BIの活用が叫ばれて久しいが、これまで積極的に活用されてこなかった分野がある。それは「位置情報」である。BI上に位置情報機能を統合することで、地理的視点による新しいビジネスが生まれる可能性が広がっている。
企業内に蓄積された膨大なデータを活用して、企業の意思決定を支援する「ビジネスインテリジェンス」(BI)の活用が叫ばれて久しい。特に近年は「ビッグデータ」という新たなキーワードとともに、社内外を問わずさまざまな情報やデータをビジネスに活用しようという機運が高まっている。
BIシステムでは、さまざまな切り口でデータを分析し、その結果をビジュアルなグラフや表、リストに可視化することができる。企業はその情報を基に、ビジネスを加速する新たな気付きを得たり、意思決定に役立てたいと考えている。
だが、これまでのBIシステムでは積極的に取り扱われてこなかった分野が存在する。それは、地図との連係をはじめとした位置情報の活用である。特に「ロケーションインテリジェンス」(LI)と呼ばれる技術は、位置情報から地理的な特性やトレンドを把握し、さらに企業が持つデータと組み合わせて分析、活用する手法として注目を集めている。
そうした期待を裏打ちするように、地図情報や人の位置情報など、いわゆる「G空間情報」の市場規模は拡大の一途をたどっている。総務省は2014年、G空間情報の市場規模が現在の約20兆円から2020年度には約62兆円に拡大するとの予測を発表した。今や位置情報は、ビジネスを加速させる上で必要不可欠な存在となっているといっても過言ではないだろう。
実際、ビジネスで取り扱われる情報の80%には、位置に関わる情報が包含されているという。具体的には、店舗、営業リソース、見込み客などの位置情報に応じた販売促進計画や、製造拠点、流通センターなどのサプライチェーンマネジメントにおける位置情報をはじめ、ジオフェンシング(注)によるプッシュ型の情報配信など、その業種業態/活用用途はさまざまだ。
BIでは、リポートや表、グラフを活用した情報のビジュアライズを得意としている一方で、地理的なパターンや傾向、地域間を相対的に比較することは苦手としている。そうしたBIにLIをうまく組み合わせることで、これまでにない全く新しいビジネスの発見を得て、より一層精度の高い意思決定につながる。では、それを具現化するにはどうすればいいのだろうか。本稿では、ロケーションインテリジェンスの活用がビジネスに与えるインパクトと、BIとLIの統合を実現するソリューションを紹介する。
注:地図上の特定エリアに仮想的なフェンスを設置する技術
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