情報筋が明かした次期Officeの機能とライセンス形態
iPad用Officeアプリも提供? 見えてきた「Office 15」の全貌
2012年3月末にβ版のリリースが予定されている次期Officeスイート「Microsoft Office 15」。複数の情報筋が語ったOffice 15の機能とライセンス形態をまとめてみよう。
米Microsoftは次期Microsoft Officeスイート「Microsoft Office 15」のβ版を2012年3月末にリリースする予定だ。同社内の情報筋によると、今回のバージョンでは製品の配布、購入、ライセンスの方法が大幅に変更されるようだ。
ITのカスタマイズや個人所有端末の業務利用(BYOD:Bring Your Own Device)などのトレンド、さらに「2014年までにパーソナルクラウドがPCをリプレースする」という米Gartnerの最近の予測が、Microsoftに「ITプロフェッショナルおよびエンドユーザーに受け入れられるようなOfficeとWindowsを提供しなければならない」というプレッシャーを与えたようだ。
MicrosoftはOffice 15の新機能やライセンス形態を公式には明らかにしていないが、この次期スイートに関する情報に通じた関係者は、待ち望まれていたiPad向けのOfficeアプリが提供される予定であることや、ライセンス形態の変更に関する一部詳細を明らかにした。
Office 15の新機能とライセンス形態
新バージョンで予定されているライセンス形態の変更は、ビジネスユーザーにとってOfficeの注文方法の柔軟性を高めるもので、同じアカウントで異なるバージョンのOfficeを購入することが可能になるという。
例えば、ユーザーは同一ライセンスの一部として、Office 365クラウドサービス用の新バージョンを他のOfficeバージョンと組み合わせ、デスクトップ、ノートPC、iPad、iPhoneなど複数の端末で使うことができる。
クラウドサービスベースのバージョンはOffice 365というブランド名で販売され、中堅・中小企業(SMB)およびコンシューマー向けに各種のバージョンを用意している。
Microsoftの計画に詳しい情報筋によると、これらの新バージョンはいずれも、Windows Live SkyDriveをはじめとするクラウドストレージ技術との連係が大幅に改善されるという。
「SkyDriveおよびクラウドストレージとの連係は、グラウンド(ローカル端末)とクラウドとの間でシームレスなコミュニケーションとコラボレーションを実現するようにセットアップされる。これは新Officeの目玉機能になるだろう」とMicrosoftに近い匿名の情報筋は語る。
その狙いは、ユーザーが会社や自宅で使っているOfficeのローカル版とクラウド上のOffice 365との間で簡単に切り替えられるようにすることだ。文書を添付ファイルとしてメールで送信しなくても、SkyDrive経由で文書を利用できるようになるという。これは米GoogleのGoogle Docsによく似たアプローチだ。
Office 15は現在、テクニカルプレビューとしてOEMおよび一部のサードパーティーベンダーに提供されている。ある報道によると、Office 15にはMetroスタイル版のWord、Excel、Outlook、PowerPoint、OneNoteが含まれる他、文書の読みやすさを改善することも大きなポイントとなるようだ。別の報道によると、Office 15は簡素なインタフェースを備えるが、ユーザーがMicrosoft製品に期待するようになった機能(変更履歴機能など)は残されるという。
さらに前出の情報筋によると、Office 15の各バージョンのコアコードの大半は「非常に安定」しており、同社では第4四半期に最終製品をリリースする予定だ。ただし残念なことに、β版は2カ月前に出るはずだったが、「Windows 8」をめぐるさまざまな技術的問題のせいで遅れているらしい。これらの技術的問題でWindows 8のリリースが年末までずれ込むようだと、Microsoftは新OSの投入準備ができるまでOffice 15のリリースも見合わせる方針だという。
Officeの将来
Microsoftは、Office 2010はリリース以来18カ月で2億ライセンス近く販売されたとしている。2011年10~12月期には、Office部門の売り上げはMicrosoftの売り上げ全体の30%を占めたという。
iPad用のOfficeアプリはまだ提供されていないが、Officeソフトウェアスイートはモバイル分野でまだ市場シェアをそれほど減らしてはいない。これは競合製品の脅威がまだ現実のものになっていないからだ。とはいえ、Officeが米AppleのApp Storeで提供されないという状態が長く続き、人々がその代替としてGoogle Docsを受け入れるようになれば、Officeは不要だという認識が次第に広がるだろう。しかし逆にOfficeがiPad上で利用できるようになっても、厄介な問題が出てくるかもしれない。
「そこそこの機能を備えたバージョンのOfficeがiPad上で使えるようになれば、iPadがビジネスユーザーの間で広範に普及するのを妨げている最大の障害の1つが取り除かれることになる」と話すのは米大手金融サービス会社でITマネジャーをつとめるエド・サンダーズ氏だ。「Officeの既存バージョンと容易に連係できるWordやOfficeなどのアプリがあれば、古くなってきたノートPCをiPadでリプレースしようと思うマネジャーも出てくるのではないかと思う」
2012年3月初めの時点では、MicrosoftはOffice 15のどのバージョンを最初にβリリースするかを明らかにしていない。「現在、社内で盛んに議論されているようだ」と情報筋は話す。
業界アナリストによると、Office 15の販売とライセンスをめぐってMicrosoftは難しい課題を抱えているという。米調査会社Directions on Microsoftのリサーチアナリスト、ウェス・ミラー氏は「iPad用Office、Windows on ARM(ARMプロセッサ版Windows)、それに加えてOffice 365など、状況は非常に混沌としている」と話す。Microsoftの発表があるまでは「全てが不透明だ」(同氏)。
情報筋によると、Microsoftは携帯端末(主としてWindows 8搭載のARMタブレット)向けのタッチ対応版Office 15の他にも、AppleのiPadおよびiPhone向けのバージョンをリリースする予定だ。各バージョンでどのような機能セットが提供されるのか、価格はどうなるのか、といった詳細は不明だ。
「これらのバージョンはもっと早く投入すべきだった」と批判する人もいる。そのために、Office陣営はホットな携帯端末市場に進出するチャンスを逃したのだという。「Officeアプリケーションの不在は、Appleの携帯端末の最大の弱点でもあった」と企業のIT担当者の多くが指摘する。
現在、PC用のOfficeは125ドル程度で購入できる。企業向け割引価格を利用すれば、1シート当たり50ドル前後の価格になると思われる。しかしiPad向けの価格設定はまったく条件が違う。AppleのApp StoreにあるOffice競合製品は全て20ドル以下だ。
業界観測筋によると、MicrosoftはOffice 365でSaaS(Software as a Service)モデルに移行することにより、企業での1ユーザー当たりの価格総額を上げることが可能になるという。
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