「クラウド指向」の影と希望 運用管理とセキュリティ対策を考えるもはや大企業だけの課題ではない

システム構築の第一の選択肢となったクラウド。システムの立ち上げが迅速になる 一方で、管理対象が膨大になり、全てを確実かつ安全に運用することが困難になってきている。

2016年11月28日 10時00分 公開
[ITmedia]

クラウドファースト時代に浮上してきた新たな課題

 企業のITインフラで「クラウドファースト」という言葉が目新しいものではなくなって久しい。自社で機器を調達して運用する場合に比べコストパフォーマンスに優れるだけでなく、ニーズに応じて柔軟に、きめ細かく拡張できる点が評価され、新たなサービスやシステムを企画する際、特殊な要件がなければAmazon Web Services(AWS)などのIaaS上での運用も検討されることが増えてきた。

 国内大手企業での大規模なクラウド移行も珍しくなくなり、漠然としたセキュリティ面の懸念も解消されつつある状況だ。この結果、新規システムはもちろん、既にオンプレミスで稼働している基幹システムについても、クラウドへの移行を検討する企業が増えている。加えて「会計的な戦略として、自社保有のIT資産を減らしていこうという方針を打ち出す企業も多い」(サイオステクノロジー 第1事業部 BC事業企画部 プリセールス 西下容史氏)という。

 ただ、本来ならば運用負荷を減らしてくれるはずのクラウド移行によって、かえって運用の煩雑さが増加するケースもある。「オンプレミスでのシステム構成に比べ、クラウド上では1システム当たりの台数が増えやすい」(レッドハット ソリューションアーキテクト 森若和雄氏)。例えば、IaaSならば単一障害点をなくすために複数の仮想マシンを配備して冗長化するだけでなく、サービスごとに分離してそれぞれのサービスの独立性を高くする。調達が容易な分、管理対象台数は増えやすいというわけだ。管理対象が増えると、運用の負荷が上がる。運用で問題が発生すると可用性が損なわれたり、セキュリティ面で問題が生じたりする恐れがある。

 本稿では、企業ITシステムがクラウドを利用する際の運用の課題、セキュリティを担保するために必要な知識について、多くの企業ITシステムのクラウド移行を支援してきたスペシャリストらに聞く。


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