日産自動車は社内クラウド基盤に積み上がるデータの保護にどう対処したかアーカイブ費用を半減させたストレージソリューションとは?

日産自動車は、社内クラウド環境で大量に発生するデータの保管に関して経済性の課題があった。容量単価に優れ、長期保管可能な解決策として選んだのはテープによるアーカイブシステムだ。今テープを採用した理由は?

2016年02月03日 10時00分 公開
[ITmedia]

 1933年に「自動車製造株式会社」として設立された日産自動車は、古くから「スカイライン」や「フェアレディZ」「ブルーバード」「セドリック」といった名車を生み出している。2013年度にはグローバル生産台数が500万台を突破、世界を代表する自動車メーカーである。現在、世界市場での一層の成長に向けた2011〜2016年度中期経営計画「日産パワー88」を推進し、6つの戦略「ブランドパワーの強化」「セールスパワーの強化」「クオリティの向上」「ゼロ・エミッションリーダーシップの有効活用」「事業の拡大を通じた成長の加速化」「コスト リーダーシップ」を掲げ、目標達成を目指している。

 グローバルにビジネスを展開する同社では、当然のことながら社内で発生するデータの量も非常に多い。製品の研究や開発、製造、プロモーションやセールスなど、ストレージを用いてバックアップを取得しているデータは、定常的に増え続けておりその量はペタバイトの単位に達する。

 しかし、問題となるのはメールのログデータや、各国の法制度で保管が義務付けられている製造関連データだ。日本でいえば、例えば製造責任法(PL法)関連の記録などがこれに当たる。更新は全く、あるいはほとんどなく、参照される頻度も少ないが、長期保管が必要なコールドデータである。

日産自動車 長井龍夫氏

 日産自動車グループにITサービスを提供する部署であるグローバルIT本部 ITインフラサービス部 マネージャー 長井龍夫氏は、「データの保持ポリシーは、アプリケーションや適用される法制度によって異なります。社内ではデータの保管について、適切な運用を行うように啓蒙活動を続けていますが、それでもプロジェクトごとのニーズに対応するためのストレージコストが増大してきていました。バックアップすべきデータとアーカイブすべきデータとを分離し、長期保管が必要なデータ向けには容量単価に優れたアーカイブシステムを採用することで、データ保管の最適化を図りたいと考えました」と述べる。

 そこで問題となるのが、アーカイブシステムをどのように構築するかということだ。同社では10年ほど前、アーカイブ用のストレージをテープからHDDに切り替えた経緯がある。ところが、いかに低価格化が進んだHDDといえども、データの肥大化には追い付かず、高額になりがちだった。長井氏らが目指したのは「パブリッククラウドのストレージサービスに負けない低価格化と、エンタープライズ用途に耐え得る信頼性」だった。


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