クラウドの登場によって、プライベートクラウドのハードウェア選定にも変化の兆しが見られる。シンプルかつ安全に統合/拡張ができ、導入の手間が掛からない「ハイパーコンバージドインフラ」にそのヒントがあるようだ。
長年、初期費用が高く、運用負荷が高いといわれてきたプライベートクラウドが、ここへきて再び注目を集めている。TechTargetジャパンが2015年に行った「プライベートクラウドの利用に関するアンケート調査」でも、「導入済み」が29.9%、「導入予定/検討中」が24.5%と、プライベートクラウドへのニーズが見て取れる。
その背景には近年の“クラウドブーム”が少なからず影響している。パブリッククラウドが登場し、その利便性に引き込まれ、多くの企業が移行を検討した。しかし結局のところ、さまざまな制約から全てを移行することは現実的ではないという結論に至った企業は多い。あるいは、パブリッククラウドへ移行したシステムをオンプレミスに戻すといったケースも聞く。システム要件によってはパブリッククラウドが適している場合もあるが、そうでないケースも多分にあるのだ。
だが、ビジネスのスピードは加速するばかりであり、従来のように数週間をかけてサーバやストレージ、ネットワーク装置を個別に調達し、組み上げてからリソースを提供するといったペースでは間に合わないことも多い。オンプレミスであってもソフトウェアでコントロールできる環境は、ユーザー企業にも必要になりつつある。そこで、自社でコントロールが効くオンプレミスを、クラウドのように運用できるプライベートクラウドの出番となる。
しかし、プライベートクラウドにも懸念がないわけではない。同調査でプライベートクラウドへの懸念・課題を問うたところ、最も重視されたのは「システムを運用すること」(47.8%)で、次いで「初期費用が高い」(40.2%)。さらに「ハードウェアを保守すること」(30.4%)、「構築が技術的に難しい」(17.4%)、「リソースの拡張性に乏しい」(8.2%)といった項目が上位に挙げられた。
こうしたプライベートクラウドの課題に対する1つの回答として「ハイパーコンバージドインフラ」がある。ハイパーコンバージドインフラがプライベートクラウドにどう生かせるのか。ベストな選択肢とは何か。同技術に古くから取り組むベンダーの有識者に詳しい内容を聞いた。
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