IBMのPC部門に続き、同社のx86サーバ事業を買収したLenovo。x86サーバ市場の覇権を確立するため、Lenovoは次にどう動くのか? ライバルであるHPやDellを攻略する戦略とは?
米HPを意識した中国Lenovoの進撃が始まっている。米IBMのx86事業を約26億ドルで買収したLenovoは、サーバ製品の価格を強気に設定して顧客獲得を目指す気配だ。
Lenovoのヤン・ユワンチン会長兼CEOは次のように語る。「正しい戦略と優れた行動力、絶えることないイノベーションとx86事業への明確な姿勢があれば、この事業を長期にわたってうまく成長させていくことができる。このことはPC事業で全世界に実証済みだ」 PC市場でLenovoはHPと首位の座を争う世界最大のPCメーカーとなっている。米調査会社のGartnerの調査によると、2013年第4四半期のPC市場のシェアはLenovoが18.1%で首位に立ち、HPが16.4%、米Dellが11.8%と続いている。
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Gartnerは、2013年12月発行のLenovoブランドの強度指数についての報告書に次のように記している。「LenovoはIBMのPC事業部門(PCD)を買収したことで、プロ仕様PCでは最高のR&Dチームを手に入れた。LenovoはこのR&Dチームの強みを生かし、企業のニーズを満たす革新的なクライアントデバイスを発表している。商用PC分野でのテクノロジーイノベーションは、Lenovoブランドのイメージを確実に高めている」
Computer Weeklyの姉妹誌MicroScopeが以前報告したように、Lenovoはサーバ事業の拡大を画策している。IBMのx86サーバ事業買収は、Lenovoの信頼性を高め、PCサーバ市場への足固めになるだろう。しかし、IBMは2013年第4四半期にサーバ出荷台数の大幅減(2012年比37%減)を経験したとGartnerは見ている。
Lenovoはこの買収により市場のライバル(特にHPやDell)を低価格競争に巻きこみ、PC市場での成功を再現しようともくろんでいる。
Gartnerのアナリスト、エロール・ラジット氏は、「Lenovoには、IBMのサーバ事業モデルの効率を上げ、利幅を増やし、価格競争力を高めるチャンスがある。その上、台湾Quanta Computerや台湾Wywinnなど、オリジナルデザインのメーカーとも競争できる低コスト製品を提供できる」と語る。
同氏は、FacebookのOpen Compute Platformや中国AlibabaのProject Scorpioを引き合いに出し、Lenovoはスケールアウトデータセンターの設計を目的とするオープンソースハードウェアを目指す可能性があると指摘。そうすることでオープンソースデータセンターハードウェアを構築、販売し、大手サプライヤーに対して価格の優位性を維持できると見ている。
「市場にはこの種のモデルに対する強い要求があり、低価格で提供しても独自性を打ち出せないことがLenovoの課題だ」とも同氏は語る。
一方、この買収はLenovoがIBMのアプライアンス戦略の推進役を担うことを意味する。x86サーバ事業の買収により、LenovoとIBMは戦略的パートナーシップの締結を画策している。このパートナーシップには、全世界での製造と販売の契約が含まれている。LenovoはIBMのエントリレベルのミッドレンジ向けStorwizeディスクストレージシステム、テープストレージシステム、General Parallel File Systemソフトウェア、SmartCloud Entryサービスに加え、IBMシステムソフトウェアポートフォリオに含まれるSystems Director製品やPlatform Computing製品などを販売する予定だ。
IDCヨーロッパのサーバ調査部長、ジョルジオ・ネブロニ氏は次のように述べている。
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