主に検討されたのは、米国証券取引委員会(SEC)が7月に公表した「最終スタッフ報告」の内容。今後も定期的に中間的論点整理で指摘された課題を検討することを確認した。
IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)の任意適用拡大を求める「中間論点整理」を公表後、初めての金融庁 企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議が10月2日に開催された。主に検討されたのは、米国証券取引委員会(SEC)が7月に公表した「最終スタッフ報告」の内容(参考記事:SEC、米国企業のIFRS適用について判断示さず)。また、今後も定期的に審議を行って、中間的論点整理で指摘された課題を検討することを確認した。
SECの最終スタッフ報告については、金融庁の事務局が「IASBが公表したIFRSを米国でそのまま適用する方法への支持は少ないものの、単一の高品質でグローバルな会計基準という目的に米国がコミットしていることを示すことができる、別のIFRS取り組み方法には潜在的に多くの支持が得られると考えられる」と説明した。その上で最終スタッフ報告が指摘するIFRSに関する7つの検討項目を説明した。
委員の廣瀬博氏(住友化学工業 取締役副会長)は、「(IFRSに関する)産業界の最大の関心は米国の動向。今回のレポートでは米国の(IFRS適用などに関する)タイムテーブルなど、具体的な提言は含まれていなかった。日本のIFRS対応は、米国で動きがあった場合に遅滞なく対処できるよう審議を進めるべきだが、米国の最終判断をまず見極めることが最重要だ」と話した。
会議ではその他、IASB(国際会計基準審議会)の動向などについても確認されたが、注目されたのは、この会議の今後の方向性。委員の質問に対して金融庁は「中間的論点整理でさらに検討が必要とされる項目の審議と、諸外国の状況の把握を行う」と説明した。
中間的論点整理ではさらに検討が必要な項目として、「IFRSで受け入れ可能な基準、受け入れできない基準」「日本からの情報発信」「IASB 東京サテライトオフィスの活用」「単体財務諸表の取り扱い」「原則主義への対応」などが挙げられている(参考記事:意見の溝埋まらず審議継続へ、IFRS議論「中間的論点整理」公表、金融庁、IFRS審議のまとめを公表「任意適用の積み上げを」)。
諸外国の状況については2011年にIFRSを強制適用した韓国とカナダの調査がメインとなりそう。金融庁で調査を行い今後、報告されるとみられる。
ロイターニュースによると、中塚一宏金融担当相は10月1日、初閣議後の記者会見で金融庁のIFRS適用への判断について「いつ結論を出すというのは、今の段階で予断を持って申し上げるのは難しい」と述べたという。一方、2012年に判断を行うという当初の方針は変わっていないとして、「めどはめどとして国際情勢を勘案しながら物事を決めていかないといけない」と話したという。
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