災害対策の重要性は理解していても、SAPのような大規模システムではどう着手してよいか分からないという企業は多い。クラウドを活用し、コストを抑えたDR手法を紹介する。
災害対策(DR:ディザスタリカバリ)は、規模や業種を問わず、あらゆる企業に求められることだ。大規模な災害が発生すれば、オンサイトに保管していたディスクやテープなどのバックアップが建物の倒壊や津波によって失われてしまう。だが、遠隔地ないしはクラウドにDRサイトを構築しておけば、オンサイトのシステムが仮に全壊したとしても、復興に必要なデータだけは残すことができる。
ただ、このようなDRの手法を基幹系も含めて全てのシステムに適用できるとは限らない。特にSAPシステムの場合、システムランドスケープの問題がネックになる。ランドスケープとは、ライフサイクル全体でシステムを効率良く安定して稼働させるために必要な構成のことだ。SAPが推奨している標準的なランドスケープは、「開発環境」「テスト環境」「本番環境」という3ステップで構成している。これら全てに加え、DRサイトまでを構築するとなると多大なコストと運用管理負荷がかかる。
一般的なSAPシステムでは最低限の維持管理をするためにバックアップや監視、冗長化などが3ステップのそれぞれに必要だ。コスト面では、ライセンス管理やシステム監査対応の費用も確保したい。品質確保の面でも、システム連係や技術検証、アクセスコントロールの複雑化に対応しなければならない。さらにデリバリー面でも、プロジェクト側とのダウンタイムの調整やリリース管理の煩雑化への対応がある。こうした事情を考えれば、中堅規模以下の企業では、バックアップをデータや一部のシステム環境にとどめ、SAPを対象にしたDRサイトの構築は見送らざるを得ないのが実情だろう。本稿では、このような現状に対し、DRサイト構築のハードルを下げるための1つの解を提示する。
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