肥大化を続ける企業のメールシステム環境に対しMicrosoft Exchangeは「生産性向上」「メール保護」「コスト削減」に寄与する抱負な機能を搭載。クラウド/オンプレミス双方の提供方法に対応し、低予算での導入を可能とする。
企業のコミュニケーションインフラとして、必要不可欠な存在となっているメールシステム。メールの確認から毎日の業務がスタートするというビジネスマンも少なくないはずだ。その一方で、企業が1日に送受信するメールの数は増加の一途をたどっており、メールサーバに蓄積されるデータ容量も肥大化を続けているのが現状である。
「メールの数、容量共に急激に増大する中で、企業ではメールシステムの運用に多くの課題を抱えており、既存のメッセージ環境を見直す機運が高まっている」と指摘するのは、日本マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 IWサーバー製品マーケティンググループ エグゼクティブプロダクトマネージャの内田 修氏。そして、今後のメッセージ環境に求められる要件として、(1)エンドユーザーの生産性向上、(2)メッセージングの保護、(3)メッセージングコストの削減――の3つを挙げる。
日本マイクロソフトの企業向けメッセージングプラットフォーム「Microsoft Exchange」(以下、Exchange)では、これら3つの要件を全て網羅する機能を備えているという(※)。
(※)Exchangeはオンプレミス版の「Microsoft Exchange Server 2010」とクラウド版「Exchange Online」の提供方法を用意している。本稿は2011年中にリリース予定の新バージョンであるExchange Online を前提として記載。
まず、エンドユーザーの生産性向上では、「大量に届くメールを、時間と場所を問わず、いかに効率的にさばくことができるかが生産性向上のカギになる」(内田氏)。このことからExchangeは、PCクライアントはもとよりWebブラウザ、モバイル端末まで、充実した機能性とエンドユーザーの使いやすさを追求するとともに、プラットフォーム間で統一された操作感を実現している。
PCメールクライアント「Microsoft Outlook 2010」(以下、Outlook 2010)は、メールから次のアクションに素早く移行できるさまざまな機能を備える。加えて、コラボレーション機能をさらに強化。部門単位やプロジェクト単位など複数のユーザーを一覧表で閲覧可能な「グループスケジュール」および組織ツリーの中から組織に所属する個人を検索できる「階層型アドレス帳(※)」を実装している。
(※)階層型アドレス帳はオンプレミスのMicrosoft Exchange Server 2010のみで標準機能として提供される。
Webメールについては、「Outlook 2010」と同等の機能、操作性をWebブラウザ上で実現した「Outlook Web App」(以下、OWA)を提供。対応Webブラウザは、Internet Explorerのほか、FirefoxやSafariをカバーしており、多機能かつ操作性に優れたWebメールを幅広いユーザーが利用できるようになっている。
日本マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 ビジネスオンラインサービスグループ エグゼクティブプロダクトマネージャの米田真一氏は、「Outlookは、PCメールクライアントとしての認知度が高いが、当社ではWebメールについてもAjaxが普及する以前から積極的に取り組んでおり、機能性や操作性で他社製品をリードしてきた。Webメールは使いにくいと感じているユーザーも多いが、OWAを使えば、そうしたイメージは完全に一掃できる」と述べている。
モバイル端末への対応としては、もはや業界標準になりつつあるExchange ActiveSyncをiPhoneをはじめWindows Phoneなどのメジャーなスマートフォンがサポート。それぞれのスマートフォンから、セキュアにExchangeのメールにアクセスでき、モバイルにおいてもオフィスと同等のメッセージ環境を実現する。
2つ目の要件であるメッセージングの保護に関しては、情報漏えい対策とコンプライアンスの両面で強力な機能を搭載している。
情報漏えい対策では、「ヒントメール機能」が効果的だ。この機能は、メール送信時のうっかりミスによる情報漏えいを防止するもので、メールの宛先に社外の人が含まれている場合や、配信リストのサイズが異常に大きい場合などに警告メッセージを表示する。これにより、送信する前にもう一度メール内容や宛先をチェックし、送信エラーや誤送信のリスクを軽減できる。
また、より強力な情報漏えい対策機能として、Active Directory Rights Management Services(AD RMS)と連携したトランスポートルールを設定することも可能だ。管理者が、Information Rights Management(IRM)を適用する処理条件をトランスポートルールに追加することで、社内ポリシーなどに基づいた、サーバ側でのメールの自動保護を実現する(※)。
(※)連携には「Active Directory Rights Managementサービス」が必要となる。
コンプライアンスにかかわる機能としては、メール送信時のワークフローを利用し、メールを管理職などに転送して審査を受けることが可能。審査担当者は、メールを承認またはブロックする。ブロックした場合は、送信者に説明を返すことでコンプライアンスを徹底できる。
