今、インシデント対応を軽視してはいけない理由TechTargetジャパン プレミアムレビュー

仮想化、クラウドによる柔軟・迅速なリソース調達は収益向上を支援する。だがITリソースは調達・提供して終わりではない。エンドユーザーがそれを使ってビジネスを確実に遂行できなければ収益向上は見込めない。

2013年09月13日 08時00分 公開
[内野宏信,TechTargetジャパン]

『クラウド時代に見直すべき、サービスデスクという落とし穴』を無償ダウンロード提供

情シスの社内プレゼンス向上に役立つコンテンツを新規書き起こしでお届けするPDFコンテンツ「TechTargetジャパン プレミアム」。その第9弾となる『クラウド時代に見直すべき、サービスデスクという落とし穴』をTechTarget ホワイトペーパーダウンロードセンターから無償でダウンロード提供している。ぜひご活用いただきたい。


サービスデスクをコストセンターと見てはいけない

 仮想化、クラウドは柔軟・迅速なITリソースの調達・配備を可能にした。だがその半面、システムは複雑化し、ITシステム/リソースの一元管理はますます難しくなっている。こうした中、情報システム部門にはさらなる難問が突きつけられている。

 例えば業務部門主導でSaaSなどを導入してしまう“勝手クラウド”だ。情報システム部門が関知しないリソース調達は、システムのサイロ化やスパゲティ化を招き、運用管理の負担、コストを増大させる。また、システムの複雑化はインシデントの数や種類の増大も招く。それなりの対応体制がなければ社内外のエンドユーザーにストレスを与え、業務の遅滞を招くばかりか、自社の信頼性を低下させる原因にもなりかねない。

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 ではコストも人も限られている中で、「業務基盤を一刻も早く整えたい」「システムに何かあれば一刻も早く解決したい」といった業務部門の要請に、一体どうすれば確実・効率的に応えることができるのだろうか?

 情シスの社内プレゼンス向上に役立つコンテンツを無償ダウンロード提供する「TechTargetジャパン プレミアム」。その第9弾となる『クラウド時代に見直すべき、サービスデスクという落とし穴』では、運用管理のベストプラクティス集、ITIL導入のコンサルティングを行っているニュートン・コンサルティング シニアコンサルタントの内海 良氏を取材。多くの企業で課題となっているインシデント対応とサービスデスクの在り方にフォーカスしつつ、今、情報システム部門が担うべき役割を探った。

 特に同氏が強調するのは、「サービスデスクはコストセンターではない」という点だ。一般に、多くの企業ではサービスデスクを収益向上に直接的に寄与しない業務と見て、十分な人と予算を割り当てていない例が多い。だが内海氏はそうした認識は間違いであり、「サービスデスクは自社ビジネスにひも付き、経営を支えるもの」であることを力説する。

 その1つの根拠として、内海氏が振り返るのがITILだ。というのも、ITシステムと運用管理によってビジネスの遂行を支援することを「ITサービス」と捉え、ビジネスの要請に応じて高い投資対効果でサービスを提供し、継続的に改善していくことがITILの本質。また、ITILではITサービスの受益者を「顧客」(一般的な意味での顧客とは異なり経営層などを指す)、日常的にITサービスを利用する人・組織を「ユーザ」、ITサービスの提供に責任を持つ人・組織を「プロバイダ」、ITサービスを支える要素を提供する人・組織を「サプライヤ」と位置付けている。

ALT ニュートン・コンサルティング 内海 良氏

 つまりサービスデスクとは、高い投資対効果でITサービスを提供し、ビジネスの遂行を支える「サービスプロバイダ」であり、本来的に「予算を掛けられない」業務では決してないのだ。特にパブリッククラウドの浸透により、社内での存在意義が問われている情報システム部門にとって、この「ITサービスの提供に責任を持つサービスプロバイダ」という位置付けは、今後創出すべき付加価値や進むべき方向性を、あらためて示唆してくれるテーマといえるのではないだろうか。

 ただ、なかなか難しいのはITILの重要性やサービスデスク機能の正しい在り方を認識しても、ITILはあくまでベストプラクティス集であり、具体的な実装方法まで説いたものではないという点だ。実際に取り組もうと思っても、何から着手すべきか分からなかったり、たとえITILに準拠したITサービスマネジメントのルール/プロセスを作れても、組織に定着せず形骸化してしまったりする例が多い。

 では、ビジネスの遂行を安定的に支えるサービスプロバイダとしての機能を果たすために、具体的にはサービスデスク業務をどのように改善していけばよいのだろうか? 内海氏はサービスデスク本来の在り方と、定義にとらわれないITIL実装の現実的なポイントを解説。さらにIT活用を監視・規律することで勝手クラウドなどの問題を断つ「ITガバナンス」についても言及し、ITILとの関係をひも解きながら、インシデント対応が“問題をつぶす”だけのものではなく、ビジネスにひも付いた重要な活動であることを説く。

 2008年ごろ、国内でもITILが注目を集めたものの導入に失敗する企業が相次いだ。インシデント対応をはじめとする日々の業務はついルーティンとして流してしまいがちなものだが、その効率化のポイントとともに、システム運用管理の本当の意義と“情シスが持つべき本来の価値”を再確認してみてはいかがだろうか。

『クラウド時代に見直すべき、サービスデスクという落とし穴』を無償ダウンロード提供

多くの企業に浸透した仮想化、クラウドは、ビジネスのスピードアップ、コスト削減などのメリットをもたらしている。だが調達・配備とともに、実際にIT システムを使うエンドユーザーへの配慮や確実な運用管理がなければ、そのメリットは半減してしまう。

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