「オンプレミス」のノウハウ、賢い使い方のヒント

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「オンプレミス回帰」(脱クラウド)とは

 近年、中堅・中小企業から大企業に至るまで、アプリケーションの実行やデータの保存といったITタスク実行のためにクラウドサービスに目が向けられてきた。時間の経過とともに、企業はクラウドサービスに預けた資産の一部または全てをクラウドサービスから外す選択をする可能性がある。例としてパブリッククラウド(インフラリソース共有型クラウドサービス)内の仮想サーバをシャットダウンし、関連するソフトウェアとデータをオンプレミスのデータセンターまたはコロケーション施設に移動することが挙げられる。これを「オンプレミス回帰」(または「脱クラウド」)と呼ぶ。(続きはページの末尾にあります)

オンプレミス関連の運用&Tips

「脱クラウド」「オンプレミス回帰」で見落としてはいけない“2大コスト”

コスト削減が「脱クラウド」の主な理由ではなくても、脱クラウドによるコストの変化を把握することは重要だ。当然ながら脱クラウドの作業そのものにも、それなりのコストがかかる。どのようなコストが発生するのか。

(2020/9/8)

オンプレミス回帰の理由はさまざま

 オンプレミス回帰のプロセスでは、クラウドサービスのユーザー企業やシステムインテグレーター(SIer)がクラウドベンダーと協力して、ユーザー企業のアプリケーションとデータを抽出する。この作業にはデータの検索と、クラウドベンダーのインフラにおけるアプリケーションの依存関係マッピングを含む。

 パブリッククラウドの場合、オンプレミス回帰はより複雑なプロセスになりがちだ。ユーザー企業はパブリッククラウドからオンプレミスインフラへアプリケーションとデータを移行させる際、クラウドベンダーが事前にスケジュールしたダウンタイム(システム停止)を待たなければならない可能性がある。クラウドベンダーは、他のユーザー企業が運用するアプリケーションの処理速度や応答速度といったパフォーマンスを妨げないように、オンプレミスインフラへの移行ツールの使用を制限しなければならない場合がある。

 ユーザー企業がオンプレミス回帰に踏み切る理由は幾つかある。セキュリティの問題、ユーザー企業とクラウドベンダーで責任を分担する「責任共有モデル」への懸念、クラウドサービスのアプリケーションをオンプレミスのアプリケーションおよびデータと連携することの難しさなどだ。

 クラウドサービスの投資対効果(ROI)が期待を下回る点も、オンプレミス回帰の決定に影響を与えている。これまでのオンプレミス回帰事例は、コストを気にする企業が、経済的により良い選択として、アプリケーションをオンプレミスの「HCI」(ハイパーコンバージドインフラ)に移動することを選択する可能性があることを示唆している。