最先端科学研究で用いられる大強度陽子加速器。冗長化されたネットワークを通じ加速器制御システムによって遠隔コントロールされる。このネットワークの安定運用においてログ管理ツールが重要な役割を果たしている。
大強度陽子加速器施設(以下、J-PARC)は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)と日本原子力研究開発機構(JAEA)が共同で、茨城県東海村に建設・運営している世界最高性能の研究施設だ。3つの加速器が、多数の陽子からなる陽子ビームを光速の99.98%まで加速し、標的となる金属などに衝突させることで、中性子やニュートリノなどの二次粒子を発生させる。これら二次粒子が、宇宙誕生の謎探究や難病治療薬の開発研究など幅広い分野の最先端科学研究に使われている。
大強度陽子加速器は、中央制御棟の加速器制御システムからネットワーク経由で遠隔コントロールされ、各種実験施設へと二次粒子が供給される。もし、このネットワークに障害が生じ、加速器に制御命令が送れなくなると、二次粒子の供給が途切れ、実験に支障を来す恐れもある。
J-PARCでは、ネットワーク障害が発生した際の原因究明のため、従来はSolaris版のログ管理ツールを利用して、250台規模の制御用ネットワーク機器群を監視し、ログ管理を行ってきた。しかし、同ツールはログデータの検索・解析機能が弱く、一元管理もできなかったため、膨大なログデータから障害原因を探し出すのに多大な工数が掛かるという課題を抱えていた。
そこで2011年、ネットワーク設備の大規模改修を行うタイミングに合わせて、ログ管理ツールについても見直しを検討。求めているのは、「ログの一元管理ができ、検索・解析機能に優れ、使いやすいLinux対応のログ管理ツール」だ。しかし、統合セキュリティ製品ではなく、Linux対応で優れた解析機能を持つ単体のログ管理ツールを見つけることは、そう簡単ではなかった。
次のページでは、J-PARCのツール選定とその理由について詳細にお伝えする。
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