さらに、高度なアーカイブ機能を備えており、ローカルではなくサーバまたはクラウド上に古いメールを保存するパーソナルアーカイブ機能や、複数メールボックスの一括検索機能、きめ細かい保有ポリシー機能などを搭載。特に、複数メールボックスの一括検索機能では、サーバ上に保管された全てのメールを横断的に検索できるため、内部監査や法的な証拠開示要求に従う場合などに、迅速な対応が可能となる。
そして、3つ目の要件となるメッセージングコストの削減については、まず運用コストの削減に着目。“役割”(ロール)で権限を定義する役割別管理モデル「Role Based Access Control」(以下、RBAC)を導入している。「従来のメールシステムの権限定義は、管理者とユーザーのみだったが、RBACでは、企業内でのさまざまな立場のユーザーに対応し、その役割ごとに、誰が、どの範囲で、どこまでの操作を実行できるかをきめ細かく割り当てることが可能だ。これにより、メールシステム管理者に掛かる業務負荷を軽減し、運用コストの削減につなげることができる」(内田氏)という。
また、高可用性や障害回復、バックアップのための統合ソリューションを提供。最大16のメールボックスサーバからなるデータベース可用性グループを構成することで、サービスの可用性からデータの可用性、災害対策までをワンストップで実現でき、さらなる運用コスト削減を支援する。
これに加えて、オンプレミスでExchangeを利用した場合にもストレージコストを大幅に削減できるのがExchange Server 2010の特徴だ。Exchangeメールボックスデータベースのパフォーマンスの向上により、旧バージョンと比較してディスクI/Oを50〜90%削減。パフォーマンスと信頼性を維持しながら、SAN(Storage Area Network)ではなく低コストなDAS(Direct Attached Storage)を選択するなど、よりコストパフォーマンスの高いストレージ構成が可能となっている。
Exchangeの利用に当たっては、従来のオンプレミス(社内設置)型のExchange Server 2010だけでなく、クラウド型のExchange Onlineを選択することもできる。これは、マイクロソフトが世界的に展開しているクラウドサービス戦略の一環でもあり、共通のアーキテクチャでオンプレミス型とクラウドサービスの両方に対応したメールシステムを提供しているベンダーはマイクロソフトが唯一である。
米田氏は、「最近では、メールシステムについても、オンプレミス型からクラウドサービスへの移行を検討する企業が増えてきている。ただ、本当に重要なのは、現状のメールシステムの課題を解決できる機能を備えているかどうか。その上で、各企業の業務環境やニーズに合わせて、オンプレミス型かクラウドサービスかを選択してほしい」と、メールシステム選びは何よりも機能面を評価することが重要だと訴える。
この点、オンプレミス型のExchange Serverは、国内統合コラボレーティブ環境市場において2004年以来6年連続でトップシェア(IDC Japan調査)を獲得している実績を持つ。Exchange Server+Outlookの組み合わせが非常に高いユーザー満足度を得ているという調査結果(ガートナー調査)も出ている。
Exchange Serverのアナリストによる評価(日本マイクロソフト)
出典:IDC Japan「国内コンテンツ/コラボレーティブアプリケーション市場 2009 年の分析と2010年〜2014年の予測」(2010年8月)
出典:ガートナー「2010年グループウェア満足度調査」(2010年4月)
通常、クラウドサービスでは、かなりの機能が制限されるなど、オンプレミス版のサブ機能的な役割だが、Exchange Onlineでは、こうした実績のある機能をそのままオンライン環境で利用できるという。
「Exchange Onlineを利用する大きなメリットは、やはり運用コストの削減。自社でメールサーバを運用管理する必要がなくなり、サポートも24時間365日体制で受けることができる。また、これからは災害対策もクラウドサービスを選択する重要なキーワードになると考えている」と米田氏。同社では、シンガポールと香港の2拠点のデータセンターでメールシステムを冗長化しているため、1つのデータセンターが災害で停止しても、もう一方の拠点でメールシステムを継続運用することが可能だという。
現在は、Exchange Server 2007をベースにしたサービスとなっているが、間もなくExchange Server 2010に完全対応したExchange Onlineの新バージョンが提供される予定だ。新バージョンでは、Exchange Server 2010の備えている機能をカバーするとともに、オンプレミス型とクラウドサービスをシームレスに統合したハイブリッドなメッセージ環境を実現。これによって、オンプレミス型の管理ツールから両方の管理タスクを実行したり、オンプレミス型とクラウドサービス間を意識せずメール情報やカレンダー情報の共有、メールボックスの移動などが可能となる。
同社では、オンプレミス型Exchange Server 2010と、クラウドサービスExchange Onlineのハイブリッド活用を推進することで、企業の抱えるメールシステムの課題を解決するとともに、それぞれのニーズに最適化したメッセージ環境の実現をサポートしていく考えだ。
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