 非効率な要素の例としては、多くのデータセンターが導入してきた「従来型ラックマウントサーバ」が挙げられる。実際の運用段階ではサーバの処理性能や機能に余剰が生じやすく、必要以上の電力を消費する要因にもなっていた。「あらゆる余剰は本体価格や電力消費に跳ね返る。サーバ仮想化により余剰リソースを使い切るという考え方もあるが、その場合、仮想環境の設計や管理のためのコスト負担が発生する。また、従来型サーバでは電力消費がネックとなり、データセンターのスペースを生かし切れていない」(中間氏)

CTCの木村氏

 CTC 情報通信システム第1本部 基盤技術第1部 システム技術第1課の木村晋也氏は「Moonshotは仮想化を用いることなく、あらかじめハードウェア的に分割した形でリソースを提供するため、リソースの最適化およびサーバ停止の影響を極小化することが可能となる。また、一般的なクライアントPCと同等という消費電力の低さから、当然、電力消費も大幅に改善できる」と説明する。

 普及が進むサーバ仮想化も効率が悪いケースが出てくる。仮想環境では1つのサーバ上で複数の仮想マシンが稼働しており、サーバ停止の影響範囲もそれだけ広範にわたる。対して、Moonshotは個々のカートリッジで処理が完結していることも運用面で大きなメリットだという。

 さらに、ビッグデータへの企業の関心が高まる中で、効率良くデータ処理を行うためにサーバをスケールアウトさせる分散処理基盤への期待が高まっている。「例えば、Hadoopは多数のノードによる分散処理を行う点で、スケールアウト型サーバであるMoonshotと技術的に親和性が高い。最大45個のカートリッジでの処理により、大幅なパフォーマンス向上が期待できる」(中間氏)

 CTCによれば、クラウド基盤を管理するOpenStackなどのオープンソースソフトウェアと組み合わせることで柔軟な構成変更や運用管理の自動化を実現でき、さらなるTCO(総所有コスト)の削減を見込めることもメリットの1つだという。そのコストの削減により、新しい付加価値を提供することで、自社の競争力を高めることができるのだ。

実機検証が示すMoonshotのメリット

 中間氏は「HPがMoonshotを発表したことで、次世代型カートリッジサーバが本格的に市場に普及するだろうという印象を受けた」という。CTCは2013年8〜9月にかけて、Moonshotと従来型サーバ、他の高集積サーバとの性能比較テストを実施し、Moonshotの導入効果を検証した(表1)。

 同一環境要件での性能を検証するため、「ラック当たりの最大消費電力で6000ワット、最大荷重で400キロ」という一般的なデータセンターの条件内で、可能な限りの台数を搭載するという想定で各サーバを比較した。Moonshot、HPの高集積サーバ(4Uサイズ、8ノード)、汎用ラックマウントサーバ(2Uサイズ、2ソケット)などを用いた。以下のその主な検証項目となる。

  1. Hadoop(並列処理)時の性能検証
  2. データセンターで3年間運用した場合のTCO比較
表1 表1 検証時に用いた実機の仕様と検証結果

 CTCでは単純にCPU性能ではなく、CPU、メモリ、ディスク全てに負荷を掛けることが可能なベンチマークとして、Hadoopを使用した文字列データの全ソート処理を比較した。

 その検証結果であらためて実証されたのが、Moonshotの処理性能の高さとデータセンターの利用コストの低さである。Moonshotは重量が軽く、消費電力も低いことから、最も多くの筐体を1ラックに搭載できた。1ラック当たりのMoonshotのHadoop性能は、汎用ラックマウントサーバの約2倍に達するほどであった(図1)。

図1 図1 1ラック当たりのHadoop性能比

 「一般的にHadoopはディスクをより多く搭載した方が有利といわれている。Moonshotは現行の仕様では1カートリッジ当たり1ディスクなので、ディスクを大量に搭載できる汎用ラックマウントサーバより不利だと考えていた。しかし、今回の検証ではCPU性能とディスク性能のバランスが良く、両方のリソースを最大限使いきることができていたので、Moonshotは想定よりも高速に処理できた。この結果からも、Moonshotは分散処理基盤として有効であることが確認できた」(中間氏)

大規模システムほど高まるコスト削減効果

 また、データセンターで3年間運用した場合のTCO比較では、Moonshotはイニシャルコストも運用コストも低い結果となり、他製品よりもTCOを大幅に削減できる(図2)。

図2 図2 データセンターで3年間運用した場合のTCO比較

 「また、データセンター利用コストには含まれない運用コストにも注目するべきだ。Moonshotのカートリッジは筐体に装着するだけで利用できるなどハードウェア管理が簡素化されている。実際の運用現場では数値に表れないコスト削減効果も大いに期待できる」(木村氏)

 CTCはMoonshotをコスト削減を実現する重要なプラットフォームに位置付け、通信事業者やITサービス事業者などへ積極的に提案活動を実施している。クラウド基盤や分散データ処理基盤だけでなく、Webシステムや携帯ゲームのプラットフォーム、ホスティング用サーバなどへの利用も見込まれるという。

新カートリッジで新たな需要を開拓

 HPはMoonshotの用途拡大に向けた新カートリッジの投入を予定している。Windowsクライアント環境向け製品やデジタル信号処理(DSP)エンジンを搭載した製品など、その種類は多岐にわたる。新カートリッジではより高速処理が必要な用途への適用も可能になる。

 もっとも、Moonshotには課題もまだ残されていると木村氏。例えば、ノードごとにライセンスの購入が必要なOSやソフトウェアは、ノードが増えるほどライセンス料が高額になってしまう。「今後はサーバの技術革新を踏まえ、OSやソフトウェアベンダーと一緒になって高集積サーバ用ライセンスの採用などに取り組んでいきたい」(木村氏)

 CTCによるとMoonshotに関心を示す通信キャリアやサービス事業者は非常に多いという。新カートリッジのリリースを追い風に、電力消費/スペースの課題を解消するため、サーバリソースの最適化に取り組む企業が今後、さらに加速しそうだ。

 以下のホワイトペーパーでは、今回CTCが実施した比較検証のより詳細な結果が紹介されている。ぜひ一読することをお勧めしたい。

お勧めのホワイトペーパー

ビッグデータ分析基盤として人気の「Apache Hadoop」。そのコストパフォーマンスを最大化できる基盤として注目されている次世代型カートリッジサーバの導入効果を、CTCが従来サーバと同一環境で徹底比較した。

ホワイトペーパーのダウンロードページへ (TechTargetジャパン)

提供:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

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