プラダ氏は「IFRSを適用する国が急速に増える中で、ロンドンと現場で新しい関係を構築する必要がある」と説明した。
東京に設置されたIFRS財団のアジア・オセアニア・オフィスの開所式が11月15日に行われた。会見したIFRS財団評議員会の議長 ミシェル・プラダ氏は「このオフィスのオープンはIFRS財団、IFRSの今後の戦略を支える上での重要な一里塚となる」と述べた。
プラダ氏は会見で、海外オフィス設置の理由について「IFRSを適用する国が急速に増える中で、ロンドンと現場で新しい関係を構築する必要がある」と説明。IFRSに対する日本のこれまでの財政面を含めた支援を評価し、「東京が最適な場所である」と話した。
アジア・オセアニア・オフィスの活動としては、地域固有の状況を調査するリサーチ活動や、IASBの考えをアジア・オセアニア地域に知らせる活動を挙げた。IFRS財団の新しい取り組みとして会計基準適用後のレビューやフィールドテストを行うとして、「これもオフィスのミッションの1つ」と話した。アジア・オセアニア・オフィスは資金調達にも関わるという。
日本のIFRS適用についてプラダ氏は「IFRSについて日本の利害関係者から疑問が上がっていることは承知している」と述べた。一方で、同氏自身が日本の当局や産業界と話した印象では「日本のニーズを満たすためにもIFRSに移行するビジョンがあるのではと思う」と話し、日本のIFRS適用に期待を示した。「日本の当局や企業などが、次の時期には前に進んでもらうことを期待している」。
IASB(国際会計基準審議会)の議長 ハンス・フーガ―ホースト氏は「日本に3つの言語(会計基準)があるのはそれこそ望ましくない状況だ」と指摘。その上で「3つのうちの1つは将来において削除した方が論理的だ。米国会計基準は日本の関係者が影響力を行使することはできない。一方でIFRSには影響力を行使することができる。3つのうち、どれをやめるかは難しい選択ではない」と話した。また、コンバージェンスの結果、日本の会計基準とIFRSとの差異は小さくなったとして「乗り越えるための大きな障壁はない」と述べ、日本基準を適用する企業がIFRSを適用するのは難しくないとの認識を示した。
IFRS財団評議員会の副議長 藤沼亜起氏は「任意適用を継続すれば、2〜3年のうちに70〜80の企業がIFRSを任意適用することになると思うが、(2011年6月の)金融担当大臣の見直し発言で多くの企業が準備作業をやめてしまった。様子見で先に進んでいない企業がある」と話した。その上で日本の今後の方向性について「インターナショナルでビジネスをしている会社には比較可能性が重要。ある一定の時期にそちらの(IFRS適用の)方向に向かうという明確な目標を(当局などが)出す必要があると私は思う」と述べた。
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