IFRSを将来に強制適応する場合は「国際的な事業活動や資金調達などを行う上場企業のみに限定する」ことを求める提言。
関西経済連合会は11月11日、IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)の日本企業への適用をめぐり、IFRSを将来に強制適応する場合は「国際的な事業活動や資金調達などを行う上場企業のみに限定する」ことを求める提言を公表した。官民一体となって情報発信を行う組織「国際会計戦略会議」(仮称)の設置も求める。
提言ではIFRSについて「国益・国情にかなう戦略的な判断を行う必要がある」と指摘。その上で日本の会計基準のIFRSとのコンバージェンスが進展し、欧州から同等性評価を得ていること、既にIFRSの任意適用が可能になっていることから、「上場企業に国際会計基準を直ちに強制適用する必要はなく、現行の任意適用を継続するのが適当である」としている。コンバージェンスについては、IFRSの内容を見極めつつ、「日本の国益・国情を踏まえた主体的な対応を取る必要がある」と提言した。
強制適用については海外動向や、国内の任意適用企業の拡大状況、IFRS会計基準への日本の主張の反映度、IASB(国際会計基準審議会)のガバナンス状況などを考慮して決める必要があると主張。将来、強制適用になった場合でも、「国際的な事業活動や資金調達などを行う上場企業のみに限定することを早期に明確にする」ことを求めている。同時に強制適用する場合は十分な準備期間と、事務負担の軽減措置(過年度比較の簡便化など)が必要としている。
IFRSの適用については連結決算のみとし、単体決算は引き続き日本基準を適用する「連単分離」が適切であるとしている。ただ、適用企業が連単でのIFRS適用を望む場合は、「特例的に単体決算にも適用できるオプションを認めてもよい」と説明。一方、単体決算の開示については、投資家が重視するのが連結決算で、会社法で単体決算の開示がされていることから「金融商品取引法に基づく単体決算の開示は、廃止を検討すべきである」と提言した。
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