技術を超えて企業文化も変革を、サーバーワークスが語るクラウド移行の勘所3つの移行パターンで解説

AWSに特化したインテグレーターとして名高いサーバーワークス。同社は、企業がクラウド導入を成功させるコツを「企業文化の変革にある」と主張する。AWSへの移行ノウハウを幾つかの事例とともに紹介しよう。

2016年12月15日 10時00分 公開
[ITmedia]

クラウド移行とは企業文化の変革に通ずること

 「アマゾン ウェブ サービス」(AWS)は、利便性が高く、セキュリティ機能や可用性に優れ、多様な企業ITに適した包括力を備えるクラウドサービスだ。しかしながら既存システムを移行するという点において、AWSの利点をフル活用するためには、さまざまなノウハウが必要となる。クラウドへの移行とは単なる技術の移行ではなく、業務や体制の移行に他ならないからだ。

サーバーワークス 大石 良氏

 サーバーワークス 代表取締役の大石 良氏は、クラウドへの移行において「最も注意すべきことは企業文化だ」と主張する。

 同社は、日本にクラウドコンピューティングが根付く以前の2009年から、AWSに特化した導入支援サービスを提供するクラウドインテグレーター(CIer)だ。導入から運用に至るまで、大企業を中心に数多くのAWS導入を経験してきた実績から、AWS Partner Networkの「プレミアコンサルティングパートナー」「マネージドサービスプログラム(MSP)最新バージョン3.0パートナー」、そして日本でも数少ない「移行コンピテンシーパートナー」として認定を受けている。

図1 3つのAPNパートナー認定によって、フェーズに合わせたAWS移行や運用を支援《クリックで拡大》

 「AWSは非常に使いやすく、さまざまなサービスをそろえているため、技術的な移行はそれほど難しくありません。むしろ既存の業務や体制の移行、企業内でのクラウド技術への反発にどのように対処していくかという問題解決が困難となるケースが多いです。私たちは多数の企業システムをAWSへ移行してきた経験から、そうした“企業文化を変える”ための知見を豊富に有しています。それを分かりやすく表しているのが『All-In』『Lift-and-Shift』『Desktop Anywhere』という3つの移行キーワードです」(大石氏)。

 All-Inは、文字通り、全てのシステムをAWSへ順次移行すること。Lift-and-Shiftは、まず今ある環境のままAWSへ移行し、その後クラウドらしい設計を順次適用すること。そしてDesktop Anywhereは、サーバだけでなくデスクトップ環境をもクラウド化し、働き方を変えることを指す。

 企業文化という大きなハードルが越えられれば、多くのケースでクラウドに期待するコスト削減やビジネススピードの加速などを成し遂げられる。大石氏によれば、ある導入事例では、既存のデータセンターを閉鎖してAWSへ移行するという困難な作業の果てに、TCO(総所有コスト)を5分の1まで低減することに成功したという。

戦略立案から運用自動化までをサポート

 サーバーワークスでは、AWSの導入および移行に当たり、「AWS導入支援」「MSP(マネジメントサービス)」「AWS運用自動化サービス」という3つのソリューションで包括的な支援をしている。

 導入支援には、情報システム部門が社内調整をしたり役員を説得したりするノウハウや、AWS活用によって成果を得るためのアイデアなどの他に戦略立案も含む。企業文化の転換に向けた重要な段階だ。また移行後の運用設計も極めて重要で、失敗するとコストや負荷の肥大化につながりかねない。

 中でも最も特徴的なのが、運用自動化のステップだ。同社では長年にわたるAWSの運用経験を生かし、運用の自動化を図る仕組みをSaaS(Software as a Service)として提供している。その名も「Cloud Automator」だ。Cloud Automatorでは、「ジョブ自動化」「構成レビュー自動化」の2つの自動化サービスを提供する。

 ジョブ自動化は、「バックアップデータを定期的にシンガポールリージョンへレプリケーションする」「開発用インスタンスを休日に停止する」といった、定型ではあるが煩雑な作業を自動化する仕組みだ。

 構成レビュー自動化は、システムが計画通りに運用されているかどうかをチェックする機能である。例えばアプリケーションの開発中に一時的にファイアウォールの設定を変更するケースがあるとしよう。もし元の状態に戻し忘れるというミスが発生しても、この機能によってすぐに把握できる。

図2 AWS運用自動化サービス「Cloud Automator」《クリックで拡大》

 既に述べたように、技術的にサーバを稼働させるだけでクラウド移行が完了するわけではない。事前の交渉から継続的な運用に至るまで、全てがフィットして初めてクラウドのメリットを得られる。

プロの後方支援で大きなメリットを獲得した3社の移行事例

 AWSへのLift-and-Shift移行によって企業文化が変わったという顕著な例として、大石氏は横河電機の事例を取り上げた。同社はサーバーワークスの支援を受けて、Webシステムやドキュメント管理システムをAWSへ移行した。

 同社の既存システムでは、多くの企業と同様、肥大化したアクセスログを定期的に廃棄する作業をしていた。ところがAWSへの移行後、安価なストレージサービスにログを蓄積することが「正義」と変わった。現在ではログからアクセスユーザーの活動を解析してニーズを把握するなど、ビジネスへ積極的に活用しているという。守りのITから攻めのITへの転換を遂げた好例だ。

 クラウドソーシングサービスを提供するランサーズでは、自社のWebサイトのサーバ基盤をほぼ全てAWSでまかなっている。サーバーワークスでは、この基盤の設計や運用を包括的に支援した。近年では、AWSのリレーショナルデータベース「Amazon RDS for MySQL」からフルマネージド型の「Amazon Aurora」へ移行するに当たり、検証段階からサーバーワークスのサポートを受けている。

 大石氏によれば、同社はAWSを自前で構築、運用する技術力を持つユーザーだ。しかしながらサーバーワークスのプロフェッショナルサービスを活用することで、パフォーマンスを2倍に向上し、運用コストを2分の1にまで低減することに成功したという。自社サービスの後方支援として、サーバーワークスのサービスを高く評価しているとのことだ。

 総合商社の丸紅は、自社の「プロジェクトオフィス」におけるデスクトップ環境としてDesktop Anywhere移行を実現した。既にAll-InでAWSへの全面移行を実施している丸紅は、「IT戦略ロードマップ」という長期計画を推進。そのためのプロジェクトオフィスを設置するに当たり、AWSの仮想デスクトップサービス「Amazon WorkSpaces」を導入した。サーバーワークスがAWSおよびその付加価値を提案したことで、「低コスト」「高柔軟性」「高セキュリティ」の3つ要求事項をかなえることができた。

 サーバーワークスでは営業担当者であっても技術に精通することを心掛け、AWS認定ソリューションアーキテクトの資格を取得するよう努めている。「私たちはスタッフ一人一人がAWSの資格を有し、AWSのプロフェッショナルであるべく努めています。そして、必ず顧客やプロジェクトごとにチーム体制を作り、偏りのない高品質なサービスを提供しています。AWSのユーザーとしても手本となるべく、システムをフルクラウド化し、ワークスタイル変革を実践しています。ぜひ当社のオフィスを見学し、AWSの活用方法やメリットについて考えていただきたいと思います」(大石氏)

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