仮想化導入を一気に進める「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ」パートナーシップ最前線ボトルネックはコストがかさむストレージ

投資ではストレージ需要増大とコスト抑制が相反する、そのレベルは常に上がっている。この問題を解決するのがSDS(Software Defined Storage)を超えたハイパーコンバージドインフラストラクチャ」だ。

2016年06月15日 10時00分 公開
[後藤宏]

 現代の企業システムにおいて、主要なキーワードの1つになっているのが「Software Defined」だ。専用ハードウェアの組み合わせから仮想マシンを用意してソフトウェアによって自由にリソースとシステム構成を変えていく試みは、その提唱から長い時間が経過している「SDN」(Software Defined Networking)をはじめとして、幅広い分野に拡大している。

 その1つに、ストレージをx86サーバにおいて自由に構築する「SDS」(Software Defined Storage)がある。専用の大容量ストレージデバイスを用意するのではなく、汎用(はんよう)のハードウェア(サーバクラスからクライアントPCクラスまで)を用意してソフトウェアによってストレージ構成から容量まで自由に変更する。

 SDNはネットワークインフラベンダーの独壇場だが、SDSについては利用できるハードウェアがサーバやクライアントPCであるため、ハードウェアベンダーもSDS関連製品に関わることができる。ただし、ハードウェアベンダー単独では無理だ。なぜなら、SDSで重要なのはハードウェアの処理能力と安定した動作を実現する信頼性とともに、柔軟で使いやすく、そして、処理能力を阻害しないデータ転送アルゴリズムが必要で、この開発にはどうしても優れたストレージコントローラーとユーザーインタフェースに長けたソフトウェア開発部隊が必要だ。

 そして、SDSを超え、パブリッククラウド同様の拡張性と柔軟性を企業のデータセンターで実現するソリューションとして「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ」(HCI:Hyper-Converged Infrastructur)が注目を浴びている。

 2016年5月11〜13日に開催した「Japan IT Week 春 2016」では、ハードウェアベンダーだけでは実現困難なSDSを越えたインフラストラクチャ実現への取り組みとして、ストレージコントローラー開発ベンダーやソフトウェアベンダー、仮想マシンベンダーとの連携を訴求するブースがあった。ここでは、ハイパーコンバージドインフラストラクチャに挑む1つのケーススタディーとしてそこに参集した各ベンダーの展示内容を紹介したい。

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