これからのヘルスケアを後押しするのは、モバイルテクノロジーの導入や、臨床環境におけるデータ分析とコラボレーションの強化によるコンシューマライゼーションだ。
以前、巨大な家電部門のグローバルCIOを務め、現在はオランダPhilips HealthcareのCEOを務めるジェロエン・タス氏は、米Forrester Researchがロンドンで開催したフォーラムで次のように語った。「健康のコンシューマライゼーションには非常に大きなビジネスチャンスがある」
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だが同氏によれば、ヘルスケアは個々のスタンドアロン製品から脱却して、完全なプロポジションに高い価値を置くべきだという。
さまざまな製品グループを相互につなぎ合わせるには、IT部門が中心となって社内のチームがコラボレーションを行い、共通のITシステム(単一認証サービスなど)を共有できるインフラを構築する必要がある。
Philips Healthcareは、病院で使用される医療用スキャナやX線装置で有名だが、このうち一部のテクノロジーを少しずつモバイルデバイスに取り入れている。
「モバイルテクノロジーは、当社のテクノロジーをダウンサイジングすることだけが目的ではない。多くの人々が医療用テクノロジーを利用できるようになることに意味がある」とタス氏は言う。
同氏によると、同社が病院の集中治療室向けに開発したシステムに組み込んでいるテクノロジーは、手首に付けられるところまで小型化が可能だという。
「2014年6月2日に、米AppleがHealthKitのリリースを発表した。これに追随するように米Googleもヘルスケアへの投資を始めた。このように業界は目まぐるしく変化している」と同氏は話す。
タス氏は、Philipsの製品はあらゆる顧客のニーズを視野に入れて開発されているわけではないことを認めている。Philipsの製品はスタンドアロン製品なので、例えば同社のスマートランプにはスマートランプ独自の認証機能が組み込まれている。
「これでは、プロポジションを中心に据えることはできない」と同氏は話す。「全ての開発者が独自のやり方にこだわっていては何も変わらない。多種多様なエクスペリエンスを生み出すにはエコシステムを作り上げる必要がある」
同氏は家電部門のCIO時代、Philips製のスマート製品同士の通信を可能にする共通アーキテクチャを監督した。現在、ヘルスケア事業部と照明事業部の社員は、同じプラットフォームを使用して共同作業を始めている。
「当社は、製品からプロポジションへと視点を移している」とタス氏は言う。つまり同社は、さまざまな顧客のニーズに幅広く対応する製品を生み出すために、異なる事業分野の製品をつなぎ始めている。
「当社には、超音波を使って自分の赤ちゃんに対面できる製品がある。この製品を使えば赤ちゃんの健康状態を追跡することが可能だ。また、ベビーモニターにはバイタルサインを測定する機能があるので、照明とリンクさせれば心地良い明かりの中で赤ちゃんを眠りに誘うことができる」
タス氏は、さまざまなテクノロジーをつなぎ合わせて統合型のヘルスケアを生み出すチャンスはたくさんあると考えている。
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